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サンプリングという新しいルール

こんにちは。
僕ことハクです。

今回からルーツ・オブ・バンドDJ、第二章サンプラー編が始まります。
前回までは、バッチバチのスクラッチをきめていくバトルDJについてお話をさせていただきました。
勿論DJの役割はそれだけではありません。
ヒップホップだったらラッパーと組んで曲を出しますよね。
そのトラックを作曲するのはDJの役割です。
ということで、DJの作曲に欠かせないサンプリング周辺のお話をこれからしていければと思います。


■基本のお話

「DJの基本理論」の時に少しお話させていただきましたが、DJの基本は「音の再生」です。
今でこそスクラッチする為のターンテーブルが楽器扱いを受けていますが、基本は音楽を再生する機械です。
ですので、スクラッチも厳密に言うと「音の再生」です。
雑な言い方をすると、凄く短いタームの音を素早く再生、もしくは逆再生したのがスクラッチです。

よくよく考えてみら、なんで素早く再生させる必要があるんでしょうか?
答えから言うとスクラッチの独特な音を出すためにです。
でも、スクラッチでなくていいんですよ。
バトルDJ達でさえスクラッチが全てではないということは、前回までにお話させていただいていると思います。
普通に音を再生させるだけでもDJとして成り立ちます(ビート・ジャグリングなど)

ということで、もっとサンプリングメインで作曲の為にレコードを利用していこうと考えるのは自然な流れですよね。
たまたまスクラッチをきめるのに適していたインターフェイスがターンテーブルだっただけです。
サンプリングを演奏をする為の機材があっても良いではないでしょうか?
勿論あります、それが「サンプラー」です。

■サンプラーという楽器

サンプラーは1979発表のフェアライトCMIや、原理だけでいうとメロトロンとか結構古くからあります。
ただ、その当時の電子機器はヤバいぐらいに貧弱なので、今の無尽蔵に再生できるサンプラーをイメージしないでくださいねw
ということで、今の演奏に耐えられるだけのスペックを持ったサンプラーの原型は間違いなくこれでしょうね。
1987年発表の「MPC60」です。

今でこそサンプラーの代名詞的なMPC、むしろこっちの名前の方がピンと来る人もいるほどです。
これにより本格的に音楽のフィールドにサンプリングを持ち込むことが可能になりました。
それまでのサンプリングは演奏においては効果音、ジングル的なことしかできませんでした。
そこから一つ飛び越えられた理由に、シーケンス機能がついていたことも要因の一つでしょう。

シーケンスとは自動再生をする為の仕組みです。
どのタイミングでどの音を鳴らすか、マシーンミュージックには欠かせない機能です。
平たくいうと、サンプリングした音を自動再生する為にプログラムすることができるようになりました。
シーケンスは今まで電子音つまりシンセサイザーの領域だったので、これは凄く画期的なことでした。

■新しいルール

サンプラーの導入により、楽器が引けなくても音楽ができる、それも自動再生で。
しかもシンセサイザーよりも直感的、小難しい音波の勉強もしなくてよい。
一度作曲してしまえばライブでは再生するだけ...めちゃめちゃ手軽になりましたねw
このことにより作曲を行う「トラックメーカー」という役割の人たちが登場することになります。

元々存在している曲を切り貼りして別の曲に再構築していく。
サンプリングで作曲する人達は、どんどんこの方法を使って曲を作ることに興味の対象が移行していきました。
但しこれは、作曲する人間には音楽の広い知識とセンスが要求されることを意味しています。
それはなまじ楽器ができることよりも難しいかもしれませんね。

しかし、この新しいルールの中で水を得た魚のように才能を開花するトラックメーカーたちが現れ始めました。
その中の一人が「J・ディラ」です。
彼がもたらした恩恵は多岐にわたるのですが...それについてはまた次回以降に掘り下げていきたいと思います。
彼は間違いなくサンプラーがもたらしたループという新しいゲームのキーパーソンとなる存在です。

■総括

このようにサンプリングという新しいルールが音楽の中に浸透していくこととなりました。
それはテクノロジーの発展、そして人々が非楽音を音楽として受け入れるだけの感覚が整ったということ...
いや、この辺のうんでんかんでんは、音楽をやっている人間の中でも難しい分野なので、またの機会にしておきましょう。

それではまた。
アディオス!


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