V最協決定戦でメッシャーズはリベンジの価値を教えてくれた(前?)
※V最協決定戦S4を見て、熱い思いのまま書き殴った個人的感想です。勢いなので表記揺れがあります。不適切な表現があれば、ご指摘お願いします。
今回のメッシャーズリベンジで誰よりも熱い思いを持ってたのは明那だとわたしは思っている。メッシャーズ自体への思い入れは、何度となく彼自身が愛を語っているとおりだけれど、APEXの大会としてリベンジしたいというのも強かったように思う。
というのも、過去にも何度も明那は大会に参加していつつも参加する他チームと比べて高順位を残したり際立って印象に残したりできたかというと、正直ふわっちと黛に比べるとそうでもなかったのかなという印象があるからだ。レイドロの大切な2Daysライブを控えながらもとにかく練習を欠かさなかったのは、(2人への対抗心ではなく)大会自体へのリベンジとして、原点であり最愛のチームで挑みたいという気持ちは強かったじゃないだろうか。
そんなメッシャーズリベンジの気配も匂わせながら、先陣を切ってAPEX配信をひたすら重ねてダイヤチャレンジも行い、自分よりランクの高い配信者とも積極的にプレイして学び続けていた。間違いなく、メッシャーズの中で今大会に一番心血を注いでいたのは彼だった。
そんな明那がこの二ヶ月で課題として上げていたのは自分がファーストダウンしないことだった。なぜなら彼の使うジブラルタルは攻めの起点・詰めの決定打・守りの要・移動の保障という強キャラの一人であると同時に、身体が大きくてフォーカスを集めやすくダウンを取られやすい、扱いの難しいキャラクターでもあるからだ。チームの軸となる上に二番手を担うので、一番手のふわっちヴァルの攻めを詰め切るような立ち回りをしながらも最初に落とされないための基本ムーブを、とにかく身体に染み込ませていた。
ふわっちは悔しい思いの果てにCRカップでの優勝をもぎ取っていた。3人の中で最も大会経験を積み、強いプレーヤーのムーブを間近で見てきていた。ヴァルキリーを使ってムーブに長ける一番手を担いながら、今回のオーダーをはじめから任されることとなった。
ふわっちの強みは、自分にかかる大きな負担も「やるしかないっしょ!」というテンションで乗っていくことができるところと、一方ではすごくドライで冷めてもいて、瞬間的に客観的になれるところだとわたしは思ってる。
その行雲流水さはある種、ゲームの直接的な場面を除いて自分の強い意見は持たないという姿(否定じゃないし悪いこととして言ってるつもりはないよ!)でもあるために、どのチームでもムードメーカーを担いつつも、バチバチとしたチーム内のぶつかり合いには乗り切れないところがあるのかなとも思っていた。過去最高レベルのV最協決定戦に最低ポイントで参加するということで、チームとしていずれ思いがぶつかり合うことも透けていただけに、どんなに忙しくても(ろふまお収録があってさえ!)自分の配信スタイルとリスナーを大切にし、大会期間中でも別ゲー配信やリスナーとの交流を欠かさない彼が、あえて心理的にもリスクの高い流れに自分の意思を持って乗っていくのだろうか、と思っていた。
黛は、直近で特にいろんなことがあった。
そもそも特定のゲームを努力してプレイするタイプではなく大会へのスタンスも消極的な人間だったけれど、前回の最協では注目されて目覚ましい活躍もみせるチーム“あの伝説”として存在感を出した。その後の休止やメンタル面のことも似た状況にあったあの伝メンバーが互いに強い支えとなって、「大会に向けて仲間たちと努力する」ことを時間をかけながら自分なりに咀嚼しているように見えた。
そこにきて今大会へのメッシャーズとしての参加は、上記の段階を踏みつつも黛にとっては大きなチャレンジだったのではないかと思う。なぜなら、黛にはきっと今大会にこのチームで挑むことへの覚悟とハードさが見えていたように思えるからだ。単にスキルアップの難しさだけではなく、自分の弱さを晒したり向き合ったりする場面が避けられないことを感じていたのでないだろうか。前大会では強いタッグを追う役割を(自分の理想にも近い形で)こなすことができていたけれど、今回も同様にはいかないことが分かっていたはずだとわたしは考えている。自分の弱さをネタとして表現できても、真正面からぶつかる相手に配信上で無防備に晒すことにはかなりの抵抗を持つ人だと思っている。
あまり詳しく知っているわけではないけれど4人目のメッシャーズである、あれるさんのことにも触れずにはいられない。
わたしが知る限り、彼はとにかく「ゲームをロジックに組み立てること」において国内トップで名前の挙がるようなプレーヤーだと思う。反射神経やエイム能力やキャラコンなどといったファイト力以前の、ゲームの条件を徹底的に突き詰める戦略スキルは、とりわけコーチという姿でよく発揮されている。彼が大会の度にどれだけのプレーヤーに尊敬されひっぱりだこになっているかを見れば簡単に理解できることだろう。
