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九州で働くのアリかもと思っているシティクリエイターに捧ぐ「九州のクリエイティブあるある5選」。

明日朝イチにこのnote原稿をアップしなければならないのに、書き始めたのが夜です。よく東京の人に「九州ってのんびりしてるよね〜」って言われますが、それだけじゃありません!
 
九州で“コピーライター”という名刺を持って12年経った私が、「これ九州ならではだよな〜」と愛おしく感じる「九州のクリエイティブあるある5選」(主にコピーライターまわり)をご紹介します。都会に疲れて花鳥風月に癒されながら創作活動をしたいクリエイターの方、必見です!

九州の中でも“福岡”って独特の広告文化

あるあるをお話しする前に、みなさんにひとつお伝えしておきたいことがあります。それは、そもそも九州が、その中でもとりわけ福岡が、独特の広告文化を持っているということです。
 
まずコピーライターの話でいくと、全国にはTCC(東京コピーライターズクラブ)をはじめいくつかのCC(コピーライターズクラブ)が存在しますが、FCC(福岡コピーライターズクラブ)のように60年以上の歴史を持つCCはそうありません。
 
福岡は“日本のカンヌ”と呼ばれた時代もありました。その理由はあるあるにもつながってくる気がするので、後ほどご紹介します。
 
それだけではなく、男女比や年齢のバランスの良さ、コンパクトにまとまった街、流行りもの好きの福岡の人たちの気質から、テストマーケティングの地としても有名です。ここ数十年は通販大国としても知られています。
 
そんな福岡を中心とした九州で、どんなクリエイティブあるあるがあるのか。今回は私なりに厳選した5つをご紹介します!

「九州のクリエイティブあるある」①若手も社長にプレゼン

九州はクライアントとの距離が近いです。若手であっても企画の決定権を持つ経営層(代表取締役やCEO、COOなど)に直接お会いして(リモートでも)プレゼンをし、お話しを聞く機会もあります。
 
経営層の方は組織のトップに立たれているということもあって、思考はキレキレですし、人柄も魅力的な方が多く、素直に「この人のために、この会社のために役に立ちたいな」と思えたりします。
 
実際に貢献できたときは、喜ばれている声や姿を直に見ることができ、それも次のやる気につながったりしています。

「九州のクリエイティブあるある」②“予算ない”からアイデアが生まれる

九州は東京と広告予算が全然違います。ざっくりいうと、半分から3分の1くらい違うと思います。
 
そんな中で、東京と同じようなやり方で、東京のように憧れのシュッとしたクリエイティブをめざしても、うまくいくわけがなく…
 
だからこそコピー1本を粘ったり。デザインの力で突破したり。新しい企画にチャレンジしたり。みんな試行錯誤しているんだと思います。
 
最近の私の仕事を例にして恐縮ですが、この動画の宮崎カーフェリーの新船プロモーションも、“毎年たくさんの予算をつかえない”からこそ生まれたアイデアでした。
 
数年先も“新船の顔”として長くつかえるクリエイティブにするため、タレントを起用した一発花火的な企画ではなく、永井博さんのイラストとカクバリズムさんとの楽曲をメインにした、クライアントの“資産”となる企画として提案しました。

結果的に競合プレゼンに勝利し、得意先にも満足いただけるPR効果を生むことができました。
 
これはほんの一例で(例になっているかもあやしいですが)、予算に限りがあるからこそ生まれた九州らしいアイデアは、長い歴史の中でたくさん存在しています。それをもっと知りたい方は、FCC年鑑をぜひご覧ください!

「九州のクリエイティブあるある」③1人2〜3役

豊洲本社に転勤になったデザイナーの後輩が言ってました。「東京は自分の仕事の範囲が明確です」と。その道のプロがより専門性を発揮できるように、分業制がしっかりとしているということでした。
 
九州はちょっと違います。各専門職の人数や予算も限られているので、コピーライターがCMプランナーになったり、ADがカメラマンになったり、プロデューサーがディレクターになったり。それは良くも悪くもやるしかない、というのが現実です。
 
良い点は、企画の全体像を把握しやすくなったり、自分が中心になって作っているという実感や責任が生まれること。
 
最近は『ワーク・シフト』(リンダ・グラットン著)でも推奨されているように、ひとりの人が複数の専門性を身につけるというケースも増えてきた気がします。そんな未来的な働き方をされたい方に、九州はマッチするのかもしれません。

「九州のクリエイティブあるある」④競合のCDからご指導いただく

九州はクライアントとの距離も近いですが、各代理店や各プロダクションとの距離も近いです。競合会社に宣伝会議の講座同期がいたり、前職の先輩がいたりもします。
 
FCCでは「親睦と研鑽」という理念のもと、公開審査会でも競合の作品について鋭い意見が入りますし、その後の懇親会は大御所も若手も入り乱れての議論が巻き起こったりします。
 
そんな中で競合のCDからご指導いただいたり、褒められたりも。そこで、次の仕事へのやる気も生まれている気がします。
 
映像プロダクションでも、若手ディレクターへ競合会社のプロデューサーがアドバイスしているのを見かけたことがあります。ローカル特有の“あったかいおせっかい”が残っているのかもしれません。

「九州のクリエイティブあるある」⑤スゴロクモーターでつながる

このあるあるに共感できる方は、きっと福岡で楽しい夜を過ごした経験がある方ではないでしょうか。「スゴロクモーター」とは、なぜだか知りませんが、九州の広告制作に携わるクリエイターがよく集う警固のバーです(店主には掲載OKをいただきました)。
 
私も宣伝会議の講座に通い始めた20歳の頃から行っており(最近はコロナ禍もあってめっきり行く回数が減りましたが)、そこへ行くとコピーライターやCMプランナー、プロデューサーやディレクター、アートディレクターやカメラマンに会えたりします。
 
密かにリスペクトしている人から制作秘話を聞けて次の仕事のヒントになったり、新しい仕事を一緒にするきっかけになったり、広告と全く関係のないアホみたいな話で盛り上がったり、それはそれは楽しい夜になります。
 
何よりも店主・大野さんがつくる濃いハイボールが、どっしり溜まった疲れを開放してくれます。福岡にお越しの際は、ぜひ行ってみてください!

九州で一緒に働いてみませんか?

つらつらとあるあるを掘り起こしていたら、思ったより長文になってしまいました…最後まで読んでくださった方、ありがとうございます!
 
九州(ほぼ福岡)のクリエイティブあるある、いかがだったでしょうか?なんとなく、カンヌって呼ばれそうな気配を感じてもらえたらうれしいです。
 
そしてこれを読んで「九州で働くのもアリかな」と思ったクリエイターの方は、こちらまでご連絡ください。ぜひ一緒にスゴロクモーターへ行きましょう!

写真提供:福岡市 ※最後の写真のみスゴロクモーター店主提供