ツーリングエッセイ 其の1 テント泊
*はじめに
バイクツーリングに凝っていたころの
思い出から。当時を思い出して書きました。
間違っているところがあっても、ご容赦を。
*
僕は怖がりである。
最近のキャンプ流行りで、
テント泊が普通の事になっている。
ソロキャンプは、正直、怖い。
夜、だれもいないキャンプ場で一人
寝たことがあればすぐにわかると思う。
それとも怖いのは、僕だけなのだろうか。
最近のテント泊の動画やテレビを見ていると、
とても楽しそうだ。
山奥のキャンプ場で一人テントで寝ることが、
非日常であることは、間違いない。
*
その頃、僕はバイクで一人ツーリングに行き
お金がないからキャンプ場でテント泊をよく
していた。
北海道や、四国や、九州あたり。
フェリーに乗って、目的地を目指すから、
本州はあまりテント泊したことがない。
北海道は無料のキャンプ場ばかり。(当時)
だけど、キャンプ場には誰もいない。
初めて一人でテント泊をしたときは、
お酒を飲んでも寝れなかった。
真夜中。
テントの周りを何かがうろついていて、
動物なのか、何なのか怖くて確認もできず
寝袋の中で目をつぶって、
ひたすら朝を待っていた。
明け方、薄明りが訪れると、
安心して寝てた。
だから、翌日は目が覚めるのがお昼近くに
なったりして、予定が押してしまうことが
よくあった。
何回かテント泊を経験しても、
キャンプ1日目の夜は
緊張して眠れなかったと思う。
必ずお酒を飲んでいた。
僕はいつもキャンプ場に一人だったから。
*
一番怖かった思い出がある。
確か、会社を休んで四国に行ったときだ。
バイクツーリングをしていると、
大抵時間が押してしまい、
初めていくキャンプ場は場所がわからず、
着くときは大抵、真っ暗だった。
無料キャンプ場だから、
手続きはいらないけど、
管理人もいない。
山奥のキャンプ場は異次元といえるほど
怖すぎて、だれもいないキャンプ場は、
本当に真っ暗で、震えながら、唯一、
電灯がついていた電柱の近くの場所に
テントを張った。
怖くて、怖くて、仕方なくて、
早く寝てしまおうと思って、
お酒を飲んでも寝れなくて、
震えていると、電話が鳴った。
びっくりして、電話を取ったら、
会社の上司からの電話で、
「休み中悪いけど、
仕事で確認したいことがあって」
との電話。
こんな山奥でも電波が届くことにも驚いた。
僕は怒りながら、電話してたけど、
でも本当は少し安心してた。
人の声がこんなにも温かいと感じたことは
なかったかもしれない。
本当に寂しいときは、
誰の声でも温かく感じるんだ。
テント泊をしたことで、
そんなことを教わった。
もうバイクに乗れないし、テント泊も
できないけれど、あの頃がなつかしい。
他にも、いろいろ思い出はあるけれど、
それは、また別の機会に。