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ツーリングエッセイ 其の1 テント泊

*はじめに
バイクツーリングに凝っていたころの
思い出から。当時を思い出して書きました。
間違っているところがあっても、ご容赦を。

僕は怖がりである。

最近のキャンプ流行りで、
テント泊が普通の事になっている。

ソロキャンプは、正直、怖い。

夜、だれもいないキャンプ場で一人
寝たことがあればすぐにわかると思う。

それとも怖いのは、僕だけなのだろうか。
最近のテント泊の動画やテレビを見ていると、
とても楽しそうだ。

山奥のキャンプ場で一人テントで寝ることが、
非日常であることは、間違いない。

その頃、僕はバイクで一人ツーリングに行き
お金がないからキャンプ場でテント泊をよく
していた。

北海道や、四国や、九州あたり。

フェリーに乗って、目的地を目指すから、
本州はあまりテント泊したことがない。

北海道は無料のキャンプ場ばかり。(当時)
だけど、キャンプ場には誰もいない。

初めて一人でテント泊をしたときは、
お酒を飲んでも寝れなかった。

真夜中。
テントの周りを何かがうろついていて、
動物なのか、何なのか怖くて確認もできず
寝袋の中で目をつぶって、
ひたすら朝を待っていた。

明け方、薄明りが訪れると、
安心して寝てた。

だから、翌日は目が覚めるのがお昼近くに
なったりして、予定が押してしまうことが
よくあった。

何回かテント泊を経験しても、
キャンプ1日目の夜は
緊張して眠れなかったと思う。

必ずお酒を飲んでいた。
僕はいつもキャンプ場に一人だったから。

一番怖かった思い出がある。
確か、会社を休んで四国に行ったときだ。

バイクツーリングをしていると、
大抵時間が押してしまい、
初めていくキャンプ場は場所がわからず、
着くときは大抵、真っ暗だった。

無料キャンプ場だから、
手続きはいらないけど、
管理人もいない。

山奥のキャンプ場は異次元といえるほど
怖すぎて、だれもいないキャンプ場は、
本当に真っ暗で、震えながら、唯一、
電灯がついていた電柱の近くの場所に
テントを張った。

怖くて、怖くて、仕方なくて、
早く寝てしまおうと思って、
お酒を飲んでも寝れなくて、
震えていると、電話が鳴った。

びっくりして、電話を取ったら、
会社の上司からの電話で、

「休み中悪いけど、
仕事で確認したいことがあって」

との電話。
こんな山奥でも電波が届くことにも驚いた。

僕は怒りながら、電話してたけど、
でも本当は少し安心してた。

人の声がこんなにも温かいと感じたことは
なかったかもしれない。

本当に寂しいときは、
誰の声でも温かく感じるんだ。

テント泊をしたことで、
そんなことを教わった。

もうバイクに乗れないし、テント泊も
できないけれど、あの頃がなつかしい。

他にも、いろいろ思い出はあるけれど、
それは、また別の機会に。

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