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goldberg821031
詩のようなもの 望月の歌
*はじめに
今年11月16日の月は藤原道長が見た望月と
ほぼ同じ形らしい。
(ニュースで知りました)
その日、僕の街の夜空は曇り続きで、
月は雲の裏に隠れていた。
それから2日ほどが過ぎた夜の月は、
欠けた月がハッキリしていたけれど、
今まで見た中では一番美しかった。
今僕は、古人が1000年前に見上げた月と
同じ月を見ているのだと思った。
古人は少し欠けた月を見上げて歌を詠んだ。
僕は学校でこの歌を学び、これは古人が
我が世の春を詠んだ歌だと教わったが、
1000年の時を経ても残る歌が
素晴らしいことに変わりはない。
*
あるSF小説には
月を見上げた猿が知恵を得て
人の祖となったとある
古の日に月を見上げて
歌を詠んだひとたちは
やんごとなきひとたちだ
今僕は月を見上げて
彼らと同じように月を愛でる
長い年月を経て
ひとつの同じ月を
誰もが同じく美しいと思う
ゆたかさの中にいる
300万年の時をかけて辿り着いた
この世は
果たしてずっと続くだろうか
この世をば 我が世とぞ思ふ
望月の
欠けたることも なしと思へば
作者の意には反するけれど
僕たちへの警鐘のようにも
思えてしまうことに
哀しさを思う
*
あるSF小説:
アーサ・C・クラーク
「2001年宇宙の旅」ハヤカワ文庫
月を見上げる猿が「月を見るもの」
として登場する。(p37)
ちなみにスタンリー・キューブリックの
同名の映画には「月を見上げる猿」の
シーンは登場しない。