SIer業界のエンジニアがアイスタで経験を積んで、テクニカルディレクターになった話
皆さま、初めまして。
株式会社 博報堂アイ・スタジオ(アイスタ)の近藤と申します。私は、2012年10月に中途採用でアイスタに入社。10年目に突入しようとしているところです。現在は、バックエンドのTD(テクニカルディレクター)として、さまざまなクライアント企業のWebサイトやブランドサイトを陰で支える役割をしています。プライベートでは、旅行好きですが昨今の情勢もあり最近は妻と散歩をすることが多いです。
アイスタは、デジタルクリエイティブ企業。博報堂DYグループの中でデジタルを強みにした企画と制作をする会社です。この記事では、そのデジタルクリエイティブを陰から支えてきた私の働き方やキャリアについて紹介します。最後までお付き合いください。
▶アイスタに入社する前の私
アイスタに入社する前は、Webや広告業界ではなく、SIer業界でシステム開発をしていました。業務システムを取り扱うことが多く、ある程度決められたフレームの中で進めていたこともあり、新しい発見や刺激はそれほど多くありませんでした。仕事に対するモチベーションというよりは、自分の技術をいかに高めるかに興味があって、ER図を描いては仲間と自慢しあっていました。転職を考え始めたのも、ルーティンに近い仕事にだんだんと飽きがきだしていたからだと思います。そんな時、Web業界にいた仲の良いエンジニアが、Web業界ではいろいろな職種の人が働いているんだと話してくれました。デザイナーもいれば、プラナーやディレクターもいる。プラナーって何をする人?と興味をもったことがこの業界に関心を持ったきっかけでした。
▶アイスタに入社してから
私がアイスタに入社した当時、とても縦割り意識が強い組織だと感じていました。エンジニアと呼ばれる人たちが、フロントエンド、バックエンド、スマホアプリ、インフラとそれぞれに分かれていて、各領域の範疇で業務を進めているという印象でした。横の連携は、ディレクターの社員が担っていたので、何とか回っていましたが、私のようなプログラムが分かる人間がコミュニケーションをとってつなぐことで、トラブルも回避できるし、よりクオリティーの高いアウトプットになるんだろうなあと感じるようになっていきました。
その後だんだんとその重要性にも気づき、自分の領域だけにとどまらず、自然と案件全体を俯瞰して見るようになっていきました。経験の浅いプログラマーだとまだ視野が狭く、自分が担っている領域しか見ることができないんです。フロントエンドやスマホアプリ、インフラの領域の人たちがどう動いているのかを意識できない。まして、クライアント企業のご担当者、そして何より、その向こうにいらっしゃる生活者に寄り添う心の余裕などなかなか持てません。こんなことも、今だからこそ分かるんです。
▶TDに求められること
高品質なアウトプットのための要件定義や詳細設計、エンジニアの各領域を俯瞰して業務調整などをする能力はもちろん、ディレクターやプロデューサー、デザイナー、時にはクライアント企業のご担当者など、職種を飛び越えてコミュニケーションをはかり、期待されるアウトプットになるよう内外調整するスキルは伸びたと思います。実は私、アイスタに入社した当時はTDという職種があることを知らなかったんです。まして、何をする立場なのかもわかりませんでした(汗)。ある日「おまえはTDだ!」と、いつの間にかTDという肩書をいただいたというのが正直な気持ちです。仕事をしていくうちに、ああ、Web業界は職種も多いし、制作に関わる人も多い、そこで全エンジニア領域の中心人物として人を動かしながら、案件を最善の手段で安全にゴールまで導くために動く人、それがTDなんだなあと感じるようになりました。
時には、案件の企画段階からお声がけいただくこともあります。また、納品物がデジタルなので、作る前にプラナーが考えたことを技術的な側面でフィジビリティを検討したり、エンジニアという立場を超えて、「そもそもその企画面白いんですか?」って挑戦的なことを言ってみたりもします(笑)。実際に受注が決まってからは、フィジビリティをもとに使用する技術を選定したり、設計の方針を決めたりします。あとは、プログラマーに指示を出したり、スケジュールを管理したりするなど、SIer業界で言うなら上流工程を担っています。
▶TDとしてのやりがい
