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【日光山ガイド】輪王寺の庭が素敵すぎます

前回までのnoteには、輪王寺りんのうじ大猷院たいゆういんや三仏堂(本堂)、それに日光二荒山神社ふたらさんじんじゃについて記してきました。だらだらと記してきましたが、これはある週末の数時間で見てきた写真に、帰宅してから主にネットを中心に調べたことを追記しています。

そして今回は、日光山シリーズの最後となる、輪王寺の宝物館の庭園をnoteしていきます。

■輪王寺宝物館の庭園は一見の価値ありです!

輪王寺の見どころの、もう一つが「逍遥園しょうようえん」という庭園です。もとは輪王寺の法親王宮の本坊の庭だったといいます。

今は輪王寺宝物館の庭園となっているので、同館への入場料を払うと、もれなく庭園も見られます。宝物館の館内は撮影禁止ですが、庭園は撮影OKです。

さて、この庭園をディレクションしたのは、茶人、庭園家としてはおなじみの小堀遠州こぼりえんしゅうさん……と言われています。ちなみに小堀遠州こぼりえんしゅうさんが手掛けたという庭園は、全国各地にあり、東京であれば「江戸城二の丸」や浅草寺の「伝法院庭園(通常非公開)」などがあり、どこかの庭園へ行って由来を調べると、「小堀遠州作と伝えられる」としているところが、ものすごく多いです。

それだけ人気かつ著名な小堀遠州こぼりえんしゅう(小堀政一)さんの作と伝わる庭園ですが……残念ながら東京で見るそれは「え? 本当に?」という庭園が少なくない気がします。もちろんそれは、江戸は火事が多かったこと、明治期にほとんどの大名屋敷が破壊されたこと、多くの寺院が廃寺に追い込まれたことや、関東大震災や東京大空襲などで、作庭時の原形をとどめづかったということが理由に上げられると思います。あとは、あくまで「そう伝わっています」というだけなのでね……。

では輪王寺の「逍遥園しょうようえん」はどうか? と言えば、とてもすばらしい庭だと思いました。

実はわたし……過去の一時期に庭師……というとおこがましいのですが、街路樹や学校、公団などの樹木などを剪定する植木屋をやっていました。その時に、都立公園になっている旧大名屋敷の庭園をよく巡ってみたんですよね。

その時に感じたのが、春に「きれいだなぁ」と思わせる庭園は多いこと。逆に、冬に「きれいだなぁ」と思わせられる、雪の積もらない地域の庭園は少ないなと。

そんな雪の積もっていない時期に見た「逍遥園しょうようえん」は、一見の価値があるというか……また別の季節にも来てみたいなと思いました。

なぜ良かったのか? というのは、今すぐ思いつかないので、noteを書きながら、思いついたら書いていきたいと思います。

逍遥園しょうようえん」は、江戸初期の造園だそうです。輪王寺のトップ、法親王宮ほうしんのうのみやが住居する本坊のための庭だったといいます。というのも、庭からも見える、今の輪王寺本堂「三仏堂」が立っている場所に、明治初期までは法親王宮ほうしんのうのみやの御本坊があったんです(明治に焼失)。

法親王宮ほうしんのうのみやといえば、今でいうところの皇族から選ばれてなったかた。さらに輪王寺の法親王宮ほうしんのうのみやと言えば、東照宮や二荒山神社ふたらさんじんじゃを含む「日光山」、それに東京上野の東叡山とうえいざん寛永寺のトップであり、さらには比叡山延暦寺座主ざす天台座主てんだいざす)のトップであった場合も多いという、とてつもない権力者だったわけです(ちなみに江戸期の比叡山延暦寺や金龍山浅草寺も、東叡山寛永寺の傘下。そのため宮様は、普段は上野の寛永寺御本坊にて過ごしていたと思います……なお御本坊は、今の東京国立博物館トーハクにありました)。

なにが言いたいかといえば、当代随一の作庭家として知られた小堀遠州さんが、日光に呼び出されたのも当然だな、とも思います。ただし、案内板によれば「逍遥園しょうようえん」と名付けられたのは、江戸後期の儒者・佐藤一斎によるとあります。

写真正面に見えるのが、輪王寺の宝物殿

「きれいだな」と思った理由ですが……作庭については分かりません。この樹木や石や灯籠がなぜここに配されたのかとか、池の形がどうのとかはね……理解するのは難しいです。

ただ、「きれいだな」と思った見てすぐ分かる理由は、まずは植木ひとつひとつの剪定が、とても行き届いているからです。もう一つは、周辺の建物……輪王寺の宝物殿や、輪王寺の三仏堂、そのほか庭園から見える関連施設の建物が、庭の風情を壊していないことですね。さらに、冬だからかもしれませんが、庭を見にくる人がとても少なく、静かにのんびりと散策できたから……というのも重要な理由です。

写真右から輪王寺宝物館、輪王寺三仏堂、そして左が……不明です

少し雪の残っていますが(年末に降った雪なのだそうです)、苔むした歴史を感じさせる庭は、気持ちが良いものです。池をぐるりと巡る小径を歩いていると、自然ではないのに自然の中を歩いているような気持ちよさを感じさせます。

■輪王寺宝物殿は…まぁまぁ

なぜ庭園へ行ったかと言えば、庭園好きだからなのもあるのですが、実は輪王寺宝物殿に期待していたんです。

前note『【日光山ガイド】輪王寺の三仏堂を見ずして日光は語れず!』で記した通り、わたしの感想としては輪王寺の三仏堂を拝観して、とても素晴らしいものが見られたなと思いました。

それで、きっと宝物殿(宝物館)にも、同じくらいかそれ以上に素晴らしいお宝が展示されているはず! と思ったんです。

なぜでしょうね。期待していたような、心揺さぶられる展示は、わたしは見つけられませんでした。

見つけられなかった理由には、本堂の三仏堂や、大猷院が素晴らしすぎた…というのが大きいような気がします。特に三仏堂に関しては、今もお祈りする参拝者が後を断ちません。観光客ではなく、お祈りする人が多いんです。おそらく東照宮や大猷院よりも多い気がします(単なるイメージです)。単に博物館的に残っているのではなく、現役の寺院といった空気感が、素晴らしいと感じたんだろうと思います。

あとは、輪王寺の宝物は、散逸してしまった可能性も考えられると思います。その他、輪王寺宮の御本坊が、明治の初期…三仏堂が、二荒山神社の隣から、現在地へ移される前に、全焼してしまったことも大きいと思います。そのときに、焼失した宝物も多いんじゃないかなと。

とは言っても、「(宝物殿の)収蔵庫には、国宝1件・59点、重要文化財51件・1618点、重要美術品4件・7点を含め、日光山1250年余りの歴史を物語る約3万点の什宝を収蔵、常時50点ほどを拝観室に展示しております」と同館のホームページに記されているので、来館するタイミングによっては、ビンゴ! の時もあるのかもしれません。

また入館料(拝観料?)が300円なのでね。庭園を見るだけでも、満足感はありました。もし日光山へ来た時に、時間が許せば、立ち寄ってみることをおすすめします。

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