【2020年読了】『貧困世代 社会の監獄に閉じ込められた若者たち』
『貧困世代 社会の監獄に閉じ込められた若者たち』
著者:藤田孝典
出版社:講談社 (講談社現代新書)
発行年:2016年3月20日
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【 2020年12月に読んだ時の感想をそのまま一年越しに載せます 】
本書の著者は、『下流老人 一一億総老後崩壊の衝撃』という本も出しています。ベストセラーになったり、流行語大賞に「下流老人」がノミネートされたりしたのが、2015年のことです。5年前ですが、テレビでそういう特集をやっていたのを、おぼろげに覚えています。(『下流老人』自体は読んでいませんが……。読もう。)一方、本書では「若者」の貧困について、様々な視点から論じています。「はじめに」から、なかなか衝撃的です。〈現代の若者たちは一過性の困難に直面しているばかりではなく、その後も続く生活の様々な困難さや貧困を抱え続けてしまっている世代であると指摘したい。〉(p.4)、〈日本社会から強いられた貧困に直面している。〉(p.4)。そこから、「社会から傷つけられている若者=弱者」という章で5つの事例をピックアップし、「大人が貧困をわからない悲劇」という章で世間ではびこっているいわゆる若者論の誤りについて指摘しています。この章で、自分の抱えているモヤモヤ感の一部が解消できたので良かったです。そして、「学べない悲劇—ブラックバイトと奨学金問題」「住めない悲劇—貧困世代の抱える住宅問題」と問題提起をされています。最後の「社会構造を変えなければ、貧困世代は決して救われない」という章では、著者の提言が示されています。
政策や社会システムによってこのような現状になっているいま、改めて選挙中だけではなく、普段から政治のニュースはチェックしていき声をあげないといけないのかと考えました。