エッセイ 今は、これで、精いっぱい
題名は、宮崎駿監督の
「ルパン三世カリオストロの城」で、
ルパンがクラリスに北の塔で初対面
したときにいう決めセリフである。
僕はこのセリフが好きだ。
このセリフを、
なぜか急に思い出した。
宮崎駿監督の最新映画が話題に
なっているからだろうか。
毎日の生活に少し、
疲れているのかもしれない。
僕はこの映画が封切りのとき、
確か中学生くらいだったと思う。
僕の田舎には映画館がないので、
父親に映画を観に連れて行って
もらったものだ。
普段頑固で、あまり会話もしない父親と、
どういう話で映画を観に行くことになった
のかは、覚えていない。
書きながら当時を思い出してきたけど、
どう考えてもおかしいのだ。
ちょっと、聞いてほしい。
子供が、父親と、
映画を観に行ったんです。
映画館に着いたんです。
その日は、
2本の映画を上映してたんです。
ここまでは、いいんです。
一本は、
ルパン三世カリオストロの城。
これは当然として、
もう一本が、
千葉真一主演の戦国自衛隊でした。
これも封切りです。
映画館で2つのポスターを眺めていた
映画好きの父親は、あろうことか、
戦国自衛隊を観たいといいだします。
まあ、そりゃそうです。
当時、宮崎駿はまだ無名に近く、
大人からすれば、
ルパン三世のアニメより、
千葉真一の映画のほうが面白いに
決まってるんです。
子供と映画を観に行って、
子供が観たい映画があるというのに、
自分の観たい映画にすり替えようとして、
そうそう、また思い出しました。
父親は、
「俺は戦国自衛隊を観るから、お前は
カリオストロの城を観ればいい。」
とかいうんです。
中学生ですよ。
はぐれたら帰り方もわからないのですよ。
当然僕は不安になりましたよ。
仕方なく、
父親の観たい映画を観ましたよ。
苦い思い出です。
半村良原作の戦国自衛隊は、
その後、リメイクされるくらいなので、
これはこれで、面白かったのですが、
封切りでカリオストロの城が
観れなかったのは、今でも残念です。
その父も亡くなり、
今頃なぜ、ゴネるのかと思いますが、
お盆が近いからでしょうかね。
(ちなみに実家は8月がお盆です)
疲れている僕を見かねて、
父親が思い出させてくれたのかも
しれません。
あんな父親でしたが、
僕の中では生きてるんですね。
「今は、これで、精いっぱい」
それでいいんだと、
いってくれてるのかもしれません。
ここまで聞いてくださった方には、
感謝いたします。
ありがとうございました。
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