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青い時代、助産師を目指した『はくまま』。

助産師ってなぁに。


 突然ですが、助産師という職業をご存知でしょうか。きっと、お子さんのいらっしゃる方であれば、知っているという方が大半だと思います。
 当の『はくまま』は、大学進学を検討するまで、助産師という存在を知らずに過ごしてきました。

 数年前、マンガであった原作「コウノドリ」がドラマ化されて、世間に感動を与えました。ドラマ「コウノドリ」は、『はくまま』イチオシの感動作ですが、ただの物語ではなく、とてもリアルな作品です。そこに描かれているのは、妊娠・出産にともなった、登場人物たちの葛藤や苦悩。喜びばかりではない、新たな命を迎えることの偉大さ。そして、いのちの尊さと生かされていることへの感謝。

 助産師は、新たな命を迎えようという人生の段階にあるご家族を支える、そんな職業です。この日本に生まれて育つ人であれば、だれでもかならず、人生に一度は助産師との出会いがあることと思います。

『はくまま』が助産師と出会うまえ。


 『はくまま』には、夢がたくさんありました。自分が好きなものごとを通して、だれかを笑顔にできる仕事をしたいと思っていました。ひとの役に立てるひとになりたいと思っていました。

 宝塚の男役(身長が足りずに諦めました)、劇団四季でライオンキングのナラを演じること(ディズニー以外の作品に注力できないように思われて諦めました)、「おかあさんといっしょ」の歌のお姉さん(音大卒やミュージカル出身であることが必要条件だと知り諦めました)etc…

 ほかにも、自衛官や医者、ディズニーキャスト、作家などなど。

 いずれも、お金がない、学がない、やりたくないこともやらなければならない、そんな理由で諦めという選択肢を選んできました。

 ただ一つ言い訳をするなら、どれも諦めを押し切るほど、「これが私の生きる道」と強く言い張れるほどの情熱を持ち合わせていなかったのだと思います。そしてなんとなく、それらの夢を叶えることよりも、世の中から私に、他にもっと必要とされている夢があるのではないか、と思っていました。

『はくまま』がなりたかったもの。


 『はくまま』が高校生のとき、日本人ジャーナリストがテロリストに命を奪われるという事件が起こりました。これをきっかけに『はくまま』は、世界中では大人になることもできずに奪われていく幼い命がたくさんあることを知りました。

 「どうして自分よりも幼くして亡くなってしまうんだろう、生まれてきたこの子たちの人生の意味ってなんだろう、どうして私は生きているんだろう。」

 今まではただニュースの先にある他人事であった様々な胸痛いできごとが、はじめて悲しくて仕方がありませんでした。

 「私にはたくさんの夢があるけれど、どれも、世界のためになると自信を持てない。どの職業も、私にはその動機を見出せる職業ではない。」

 それから『はくまま』は、今の世の中に対して自分にできることはないのだろうかと一生懸命に考えて、調べて、助産師という職業を知るようになりました。

 「助産師であれば、病気や怪我の看護だけでなく赤ちゃんを助けることもできる。私はいつか発展途上国に行って、世界中の子どもたちが元気に過ごせるように支援したい。」

 当時の『はくまま』にとって、助産師になれば、ひとの役にたてると信じていました。

『はくまま』が助産師をめざしたとき。


 ところが、『はくまま』が助産師になるために勉強をしていたころ、「虐待」というテーマと出会いました。『はくまま』にとって衝撃だったのは、「社会的な課題は発展途上国にあると思っていたのに、日本という自分が生まれ育った国にすら、こんなに悲しい課題が存在しているのか。」ということでした。

 それまでは外の世界にばかり目が向いて、もっともっと身近にあった問題を問題とすら気付くことができずにいました。
 「たしかに、世界レベルの問題の方が規模や件数といった値は大きいけれど、ひとりひとりの命や人生に差違はなく、問題の大きさはそもそも比べられるものではなかった。」

 『はくまま』は、これまでどれほど恵まれて過ごしてきたのかを考えさせられました。そして、「助産師になったとしても、問題の解決には繋がらないのではないか。」と頭を抱えました。

『はくまま』がなりたいもの。


 諦めた職業を夢見ていたとき、助産師を夢見た日、いつも変わらずあったのは、ひとの役に立てるひとになること、それが『はくまま』の出発点でした。

 一度は挫折した助産師の道でしたが、今でも世界の役に立てる自分でありたいと『はくまま』は思っています。
 戦争や飢餓、強盗や殺人。虐待や望まない妊娠、不倫やいじめ。さまざまな課題があふれている世界に対して、何か一つでも『はくまま』にできることがないかを探しています。

 そんななか、気付いたことは「ひとの役に立つには、どんな仕事をするかが重要ではない。どんな自分というひとであるかが重要ではないか。」ということでした。

 世界や地域にあふれる課題を解決するには、『はくまま』がどれだけスーパーウーマンでも及びません。ましてや『はくまま』は、どちらかといえば鈍くさく、いつも誰かに助けてもらっています。

 そうであるなら『はくまま』は、「みんなに好かれるひとになって、『はくまま』がもつ夢を一緒に叶えたいと思ってもらえるようになることが大切ではないか。」と思うようになりました。

 だれかを笑顔にしたくて、たくさんの夢と出会ってきたけれど、たくさんの諦めという選択をしてきました。けれど今は、過去を取り戻すように、「あの時、諦めてきた夢を叶えるために、今から努力しても遅くはない。」と思うようになりました。

 それは、夢を叶えた『はくまま』を想像すると、すてきな笑顔の魅力的なひとになっていると思ったからです。自分の好きなこと・やりたいことを全力でやる、そんな『はくまま』なら、同じ夢を見つめ、叶えようと思ってくれるひと達と出会えると思ったからです。

 水たまりに落ちる一滴の水が波紋を起こしていくように、まわりへ笑顔を広げることができる。『はくまま』は、そんな一滴の水になりたいのです。

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