見出し画像

無いはずの建物登記

かなりご無沙汰の投稿となってしまいました。

本日は、土地の所有者からの建物滅失申出という制度について。

通常、建物が取壊し等により滅失した場合は、建物の所有者から建物滅失登記を申請する必要があります。

しかし、相続登記や不動産を売却するタイミングで敷地上の建物の謄本を取得する際、ごく稀に依頼人から聞いていない建物の謄本が見つかることがあります。

先日も相続登記のご依頼をいただき、調査したところ、亡くなった人とは異なる所有者の表題登記だけがされた建物登記が見つかりました。

依頼人である相続人に確認すると、所有者として記載された人物に覚えはないとのことでした。

このような場合、まずは建物図面を取得し、現地にて該当の建物が存在するのかを調査します。

今回は、かなり古い建物で建物図面も存在せず、現地調査でもそれらしき建物は存在しなかったため、土地の所有者からの建物滅失申出を行うことにしました。

この制度は、不動産登記法第28条の登記官の職権による表示に関する登記を促すもので、土地の所有者のみならず、利害関係人からでも可能です。

通常の登記「申請」ではなく、「申出」であり、法定の添付書類もありません。

①現地に建物が存在しない。
②建物の所有者を探したが見つからない。

土地家屋調査士が代理して申出を行う場合、上記のことを証明する資料を添付書類とし、調査報告書を作成します。

今回は、表題部に所有者の住所の記載がなかったため、敷地地番の住所(住居表示未実施地域のため)で不在住証明書を取得し、敷地所有者からの上申書を添付して申出を行いました。

完了するまで1カ月程度はかかるものと想定しておりましたが、3週間もかからず完了しました。

法務局の登記官の裁量による部分が大きいので、正直なところ完了にかかる時間や提出する必要がある資料にもばらつきがあります。

ちなみに、本制度はオンラインによる申出は行うことができず、登記完了後にも完了証は交付されません。

田舎に限らず、こういった滅失登記のされていない建物は残っているものと思われます。

白鷺司法書士事務所


いいなと思ったら応援しよう!