見出し画像

NovelJam2024編集参戦記「昼行燈な編集の立ち回り方」

お疲れ様です。白色黒蛇です。
昨今は決闘者をしながらライターとしてほそぼそ生きてます。
そんな蛇ですが、NovelJam2024に参戦して、まぁ? そこそこ? 評判が良かった感じなので参戦記を残しておきます。

感想とかはまぁ、他の人がやると思うので蛇は「自分が何をして何をしなかったか」を主に書いていきます。


開催前日までの裏工作

書籍制作イベントで何故か音を取り寄せる

蛇が最初に考えたのは動画の活用戦略。
今回はYouTubeでの公開と言ったことはしないとのことなので、
・プレゼン後に動画としてコンテンツを公開できること
・そもそも動画制作って手段を取れるのがメンツを見て多分自分だけ
この2点が爆アドォ! になると思って、今回は動画の活用をPRの主軸にするべく、動きました。

さてそうなると気を遣うのが「音」です。
良い動画には良い音楽が不可欠……と、とると音楽面はまぁ余裕でした。だってこの白色黒蛇には超腕のいい、かつNovelJamに理解のある音楽クリエイター「向春日」がいましたからね。

春日にはある程度話をしておいて、楽曲データを取り寄せる体制を整えました。
音楽はどうにでもなった。では次に必要なのはなんだ? 
そうだ。「声」だ。
と言うことで次は声優さんのリクルート。しかも
「NovelJam開催中に即日で宅録、納品まで実行できる実力派声優」
控え目に言って何言ってんだオメェ。って感じですけど、これもいくつか考えて声優の三楠紡さんにお願いすることに

三楠 紡(みくす つむぐ)(@Mix3_nan_bow)さん / X

彼は過去、NovelJam 2021 Onlineで朗読イベントに出演してくださったから実力はもちろん、NovelJamに関する理解も深い。となれば速度感もご理解いただけるはず……と思ってご依頼したところ、すんなりOKをいただきました。

こうして前日までに、クオリティの高い音楽と優れた声を手に入れたのです。小説執筆イベントで声を取り寄せるインフラ整備を整えたのは間違いなく白色黒蛇が初めてでしょう。

共通言語の下ごしらえ、聖典「ソクラテスラ」

何言ってるか分かんないと思いますが、やったことはシンプルです。
「笑えるボドゲ、「ソクラテスラ」を買った」
そんだけです。

人気のYouTubeチャンネル「わしゃがなTV」で取り上げられてたので存在は知ってたのですが、
・分かりやすいルール
・遊びながら笑える
はチームの空気感を作るのに最適だなと思ってました。
チーム名の「ナインシュタイン」も、初めから
「このゲームで一番笑えて印象深い人物名をそのままつけよう」
と考えてました。

NovelJamのチーム名は必然的に「著者の名前」「編集者の名前」「チーム指定のアルファベット」のいずれかが付く傾向にあると思ってたので、
「そこからまずはみ出よう」
と思ったのと、プラスアルファ
「このゲームそのものがチーム全体の共通言語(と言う名の共通の話題作り)になれば良いな」
と考えて活用しました。ここのところはばっちり狙い通りです。


結城玲夏さんと「あしもとの天気模様」

BCCKS / ブックス - 『あしもとの天気模様』(著)結城玲夏(編)白色黒蛇(表紙デザイン)鈴木彩夏著

※本作の内容とか見どころとかは
「PV見てくれこの透明感ヤバかろ?」
としかいいません。あくまで今回は蛇がやったことを述べるので

蛇が推し量れない結城さんの魅力を潰さないように

結城さんはNovelJam 2021 Onlineでもご活躍された実力派の著者さん。今回のテーマ「デラシネ」について少しのやり取りの後中々完成度の高いプロットの提出をいただけました。

プロットが出た段階でまず蛇が思ったこと
「コレ……すっげぇ新海誠や」
天気の子、君の名は、言の葉の庭……そんな作品群に通ずる背景の綺麗なお話のプロットが上がった来た時の蛇の率直な感想
「やべぇ、こっち方面全然趣味じゃなかったわ」

