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暗号資産(仮想通貨)の定義-法定通貨担保型ステーブルコインの取扱い-

にわかに注目を集めているステーブルコインのステーブルは「安定した」という意味で、ステーブルコインとは価格が大きく変動しないようにブロックチェーン(分散型台帳)上で設計される決済手段をいいます。そして、価値安定の手法により、法定通貨担保型、暗号資産(仮想通貨)担保型、コモディティー担保型、無担保型の4つに分けられます。

このうち米ドルを担保にしたテザー(tether)等法定通貨担保型ステーブルコインは、令和5年6 月1日に改正された新資金決済法により電子決済手段と定義されました。そして、通貨建資産に加えて、電子決済手段が暗号資産(仮想通貨)の範囲から除外されました。日本経済新聞電子版(令和5年6月3日)は、「従来は暗号資産(仮想通貨)の一種と位置付けられてきましたが、日本では仮想通貨とは切り分けて法律を整備しました。この結果、ステーブルコインの発行者は銀行、信託会社、資金移動業者の3つに限定されることになり」、国内での発行が検討されていると報じています。

日本の租税法の暗号資産(仮想通貨)の定義は資金決済法に依拠していることから、当然ながら電子決済手段(法定通貨担保型ステーブルコイン等)も租税法上の暗号資産(仮想通貨)の範囲から除かれることになります。そして、資金決済法の改正は、必ずしも租税法上の取扱いを考慮したものでないことは明らかです。

また、いわゆるトークン、ペイメントトークンと呼ばれる典型的な暗号資産(仮想通貨)から除外されるものとしては、有価証券(電子記録移転権利・集団投資スキーム持分)やユーティリティトークンと呼ばれるアートNFT があります。

さらに、暗号資産(仮想通貨)とアートNFT の区分は改めて問題視されていて、金融庁「事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)」(16 暗号資産交換業者関係)の一部改正(案)の公表について」によれば、改正暗号資産ガイドラインI-1-1①に(注)が追加されています。そのパブリックコメントに対する回答の中で、「代価の弁済のために不特定の者に対して使用す
ることができる」という暗号資産(仮想通貨)の要件を満たさない可能性がある例として具体的な数値(最小取引単価を1,000 円以上に設定する又は発行上限100 万個以下)が提示されています。

(白桃書房編集注)『暗号資産とNFTの税務』収載の同名コラムについて、若干の編集を加え公開しています。

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