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詩のようなもの 望月の歌

*はじめに
今年11月16日の月は藤原道長が見た望月と
ほぼ同じ形らしい。
(ニュースで知りました)
その日、僕の街の夜空は曇り続きで、
月は雲の裏に隠れていた。
それから2日ほどが過ぎた夜の月は、
欠けた月がハッキリしていたけれど、
今まで見た中では一番美しかった。
今僕は、古人が1000年前に見上げた月と
同じ月を見ているのだと思った。

古人は少し欠けた月を見上げて歌を詠んだ。
僕は学校でこの歌を学び、これは古人が
我が世の春を詠んだ歌だと教わったが、
1000年の時を経ても残る歌が
素晴らしいことに変わりはない。

あるSF小説には
月を見上げた猿が知恵を得て
人の祖となったとある

古の日に月を見上げて
歌を詠んだひとたちは
やんごとなきひとたちだ

今僕は月を見上げて
彼らと同じように月を愛でる

長い年月を経て
ひとつの同じ月を
誰もが同じく美しいと思う
ゆたかさの中にいる

300万年の時をかけて辿り着いた
この世は
果たしてずっと続くだろうか

この世をば 我が世とぞ思ふ
望月の
欠けたることも なしと思へば

藤原道長

作者の意には反するけれど
僕たちへの警鐘のようにも
思えてしまうことに
哀しさを思う


あるSF小説:
アーサ・C・クラーク
「2001年宇宙の旅」ハヤカワ文庫
月を見上げる猿が「月を見るもの」
として登場する。(p37)
ちなみにスタンリー・キューブリックの
同名の映画には「月を見上げる猿」の
シーンは登場しない。

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