俳句 春の夜


俳句を作りました。
今回は一句です。詩を添えました。

俳句
紅梅や 夜艶やかに 抱きとめて


暖かな春の日差しは
冷え切った僕のこころには暑すぎて

薄暗い部屋の中で
こころが温まるのをじっと待つ

本当は誰かに抱きしめて欲しくて
人の温もりが恋しくて
独りで冷えたこころを持て余す

どうしても冷えが収まらないので
仕方なく温かな紅茶と本で気を紛らす

紅茶の温かさにホッとして
本のページをめくる指に
温かさが伝わってゆく

昼に見る事が出来なかった梅を見に
夜の公園を訪れる

街灯に照らされた梅を見上げると
八重の紅梅が咲いていた

紅梅を見上げる僕は
こころも一緒に上を見上げ
こころの蕾が開くよう

公園の夜の紅梅だけが
僕のこころを抱きとめた


時候は以下の通りです。
・春の夜
 日本人は四季の夜をさまざまに表現して
 きたが、暑くも寒くもない春の夜を、
 特別なものと考えていた。
 寒い冬を耐えてきた体も心もやわらいで、
 なんともなつかしく艶な気分を春の夜は
 感じさせるようである。

季語は以下の通りです。
・紅梅(こうばい)
 紅梅には一重咲き、八重咲きのものが
 あり、八重咲きで花が大きく、蕾のとき
 から紅い色をしているものを「未開紅」
 と呼んでいる。
 清少納言は『枕草子』で、「木の花は
 濃きも薄きも紅梅」と書き、紅梅びいき
 であった。紅梅にはあたたかさ、あでやか
 で艶な感じを受けとめて詠んだ句が多い。

ハルキ文庫 角川春樹編 現代俳句歳時記 春より一部抜粋

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