白状するとこの白色黒蛇、新海誠超苦手です。言の葉の庭とかマジで途中停止して机ブッ叩いてしまいたくなる程です。

しかし、あくまでこの方向性こそ結城玲夏さんの真骨頂。最大の武器であり売りであるのは間違いない。
「これを潰すのは編集として最大の悪手であろう」
と考え蛇には推し量れないこの持ち味を生かす編集を試みました。

と、言うのが建前です。結局は「過干渉しない」これが一番いいと思いました(最後で台無しにする奴)

タイトルは分かりやすく、読めるように

作品作りをする上で、大事な「タイトル」ですが初期案を聞いた時、蛇は一抹の不安を覚えました。
「いやタイトルむっず」
ちょっとよく覚えてないのですが、なかなか難しい天気用語、漢字も難しく、ちょっとリテラシーが高い……

そうなった時にこの蛇と結城玲夏さん、そしてデザイナーの彩夏さんで協議することに(余談ですけど、お二人とも最後が「夏」で読みが「な」「か」で違うので蛇はしょっちゅう呼び間違えました。ごめんなさい)
・読みやすく(基準小学校6年程度)
・雰囲気が伝わるように
・語感が良い感じで
の3点を考えた結果「あしもとの天気模様」と言うタイトルが生まれました。

ねこねこ暇潰商会さんと「シニガミさまの手違いで」

BCCKS / ブックス - 『シニガミさまの手違いで』(著)ねこねこ暇潰商会(編)白色黒蛇(表紙デザイン)鈴木彩夏著

https://x.com/hakusyokuK/status/1853299238773649626

※本作の内容とか見どころとかは
「PV見てくれええ話なんよ」
としかいいません。あくまで今回は蛇がやったことを述べるので

実は色々サポートが必要だったねこねこさん

編集をする前の段階ですが、ねこねこさんは普段は介護の現場で働いておられるとのこと、それを活かした作品作りをするのは確かにアリだなと思ったのですがそもそもの難点がありました。

ねこねこさん今までSNSにあまり触れて来なかったそうです。

お仕事柄確かにそこまで必須とされない上に、私や結城玲夏さんと比べても年上のご婦人、となるとこれは技術的なサポートが不可欠だと考えました。

私が色々お教えするのもそうですが、ここで「ソクラテスラ」で深まったチームの結束力が生きたのか、結城玲夏さんと2人(っていうか割と結城玲夏さんに助けて貰ったな)で支えることになりました。

編集に見て貰うと言うこと自体が初めてだとそりゃあ怖いよね

題の通りです。ここは結構気にされてました。
しかし編集と言うのは難儀な生き物。甘やかすイエスマンではいけない。しかしやはり詰めに詰めるのも間違っている。

ねこねこさんが出してくれた初期プロットも、お話自体はしっかりしているものの改修ポイントはそこそこある。
そこで蛇が考えたのは以下のポイントです。
・基本的な設定や「シニガミさま」の手でおばあちゃんと入れ替わる話は残す。
・しかしただ主人公と入れ替わるだけでは「主人公の成長」に繋がらず、結局はなし崩し的に「主人公に都合のいい環境変化が起きただけの話」になるため、「主人公の成長=おばあちゃんの望み」と定義して入れ替わる先を変える
・そして入れ替わる先が変わったことは「シニガミさまの手違い」と言う設定にしてちょっとした物語のアクセントを作ろう。
と言う提案をしました。
決して「面白くない」とか否定せず、双方が納得できる形での物語の構築。編集に見て貰うこと自体が初めてで、少し怖いと思っている方を導くってのは簡単じゃないけど考えてやれば出来ることなのです。そう、白色黒蛇ならね。

現役で介護の第一線で活躍しているねこねこさんのことです。その周りの描写はリアリティの高いものが出来ると確信し、だからこそあとは話の道筋やルートだけ整備すればそこをなぞるように肉付けすることは上手にこなせるはず。
この提案を「面白い」「書けそう」と仰ってくださったねこねこさんは最終的に蛇の期待以上のものを仕上げてくださいました。

初稿の直すポイントはそこそこあったものの、Wordで分かりやすく修正指示を書くよう意識させていただきまして、かつねこねこさんが私の経験を信用してくださったおかげでそこまで荒れることもなくしっかりとゴールインしてくださったのはチーム全体の功績と言えるでしょう。

蛇が頑張る姿は誰も見てはなりませんよ?

