マンガ雑感想 トクサツガガガ20巻 また会おうオタク戦士たちよ
※この記事もネタバレしかありません
オタクとはライバルキャラが味方になる展開に弱い生き物である
さて、ついにトクサツガガガも最終巻。ラスボスのモウイーワをどう攻略するのか? どんな熱いラストエピソードが待っているんだ!!? と意気込んでいたら、なんと最も熱かったのは獣将王のショーンの展開! いや、ゲンカが仲間になるって反則でしょ!! そりゃ叶も吉田さんもバグるわ! 自分も読みながら「はわわわわ」してたし……。文字通り背中を預けるなんてずるいずるい。
もうね、なんというんですかね、昨日の敵は今日の友というかずっと対立していたライバルがラストショーで共闘ってシチュは胸熱が過ぎるんですが、もうこれは20巻かけて獣将王も読者とともに歩んできたからこそですね。いつもの劇中劇の単なるシチュエーションではなく、リアルな体験なのですよこれは。巻末コメントで丹羽センセがトクサツガガガは「一年『獣将王』が始まって終わる話にしよう」とおっしゃってましたが、その狙い、ばっちり刺さってます……!
ダミアンに始まりダミアンに終わるのだ
永遠の戦友となった吉田さんですが、叶のオタ仲間の中でダミアンはその吉田さんより先に登場してるんですよね(ダミアンは3話、吉田さんは4話)。そういう意味では最終章のテーマにダミアンが選ばれたのは必然なのかもしれない。子供の頃の抑圧の反動でトクオタOLになった叶の物語として、現在進行形で抑圧と戦ってるダミアンとみるとホントラストにふさわしい。
ダミアンのお悩みというある意味マンガ的には盛り上がりに欠けるテーマをもってきたわけですが、そこを獣将王のラストショーと絡めることで盛り上げてカバー。最初はどうなることかと思ったモウイーワ編も終わってみれば、なんだかんだ良い構成になりました。
吉田さんルートもきっちり終わらせたしね!笑
オタク人生は永遠なり
ショーの後はマイちゃんの再登場でちょっぴり成長を感じつつ、ソールマンの復活で歴史を感じつつ、最終回の締めの締めはやっぱり獣将王。オタクコメディらしく、壮大なラスト展開というよりも、いつものお別れくらいの軽い締め。それがとてもよかったです。
少し前まではお母ちゃん問題が最後の山場でそれを解決して大団円!みたいな想像をしていて、そこで締めなくて大丈夫か? 蛇足にならないか? なんてことを思っていたのですが、今思えば引っ張って大正解。一つの区切りに過ぎない、だってオタク人生はこの先もいつまでも続くのですものってなものです。特撮の1年というのがそれそのものが激しいアップダウンであって、トクサツガガガに感動のラストはいらないのだ。
そういう意味ではコミックス書下ろしの後日談は実にエモい(使い方あってる?)。ちょっとあとのちょっとあと加減が絶妙ですよ、丹羽センセ! よかったのは岸田さんエピソード。ほんわかたまらん。小野田くん春きたんちゃう? 岸田さんはなんか裏がありそうで面白くなりそうなキャラだっただけに出番が回ってこなかったのが非常に残念。実は隠れオタOLで第二の叶ちんだったり? 続編いけますね?! そして尊いのがショート叶。かわいい。純粋にかわいい。でも、この髪型ではトクサツガガガが生まれなかったというか、ここまでの物語にはならなかったよね。やっぱり叶ちんはポニーテールで。
というわけで1巻から追いかけていたトクサツガガガガもこれにて完結。20代で出会ったマンガの中では間違いなく上位に好きな作品でした。よく考えてみてばトップもあるかな? ありがとう丹羽センセ、ありがとう新宿紀伊国屋書店で連れにトクサツガガガをもうプッシュしていた名も知らぬ兄ちゃん。君の連れは買わなかったけど、僕は君のプレゼンを聞いてこの作品にであることができたよ、素敵な作品をありがとう。
丹羽先生の次回作にとても期待!!