詩のようなもの 白いハト
傷ついて動けなくなった
ハトがいた
道端にうずくまるハトは
真っ白だ
小さな体を震わせて
一点を見つめる目は
とても寂しそうだ
美しく長い指が
ハトの白い羽を撫でた
やさしく撫でる指先に
最初は驚いたハトも
目を細くしていた
艶やかなその羽は
大空を羽ばたいて
こんなに小さな体一つで
空の中を生きてきたんだ
美しく長い指の人は
ハトをやさしく手のひらで包み
そっと体を持ち上げた
驚くくらいに軽い体は
ハトの存在を忘れるほどだ
こんなにも全てを無くすほどに
傷ついて
今にも消えてしまいそうなほどに
軽くなった体を
せめて今だけでも
温めてあげようと
美しい手の人は
冷たくなってゆく体に
手のひらの体温を伝えた
白いハトは目を細くして
冷たいだけの大空から落ちた
この体を
温めてくれるその人は
きっと神様だと思った
心まで冷たくなりかけていた
けれども
美しい手のひらで包まれて
小さな灯りが灯るのを感じた
この一瞬がハトには
永遠で
この灯りがあれば
何も怖くはなかった
ホーホーと
鳴いていたハトは
手のひらの中で
さらに軽くなり
大空に羽ばたいていった