販促DXの潮流を読む
こんにちは。デジタルプロモーション事業本部です。
今回は、博報堂プロダクツの広い事業領域の中でもセールスプロモーション(販促)とその動向に焦点を当てて少し話すことができればと思います。
そもそもセールスプロモーションって..?
セールスプロモーション(販促)とは、キャンペーンなどを利用して生活者の購買意欲や流通小売りの販売意欲を引き出す活動のことを指します。
例えば、対象商品についている点数シールを集めて、店頭に置かれている、もしくはWebサイトからダウンロードして印刷することのできる専用シール台紙にそれを貼って郵送すると、賞品がもらえるキャンペーンなどがそれにあたります。
こういった販促にまつわる予算については広告宣伝費の約2倍以上の規模とも言われています。
広告市場において、ここ二十数年の間デジタル広告が市場成長を牽引してきました一方で、販促市場のデジタル化は現状大きく立ち遅れていて、先に挙げたキャンペーンのような”アナログな手法”が今でも主流になっていたりします。
販促1.0から販促2.0へ
アナログな手法でのキャンペーンが販促1.0とした場合に、数年前から販促2.0ともいえるキャンペーンのデジタル化が進み始めました。それは、”自社オウンドメディアを活用”したキャンペーンの実施です。
例えば生活者はキャンペーンサイト上でメールアドレスとパスワードを入力して会員登録を行い、対象商品についているシールに記載されたユニークコードを入力してシールを貯める、そして賞品に応募するというようなキャンペーンフレームが徐々に増えてきました。
これにより、生活者は専用シール台紙を入手したり、シールを貼って郵送したりという手間がなくなりましたし、またキャンペーン主体者からするとキャンペーン参加者のメールアドレスを獲得することができるようになりました。
それに加えて、これまでだと専用シール台紙がキャンペーン事務局に到着するまではキャンペーン参加状況を把握できませんでしたが、自社オウンドメディアでのキャンペーンに切り替わることで、キャンペーン参加状況をリアルタイムに把握することができるようにもなりました。
販促2.0から販促3.0へ
オウンドメディアを活用したキャンペーンを販促2.0とここでは仮に名付けましたが、これにより生活者の利便性も向上しましたし、キャンペーン主体者側のデータ取得とキャンペーン進捗状況の把握ができることで、CRM(Customer Relationship Management)も加速していきます。
この販促2.0が浸透するのも束の間、販促3.0ともいえる兆候が見られるようになります。それは、”プラットフォーム活用”で、例えば、LINEやPayPayなどを活用したキャンペーンです。
LINEやPayPayのようなネイティブアプリで生活者がキャンペーンに参加することになり、キャンペーンサイトに入力していたメールアドレスとパスワードすら不要になりました。生活者自身のスマートフォンにLINEやPayPayなどのアプリがインストールさえされていれば、キャンペーンに参加できるほど利便性が向上しました。
また、キャンペーン主催者の立場からすると、メールアドレスでなく生活者のアプリ内でユーザーIDを獲得できるようになりました。生活者がメールを使わなくなり、アプリでコミュニケーションを行うようになった手前、このユーザーIDの獲得によりキャンペーン主体者と生活者がつながることができ、そしてキャンペーン期間中のCRMがより簡単に、より効果的に行うことができるようになっています。
販促市場の歴史的転換
アナログなキャンペーンがオウンドメディアを活用したキャンペーンへ、さらにそれがプラットフォームを活用したキャンペーンに進化してきたと説明しましたが、今、販促市場は歴史的転換点にあると考えています。まさにこれこそが販促のDX化です。
広告市場の成長を牽引したデジタル広告の世界において、CV(コンバージョン)という概念が発明されたことで、リーチ型広告、クリック型広告、検索連動型広告、リターゲティングといった広告効果の可視化が進み、それによりデジタル広告投資の説明責任を果たせるようになった結果、広告投資額が大きく増加しました。
同じことが、販促市場でも起きようとしています。これまで集客ツールは印刷物であったため、集客施策と購買行動との関連性を把握することが困難でした。チラシで店外告知を行い、店頭POPで店内告知を行い、DMで再来店告知を行う一方で、購買情報はPOSのみ、言い換えると、告知と購買のデータとその相関は繋がっていないというのが販促の基本でした。
しかしながら、例えばプラットフォーマーのユーザーIDと店頭のPOSを紐づけることで、だれがどこで告知に接触して、そこで購買したかを把握することが出来ます。このように、IDが一元化された世界の中で、購買証明こそが店外告知や店内告知、購買促進、再来店告知の成果の可視化を促進させると考えています。
少し概括的なテーマなので、読みづらい内容だったかもしれませんが、これを機に販促市場のデジタル化に少しでも興味を持ってもらえればと思います。