かつてSIer業界でシステム開発をしていたとき、ルーティン業務に飽きがきていたのは確かですが、一方で、安定している業務に満足している自分もそこにはいました。今思えば視野が狭かったんですね。アイスタの業務は千差万別。SIer業界でのシステム開発は、ある程度決まったフレームの中で業務が成り立っていたけれど、アイスタが作っているものには、そのフレームにあたるものがないんです。生活者向けの会員情報を扱う堅牢なシステム構築もあれば、リアルイベントの裏側を担ったりもします。また、小規模なWebサイトだけど高負荷が見込まれるものもあったりします。そして、クライアント企業が変われば考え方も変わる。キャンペーンにいたっては、企画の相談が来る度に毎回一から技術的に可能かを考えます。まずは頭の中で、「えーっと、これは実現できるんだっけ?」と毎回シミュレーションしてみる。いつしかこれがとても楽しく感じて、飽きない自分になっていました。
▶技術的側面で身につけた知識とその先の思い
技術的な自分の今の得意領域でいうと、う〜ん、こんな感じかな。データベースが元々の専門なので「5」、プログラミングは、設計のほうが好きなので「4」くらい、あとは、クラウド「4」、ネットワーク「2」、セキュリティ「3」。セキュリティ面の知識はアイスタに入ってから深まりました。キャンペーンなど生活者向けのサイトはよく個人情報を扱うし、ルールも細かいので否が応でも身につきました。専門家に確認することもありますが、自分でも間違っちゃいけないからと気を遣って業務をしています。前職では個人情報に触れる機会が少なかったので、それほど意識していませんでした(汗)。
また最近、フルスタックエンジニアに注目しています。私はこれまでバックエンドに主軸を置きながらインフラやスマホアプリ、フロントエンドも経験してきました。今以上に知識や経験を積むことでTDとしてプロジェクトをマネジメントする力をさらに磨くことができると思っています。その先にフルスタックエンジニアという理想があり、それを目指しています。
▶TDになるきっかけとなった仕事とそこから得たもの
私がアイスタに入社したころ、制作物として多かったのがキャンペーンサイトでした。そんな折に関わったのが会員サイト制作で、スマホアプリとも連携させるといったそれまでアイスタが携わったことのない初の取り組みでした。当時の私はまだTDではなくプログラマーという肩書で社歴も浅く、手探り状態でした。プログラムを書きつつ、インフラやフロントエンドのメンバーとコミュニケーションをとりながら進めていました。時には夜遅くにディレクターから企画の相談を受けて、フィジビリティを一緒に検討してあげることもありました。どうにか公開直前までこぎ着けても、経験が浅いディレクターだったこともあって、フロントエンドやバックエンドのタスクがわからないため公開スケジュールを作れず、代わりに作ってあげたこともありました(笑)。また、エンジニアの専門用語をできるだけ使わずに分かりやすく説明することを心がけていました。状況に応じ柔軟に動き、相手が困っていると相談に乗り、エンジニア達ともよくコミュニケーションをとって楽しくやっていました。自分の動く範囲を決めずに対応することは大切なんだと思いますね。そして、そんな働き方が「おまえはTDだ!」と言われるきっかけにもなったんだと思います。
▶バックエンドエンジニアの立場とTDとしての私の心がけ(まとめ)
Web制作におけるエンジニア領域の構成には、インフラ、バックエンド、フロントエンドがあります。我々バックエンドエンジニアは立場的に真ん中にいるんです。なので、インフラともコミュニケーションをとるし、フロントエンドとも連携します。言うなれば、インフラとフロントエンドの橋渡し役だし、案件をスムーズに進めていくためにはとても重要な役割だと思っています。インフラとフロントエンドだけの話しを聞いていると、たまに噛み合っていないことがあるんです。確かに、エンジニアという立場は同じなんですが、フロントエンドにはインフラの用語が通じないこともあるので、翻訳してつないであげる役割もバックエンドエンジニアにはあります。そんな状況のなかで私は、エンジニアの各領域を俯瞰して要件定義や詳細設計に目を配り、職種の壁を飛び越え社内外でコミュニケーションをとりながら業務調整し、期待されるアウトプットを提供できるよういつも心がけています。TDという肩書をいただき、このように業務を進められていることに感謝しています。
またアイスタには、困った時は助け合う文化があるというか、そういう人がたくさんいます。各領域の専門家もいるから相談にも乗ってもらえる。どんどん人を巻き込んでいける環境に恵まれている会社だなあと思いながらお世話になり、気がつけば10年になろうとしていました。
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▶人事担当者より
いかがでしたでしょうか?アイスタでは他業界から転職してくる社員も多く在籍しています。今回はテクニカルディレクターとして活躍する社員のnoteをお届けしました。次回の更新もお楽しみに!
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