角換わり
クソ野郎戦法は、角換わりで使うことが多い。
なぜかと言うと、あくまでもアマチュア三段のたわごとだが、【24の突然の歩】を取られてしまってから、角を手持ちにしていないと、反撃のバリエーションが少なくなってしまうのである。
下図は、角換わり模様の出だしからの、24の突然の歩を取られてしまった形である。
相手の指し手がやや遅めであったので、心の中で不発しそうだなと思ったが、自分を信じて突撃した。
取られて不利だが、ここからしぶとく指すのがクソ野郎戦法の使い手である。
下図は、しばらく進んだ進行である。手番は私。
なんの断りもしてなかったが、この本(マガジン)では、棋譜は先手側の表記で示す。
(後手番の僕にとっての85歩は、盤面は下が後手になり、25歩と示す)
この図で、少し、クソ野郎戦法がなぜ、おとりの24歩が取られて不発しても、充分に戦えるのかという解説をしよう。
24の後手の歩に着目してほしい。
この歩が33の銀でしかヒモがついていないので、よくある角換わり腰掛け銀のような展開になりやすいのだ。
無理矢理守るなら23金だが、形が悪すぎて、向こうはやる気がしないだろう。
なんせ、クソ野郎は私で、対戦相手は、紳士淑女である前提なのだから。
上図から、本譜はいきなりしかけてしまったが、あまり自信がない展開になったので、29飛車とかひいてから、45歩としかければ良かった。
しかし、なにぶん、超のつく早指しである。
上図から45歩、同歩、同銀、同銀、同桂、44銀、24飛、23歩と進んだのが下図である。
上図を見てもらえば、普通の角換わり腰掛け銀でよくある進行であることに気づくだろう。注目すべきは、この局面、歩損ではなくなっているのである!!
こうなりゃ気持ちはこっちのもんである。
飛車が当たって桂馬取りにもなって、忙しいところだが、この23歩に29飛などとひくのは、44銀ととられて全然ダメである。
以下、横の歩をとって、43銀と打たれて、気合いで32金とぶった切ったのが下図。
級位者のみなさんに、ざっくりしたことを言うけれど、飛車を切っても良い形と悪い形があって、48の金があまり良くない形なので、この局面は、不利である。
しかし、超のつく早指し、僕ごときの棋力では、出たとこ勝負になってしまうのだ。
上図はどちらにしても、45の桂を取られる前に相手にプレッシャーをかけ続けないといけない。
とりあえず63角と僕は打った。
28飛、29飛、39飛、など怖いが、28飛車なら39金と打ってしまえば、飛車を下がらせることに成功するので、良し悪しは知らないけど、大丈夫。
結論を言うと39飛車が嫌だったかもしれないが、本譜は29飛車と打ってこられた。
29飛は74の角成とした時に、当たる位置である。しかし、いきなり74角成とするのは、59角を打たれて、58玉、48角成、同玉、28飛成などとされ、怖すぎる。
そこで、僕は底歩の49歩と打った。47歩とすぐ打たれ、一見、同金、49飛成とされ、悪いようだが、47歩の瞬間に74角成とするのがミソであり、これぐらいは僕にでも数秒あれば読める。
48歩成とすると、29の飛車をとれる仕掛けである。実際そう進んでも僕が不利かもしれないが、将棋っぽいやりとりができてるので、満足である。
本譜は銀取りにしながら、65桂とはねてきた。
一見良さそうな手である。桂馬を逃げながら、29の飛車を守り、77の銀を狙う。
ここで、77の銀を逃げるような手は一瞬でも考えない。73桂と飛んだことにより、こちらは別の筋を狙う。
38銀、19飛成、64馬と進んだ。
82の飛車と19の龍の両ドリである。
将棋というのは、諦めなければ、返し技なんてものはたくさんあるものである。
ただ、上の局面でも、僕がいいかどうかはあまり自信がない。級位者のみなさんには、クソ野郎戦法の呼吸さえ覚えてもらえばと思う。
王、飛車、角の位置だけは、常に把握しておきたい。両取りの筋などをお互いかけまくることになるのである。
ところで、将棋を指してる時に急に盤面をぐちゃぐちゃにされても、僕は復元できない。
福島の将棋会館で、小学四年生ぐらいの初段の子とやったことがあるが、勝負は僕が勝ったが、とにかく頭がいいのだろう。
局面を簡単に戻すのである。
僕はと言うと、最初の局面から流れで戻さないと絶対に覚えていないのに。
あ、そうそう。脱線したが、何が言いたいかと言うと、局面を急に隠されても、お互いの飛車、お互いの角、お互いの玉の位置ぐらいは、復元できる。
それぐらいのイメージを持つと、返し技が常に思いつきやすくなるので、級位者のみなさんは是非そうしてみてください。
この将棋は、最終的には僕が逃げ切り、勝たせてもらった。
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