【即興短編】No2 灰色の街
世界は一度滅んだらしい。そう、隣の彼が言った。雨の中で傘を差し、灰色の街を眺めながら言葉を紡ぐ。空はどんよりと鉛色、目の前に広がる景色は瓦礫で崩れた街。誰一人として住んでいない、そんな街だ。
彼はいつも通り飄々とした態度で瓦礫の中を進んで行く。そんな彼の後を自分が続く。行くあてもなく、目的もなく、ただ二人で何処かを目指している。何処に行きたいのか、到達したい場所はあるのか、心は何処へ捧げればいいのか――何もわからない。永遠と歩いて来たが、誰にも会わず、生き物すらも見かけな