『イスラム化するヨーロッパ』

『イスラム化するヨーロッパ』

著者:三井美奈

出版社:新潮社 (新潮新書)

発行年:2015年12月20日

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 〈はじめに〉を読んで、頭をがつんと殴られたような衝撃を受けました。なぜなら、パリで起きた2つの事件のことを、すっかり忘れていたからです。2015年1月に起きたシャルリー・エブド襲撃事件も、11月に起きたパリ同時多発テロ事件も、私の頭のなかに少しも引っ掛かりが無かったことに、恥ずかしい気持ちになりました。

 印象に残ったのは、ホームグロウン・テロリスト(自国生まれのテロリスト)という新しいタイプのテロリストについてです。ひっくるめて言うのは暴論ですが、欧州の一部の若者の様子を垣間見ることができたような気がしました。心の拠り所がほしい、心に空白を満たしたい、そういうような感情によって、危ない思想をもつ信仰に走ってしまうのが、原因の一つなのかもしれないと思いました。「それは間違っている」「じゃあどうすれば良かったの」と自問自答していくうちに思考がぐにゃっと歪んでしまいました。事象が重いです。ただ、少なくとも私はイスラム教に限らず多文化への理解を忘れないようにすること、過激な信仰にはまらないよう十分注意することを肝に銘じようと思います。余談ですが、読み終えた後、空飛ぶスパゲッティ・モンスター教をなぜか思い出しました。

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