見出し画像

こんなライターは困る

今回は手短に。

僕がこれまでに出会ったライター(コピーライター、フリーライター、etc)の中から「お前それはないだろう」という往年の志村けんのギャグが思わず口をついて出てしまった事例をいくつかご紹介します。

反面教師、とは本当によくいったもので、いま僕がこうやって途切れることなくお仕事をさせていただけているのもすべて、これまでの「お前それはないだろう」から学んだことです。

時には客観的に、時にはジブンゴトとして、お前それはないだろう…という脱力感満点のつぶやきが教えてくれるもの。それはライターかくあるべし、というような高尚なあれこれではなく、人としてこれじゃいかんぜ、という生きる上でのイロハのイでありました。

締切を守らない

いらっしゃいます。カジュアルに締切を守らない人。週2回更新のメディアを仕切っていたとき、いらっしゃいました。その道10年以上のベテランでした。

何回お願いしても守ってくれません。しかしリソースもありません。仕方ないのでこの方に発注する羽目になった営業マンに「この人にお願いするときは提出希望の半日前に締切を設けろ」とブラフ、というかバッファを取らせるよう指示。しかしそれでも遅れます。

しまいに営業サイドから発注拒否を喰らってしまいました。その結果、僕は新たなリソースの確保に奔走することに。

以来、僕は締切の前日、できれば前々日までに提出する体質になりました。

誤字脱字が多すぎる

初稿に誤字脱字はつきもの。にんげんだもの、誤字ります。脱字ります。ミスタイプもするんです。僕だってします。特にWebの世界では質より量そしてスピードという価値観が幅をきかせていて、文意がわかればヨシ!と現場猫のゴーサインを賞賛する文化になっています。

しかし一応プロというか、成果物の対価として金子をいただく以上は、あまりに多すぎる誤字脱字はいかがなものかと思います。一生懸命気をつけて、読み返して、読み返して、それでも一箇所、二箇所の誤脱は許せる。しかしたかが150文字程度のブロックで2回も3回もミスタイプがあるとお前それはないだろう、となるわけです。

ちなみに前述の締切守らない氏は実に誤脱部門でもチャンピオンでした。一度、お酒の席でやんわりと「もうちょっと誤脱も意識していただけると…」と進言すると「僕が完璧な原稿を書いちゃったら校正の人たちの仕事がなくなっちゃうからね、カンラカンラ」と笑われたことを覚えています。笑えなかったっす。

以来、僕はFacebookだろうがnoteだろうがTwitterだろうができる限り誤字がないように気をつけるがあまり文字を打つ度にビクビクする体質になりました。

突然、倒れる

これを「困ったライター」の一例にあげていいものか、と思います。体調を崩してしまうのは仕方のないこと。誰にだってあります。にんげんだもの。僕だってそこまで鬼ではありません。

しかしやりかけの仕事を抱えたまま、資料もぜんぶ持ち帰ったまま、ドカンと緊急入院されてしまうとさすがに途方に暮れるわけです。困ったライターというより、ライターさんによって発現された困った状況、というのが正しいですね。

しかも当たり前ですが責めるわけにもいきません。悔やんだのは自宅に持って帰らせる資料はせめてコピーにしてくれよ、ということでした。だったら俺が徹夜でもしてリカバーするのに。

以来、外注さんに資料を渡すときは必ずコピーにするとともに、自分になにかあったときのデータや原稿の在り処を同僚に共有し、かつ日々できるだけ健康に気をつけるようになりました。

飛ぶ

若い子がライター募集に応募してくるじゃない。面談するじゃない。いい感じで話がはずむじゃない。どうやらやる気満々みたいじゃん。がんばります!いい記事を書いてメディアの価値を高めたいです!とか嬉しいこと言ってくれるじゃない。

じゃあ、ってんで業務委託契約書とNDAを送るわけ。しばらくお待ちくださいみたいなレスがくるのよ。

それっきり。

あるいは初稿があがってきて、いくつか修正指示を入れて戻して、第2稿があがってきて、直ってないから再度赤字を入れて戻して、そうしたら。

それっきり。

以来、依頼主とはどんな状況でも包み隠さず報告連絡相談を欠かさないようになりました。

キレる

上がってきた原稿がどうも芯を食ってない。というかふわっとしていて論旨もゆるい。なんだかなあ、と思ってちょい俯瞰気味に感想というか、抽象度高めのリクエストをやんわり、いれる。

するとですね、驚くことにキレるんですよ。

「私の経験上、このような抽象的な指示に対して手を入れても何度も出し戻しになることは明確です。不毛なやりとりになることは避けたいのでそちらで修正をお願いします。お金を払ってプロに仕事をさせているのにそのプロの仕事にイチャモンをつける貴殿のスタンスは理解できません」

なんでやねん。なんでキレてんねん。
で、なんでお金払うほうが原稿書くねん。

以来、修正には100%笑顔です。え?マジで?みたいな修正にも完璧な笑顔です。浜辺美波が赤入れしてくれたと思っていますから当然笑顔です。


つらつらと過去の「お前それはないだろう」を思い返してみました。愚痴っぽくならないようできるだけドライに書きましたが、本当に怨みつらみなどではなく、人の振り見て我が振り直すのことわざ通りいまの僕に活かされています。

そしてあらためてbad exampleを並べてみて、何事も基本行動が大事だなあ、と思いました。ベーシックな型。健康な体。仕事に臨むまっすぐな姿勢。とびきりの才能がなくても、美文名文の職人でなくても、約束を守るほうがライターとしての一丁目一番地(←昭和)だなと。

いや、こういうのってライターだろうが営業だろうがエンジニアだろうが、みんなおんなじなんですよね。ついでにいえば新人だろうがベテランだろうが同じ。これからも気をつけよっと。


いいなと思ったら応援しよう!