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配役
黒宮 夢
桜木 カンナ

本編
カンナ(N)優しい声、優しい仕草、甘えさせてくれて、精神的にも肉体的にも満足させてくれた彼…大好きな彼

夢「カンナ、大好きだよ…ずっとそばにいるからね、カンナが居ると安心するんだ」

カンナ(N)彼はずっと私にそう呟いていた…私も、ずっと傍に居れると思っていた。

カンナ「もしもし、どうしたの?……体調悪いの?大丈夫?病院ちゃんと行かないとダメだよ」

夢「行きたいんだけど…まだ給料日前で…歩くのもダルいからタクシーじゃないと行けそうにないんだよ」

カンナ「わかった、じゃあ今から振り込んでおくね…」

夢「ありがとう…ほんとにごめんね」

カンナ「良いよ、体調悪いんだから仕方ないよ…明日休みだから見舞いに行くね」

夢「いや、移るとダメだから治ったら連絡するから、その時はデートしよう」

カンナ「……うん、わかった……じゃあ…また……」

夢「よし、カンナは大丈夫……あ、もしもし朔夜?今日、大丈夫だよ…うん、了解…じゃあ今日、いっぱい楽しもうな」

夢(N)そばにいるよ、大事にするよ、大好きだよ……愛してる

何故か俺の周りにはその言葉に飢えている女性が多く集まる。

そして俺は、その言葉を言うのに何の抵抗もない…別に利用してるつもりは無い。

どちらも好きだし、どちらも大切。

だから俺は悪くない…

カンナ「病院、大丈夫だったのかな?何も連絡ないけど……きっと薬もらって寝てるのよね」

夢「カンナお疲れ様」

カンナ「え!?夢!なんでここに…体調は大丈夫なの?」

夢「昨日ゆっくり寝て、今朝病院で薬と注射打ったらすぐ回復したよ」

カンナ「良かった!あ、でも病み上がりだから無理したらだめだよ?」

夢「もちろんだよ」

夢がカンナを抱きしめる

カンナ「夢…大好きだよ」

夢「俺もだよ…大好きだよ」

カンナ(N)その時、私は違和感を感じた…でも、その違和感は何なのか、その時は分からなかった。

夢「今日はどうする?うちに泊まる?」

カンナ「夢は大丈夫なの?」

夢「俺は平気だよ…寂しい思いさせたからね」

カンナ「うん、じゃあ泊まる」

夢「じゃあ行こうか」

カンナ(N)夢の部屋に泊まる、それだけでも私は嬉しかった…でもさっき感じた違和感が分かってしまったのだ。

洗われたコップ、捨てられてる使い切りのヘアケアのビニール、何よりも…部屋の香りが違ったのだ。

他の女が来た……いつ?

いや、昨日だ。

カンナ「部屋、綺麗だね」

夢「ん?あぁ…病院から帰って来て体調良かったから掃除したんだ。カンナと綺麗で気持ちいい部屋で過ごしたかったからね」

カンナ「ありがとう!」

夢「気にしないで、カンナ…大好きだよ」

カンナ(N)今は我慢…この気持ち悪い汚い部屋で過ごして、誰か突き止めなきゃ

夢「はぁはぁはぁ……カンナ、気持ちよかったよ…」

カンナ「はぁはぁ…うん、私も…気持ちよかった」

夢「明日は仕事だろ?ゆっくり寝よう」

カンナ「うん、おやすみ…夢……」

カンナ(N)程なくして夢から寝息が聞こえてきた…私は彼のスマホを調べた。

LINE、discord、Skype、XのDM…一つ一つ見るうちに私は吐き気を覚えた。

カンナ「嘘…でしょ……」

カンナ(N)他の女性の影があるのは分かっていた…恐らく私が1番じゃない事も……スマホを見た時愕然とした。

カンナ「朔夜、優子、清美、舞……何なの」

夢「ん…カンナ?」

カンナ「はっ⁉️…ご、ごめん起こしちゃった?喉が渇いたから飲み物飲もうかと…」

夢「冷蔵庫にミネラルウォーターあるから飲んで良いよ……」寝息を立てる

カンナ「あ、ありがとう……はぁ…」

カンナ(N)私を含め5人と付き合い、更に色々な言い訳をしてお金を貰っていた…昨日は朔夜、一昨日は舞、明日は清美…

他の女性とのやり取りを見てるうちに涙と絶望が私の心を染めていった。

夢「カンナ…何してるの?それ、俺のだよね」

カンナ(N)真後ろから聞こえた声は何の感情も無い、冷たく冷静な声だった。

夢「あぁ…見たんだね…」

カンナ(N)心臓の鼓動が早くなる…今までに聞いた事のない声…言い方。

夢「さ、それ返して…いい子だからさ」

カンナ「え?」

カンナ(N)次の瞬間、私は床に倒れていた…背中に熱い感触と鈍い痛み……

ゴボゴボと血を吐きながら声にならない声を出していた

カンナ「ど……し…て」

夢「うん、いい子だね…返してね…大丈夫、俺の心の中でずっと一緒にいるからね…愛してるよカンナ…」

カンナ(N)最後に見た彼の顔はいつもの、優しい…私を満たしてくれる時に夢の顔だった。

夢(N)嘘はついていない…朔夜、優子、舞…そして、カンナ…

みんなみんな大好きだよ。

俺の心の中でずっと一緒…君たちに触れられないなんて事も無い。

地下に保存してある…いつでもみんなと会える…抱いてあげる。

カンナもやっと一緒になってくれた…

いつ気付くか、ずっと待っていたんだよ。

明日は清美…気づいてくれるかな…

どんな気づかせ方にしようか…

仕方ないよね、5人全員愛してるんだもん…

あはははははは

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