鴨川にはやっぱり鴨がいるんだな 記録2023
関西出張最後の日は京都で目覚める。
四条河原町にあるビジネスホテルに部屋を取っていた。ここを利用するのは2回目、四条大橋がすぐで1階がコンビニと好立地。古いビルだが、一夜寝る分には申し分ない。何より、安いんだ。
平日とはいえ8月、外国人観光客も増えてる中で「5千円のお部屋が空いております」と言われてびっくりした。ユニットバス、テレビ、エアコン、冷蔵庫付き、広くはないが狭すぎない。ベッドは立派でもないが寝心地は悪くないし、11時チェックアウトなのも嬉しい。フロントの方々も丁寧で感じがいい。帰途につく日は雨の朝だった。
「傘はお持ちでいらっしゃいますか」と聞いてくださる。
ありがたかったが「折り畳みを持っていますから」と伝え、礼を言って宿を後にした。
すぐ駅に向かう気にはなれず、なんとなく八坂神社のほうに歩く。鴨川に目をやれば鴨が数羽いる。鴨川なんだから鴨はそりゃいるか、と思ったらすれ違うふたり連れが
「わ、鴨が飛んだ!」
「ええ、鴨って飛ぶん!?」
なんて会話を交わす。飛ぶよと思ったが、ニュースなどでよく紹介されるカルガモの「ひょこひょこ歩くイメージ」が強いのかもしれないな。
『鍵善良房』でお菓子を買って帰ろうと思い、寄り道。
喫茶室が空いているようで、生菓子をいただきたくなる。今の時季だけの「岩清水」、きれいだな。しげしげ眺めていると川音が聞こえてくるようだった。中は白あん。
「納涼」は見た目は地味だが、中のあんこが佳味そのもの、なめらかにして濃密だけど舌触りは軽く、涼やかな甘さ。口に入れて、飲み込むのがもったいなくなる。こんな風に包むの難しいんだろうな。
やっぱり、来てよかった。
くずきりが有名なお店だけれど、季節の上生菓子もおすすめですよ。喫茶室の雰囲気と光と生け花もぜひ楽しんでほしい。生菓子は通販もあります。
河原町交差点すぐのところで、懐かしい方とばったり。親友トネチの仲良しで、昔よく一緒に遊んだYさんご夫婦。最後に会ったのは、もう12~3年ぐらい前だろうか。しかしパッと見てよく私と分かったなあ……かなり増量して体型もすっかり変わっているというのに。
再会を喜んでくれて、嬉しかった。記念撮影して別れる。ありがとうございました、お互い元気でいようね。
どこかでお昼をと思ったが、和菓子ふたつで気持ちがわりに満ちたので、新幹線用にお弁当を買うことにする。高島屋地下でちょっといいのを張り込んだ。鱧寿司や鮎寿司にも惹かれたけれど、『修伯』のお弁当にする。
値段は昔風にいうとCDアルバム1枚分ぐらい、それだけの価値は確実にあった。よい出汁を存分に含んだ冬瓜を食べ始めにしたの、我ながらグッドチョイス。体に涼感が満ちて嬉しくなる。出汁巻き、西京焼き、なす田楽、鯖寿司、松風が特に忘れられない。
うん、またこれを買おう。今度はゆっくり、日本酒と一緒に楽しむのだ。お店にもうかがってみたい……。
さあ、日常に戻らねば。
分不相応にごちそうを楽しんだ後はいつも『エスパー魔美』という藤子・F・不二雄先生の漫画であった「さあ、今後しばらくはたくあんでお茶漬けの毎日だ」的なセリフを思い出す。
東京駅に着いたらどしゃ降りだった。
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