チームメイクが完了し、ソクラテスラで遊んだ後に蛇はチーム全体にこう言いました。
「蛇が余裕そうにフラフラしてたら安心して欲しい。何もかもが上手く行っている証拠だから」

実際そう言いながら、2人の作品の方向性が決まってからはあっちへフラフラこっちへフラフラ、仕事仲間の翻訳家さんなんか呼んじゃって社会科見学(笑)とかし出す始末……

でも実は、各所へ連絡とかする時は実は2人の前でやらないようにしてたんです。
「何もかもが計画通りに進んでいる」
著者のお二方には常にそう思っていただくために、蛇は頑張んなきゃいけない時は常に席を外していました。実際考えていた通りに事は進んでいたのも事実ですし……

本当に頑張る蛇を見ていたのは、2日目の夜に浅草橋で夜を過ごした4人だけのはずです。

そもそもPVを作った理由、あとその拘り

裏工作のパートでも申し上げましたが、PVを作ろうと思ったのはPR施策以外の効果もそうですがもう1つ期待している効果がありました。
「自分の作品が如何に昇華されるかを見ることで制作ボルテージの精神的な底上げ」です。
これは前回NovelJam 2021 Onlineでやった声優さんの朗読と似たものがあります。

自分が創ったものが他の人の手によって違う形に表現される。
紛うことなくマルチメディア展開最大の魅力です。

今回のPVは2本とも、情報量を詰めることではなく
「それぞれの作品の世界観を可能な限り五感に伝える「世界観の窓」にすること」を意識しました。

だからこそ、音楽のピックアップ箇所や三楠さんのナレーションと歌詞のバランス、映像の切り替わりやエフェクトはこだわらせていただいております。

結城玲夏さんの「あしもとの天気模様」のPVは声がないですがこれもあえてです。向春日の「Cryo」が映えるように、会話文が並ぶ構図は映画の予告映像を意識していたりするんです。

情報の羅列をするなら映像である必要はない。映像には映像ならではの役割がある。そう思って夜なべ仕事で制作しました。
※まぁ会場設備のこと何も考えてなかったあたり蛇の至らなさがあるなって反省ポイントがあるんですけど

まとめ:蛇がしたこと、しなかったこと

さて、ここまでつらつらと述べましたが、割と今回(というかいつも?)蛇は放任主義です。相談されたら受ける程度。著者が自力で書けるようになったら途中経過とかをたまーに
「今なん%くらいっす?」
って聞いて
「あー順調じゃないっすか、いやぁあたしもういらねぇっすね(笑)」
っておどけるくらいのことしかしてません。

他のチームの方々は細かいところをバッチバチに議論したりしてましたが、それと比べるとなんとまぁいい加減に映ったことでしょう。

しかし、白色黒蛇的には編集の仕事は
「完成までの道筋を立てて、そこに向けてのルート整備と周辺施設の建造」だと思っています。要は開催日前にある程度やり終えている。あとは考えていた通りのことをし、考えていた通りフラフラし、考えていた通りの手筈でやることをやっただけ。

編集、白色黒蛇の仕事は11月1日の段階で半分は終わっていたんです。

長いNovelJamの歴史のなかで、こんな編集がいても良いんじゃないでしょうか? ……良くない? ダメ? いや良いじゃんよ。

それでは今宵はこれにてお休み
お相手は白色黒蛇でした。

いいなと思ったら応援しよう!