エッセイ 検査
あることがキッカケで、○○の内視鏡検査を
受けることになった。
(あまりにも生々しいので○○で
ご勘弁を。
分かる人には分かってしまうでしょうが)
大変な検査だとは聞いていたが、
本当に大変だった。
検査の3日前から準備が始まる。
繊維の多い野菜や海藻類、胡麻、
キノコなどは食べてはいけない。
事前に看護師から聞いた説明では、
○○を空っぽにして検査をするため、
内容物に残りやすいものがあると、
カメラが引っかかるなどして苦しいらしい。
これを思い出して、食事に気をつける。
キャベツはいいのか?ニンジンは?など、
気になると、食べられる野菜が少ない。
タネのある果物もダメである。
バナナはいいのか?タネあるよな、
など考え出すと、止めとくか、となる。
結局、肉とリンゴはいいかな、と思い、
食べようとした時に、
「あまりお腹いっぱいにしないほうが
いいです。」
との看護師の言葉を、また、思い出す。
ご飯や肉の量を減らし、少しだけ、
お菓子を食べて我慢する。
検査の前日は、事前に検査食というものが
渡されていて、それを食べる。
レトルトのおかゆやスープだ。
病院に入院したときに食べた入院食のよう。
夜9時には絶食。
翌朝の検査当日は、朝7時から、
準備が始まる。
○○をキレイに掃除するために、
掃除するための薬を飲む。
この薬を2リットルの水に溶かして、
3時間くらいかけて少しずつ飲んでゆく。
途中、合間合間で水も飲みながらなので、
併せて3リットル近くにもなる。
これが大変だった。
最初はこのくらいなら飲めるかな?と
簡単に考えてたけど、
トイレに呼ばれながら、飲めば飲むほどに、
トイレに呼ばれるのは、辛い。
もうこれは、悪い先輩に強引に呑みに連れ
て行かれ、呑めない酒を無理やり飲まされて
るのに、似ている。
(こちらも経験ありです)
「先輩、もう、飲めないっす。」
「なに!俺の酒がのめないのか!」
などと、
一人芝居をしながら、ようやく飲みきった。
トイレに呼ばれるのもままならないなか、
病院にいかなければならない時間が迫る。
(ちなみに僕は自宅で飲まされましたが、
病院でのこともあるようです。)
病院につくと、待合室でしばらく待機。
読みかけの川端康成「古都」を読む。
ゆったりとした話の流れが、気持ちを
落ち着かせるのにちょうどよい。
検査着に着替えて、点滴をしながら、
順番待ち。
「古都」は、「冬の花」の章に差し掛かり
もう終盤である。しかし、ここで呼ばれる。
中に入ると、すぐにベットに横たわるよう
にいわれ、内視鏡検査が始まる。
もちろん詳しくは書かないが、
検査が始まって、5分で嫌になった。
終わるまで2~30分らしい。
途中、何度も看護師に励まされ、
ようやく終わりかと思ったら、
これからカメラを戻しながら撮影します、
とのいらない説明があり、げんなり。
これが将棋だったら、「負けました。」
といって投了したいとこである。
仕方ないので、また、しばらく我慢して、
ようやく終わった。
検査結果を待っている間に、読みかけの
「冬の花」の章を読んだ。
川端康成の小説らしく、話は突然終わる。
これからどうなるのかと、気を持たせる。
この「古都」には、珍しく作者のあとがき
が添えてある。
僕には京都弁が美しく古き良き時代の美しい
物語に思えるのだが、
あとがきには、言い訳めいた記述が並んで、
少し意外に思う。
あとがきは本の内容には触れてないことも
あって、読まないほうがいいとさえ思えた。
さて、検査の結果は、
当日すぐに教えてくれて、異常なしであった。
安心したが、こちらも複雑な思いではある。
追伸)
食べることは、生きる喜び、幸せなのだと、
再確認できました。
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