加えて言うならわかりやすく手を抜かない(時に?常に?)厳しい指導、指導相手のレベルにあった戦略の提示は本当に明快で、ことVtuberと親しいストリーマー層では、最強コーチと呼んで間違いないとわたしは思う。
……ここまででもう感想メモとしては語りすぎた。一気に飛ばしてさっくり振り返りたいと思う。
カスタム4日目。
メッシャーズのV最協リベンジを物語として捉えるならば、この日は起承転結の承だった。
過去最高レベルの大会に最低ポイントで参加しながら勝ちを真っ直ぐに目指す彼らは、これまでのV最協の歴史にはなかった自主練カスタムの文化を生み出し、参加チーム発表から毎日のように練習し続けてきた。そしてこの日は、メッシャーズにとって重要な練習日だった。明那は翌日からのレイドロライブを控えていたのだ。本番当日までの2日間の公式カスタムを残しながら、チームで丸々参加できるのは最後の一日だったのだ。
そんな4日目は、明那にとっては納得できるようなプレイのできない日だったように思う。なかなかムーブが噛み合わなかったことや、カスタムフル参加最終日の焦りに加え、彼がずっと課題にしていたファーストダウンを取られてしまう場面が何度かあったことが大きな要因に見えた。ピックは自主練を経てジブラルタルからコースティックに変わっていたが、はじめ楽だと感じていたガスも、やはり攻守の要でありながら大きい身体でフォーカスを集めやすいことがよく分かり、ファーストダウンを回避したい思いはむしろ強くなっていたはずだろう。この日、明那の声は明らかに暗かった。
そんな様子が気にかかっていた黛は、おそらく空気を変えるつもりで「明那、声暗いんじゃない?」と声をかけた。普段なら何かしら返ってくるところが、この日の明那には「配信を終わろう」と言うのが精一杯なようだった。そこへ、この日の配信上の文脈を使ったいじりを黛は重ねる。わたしには黛なりのフォローも含まれていると感じたけれど、明那から反応が返ってきたり、ふわっちが彼らしいどこか抜けた発言を重ねたりすることはなく、少し噛み合わないままに配信は終わった。
この後も4人で振り返りや最後のやり取りへのフォローはあったのかなと想像するけれど、チームの不和だと解釈したリスナーや、メッシャーズには珍しいピリピリとしたやり取りに動揺したリスナーもいただろうと思う。
カスタム5日目。
この日は明那がライブのため、前半はあれるさんが代打に入っての練習だった。明那を欠いていることもあり、黛ふわっちでのオーダーには決定力が欠けていた。自主練カスタムを含む流れで、オーダーは状況に合わせて黛とふわっちが主に考えていくこととなっていたが、ifの択を並べたり即断即決の場面でいつも背中を押してくれていた明那の不在は、全体的なキレの不足に繋がっているのは明らかだった。
一方の明那も、ライブからすぐに帰ってカスタムに来たためか少なからず疲れが見えていて、また翌日もライブということで無茶のできない状態にあった。黛の前日のやりとりに対する3人らしいトキシックなフォローとしての「声色暗い?」天丼や、「2人の共鳴が聴きたい」といった空気を変えるためであろうフリも、 この日は笑いとして拾われることはなかった。3人揃えば毎秒コントをしているようないつものメッシャーズの空気感はなかった。
さらには、3人揃っての貴重なカスタムで黛のピックミスがあった。その場では皆が事故だとフォローしていたし実際このようなピックミスはよく見かける事故であったが、「明那の貴重な練習機会だったのに」という申し訳なさを、黛は重く感じていたのではないかと思う。
ふわっちはどうだったか。黛オーダーの刺さる要所がまだまだ限られる場面だということが見えてきて、再びふわっちオーダーの機会は増えていた。この流れは、多少なりとも雲のような彼の心にも負担になるところがあったのではないかとわたしは考えている。元々自分に託されたはずのオーダーが、一旦は黛ベースで譲ることになった。悔しさのような感情は多少なりともあったのでは、と思う。ヴァルキリーは今大会の安置先入り環境において根幹を成すキャラクターではあったが、キャラとしてのゲーム的戦略性はコースティックやクリプトに比べると限定的かつ分かりやすくいので、実際のゲーム中に自分が充分チームに貢献できているのかという思いだって、感じていてもおかしくはない。肉視とピークに熱が入り過ぎて、前に出過ぎ被弾しては回復を消費、という場面も少し目立っていた。明那と黛が分かりやすく葛藤する中で、周りには見えにくく、自身でも「2人に比べたらマシか」と矮小化してしまうような抱えやすい葛藤があったのではないかと思った。
もう一つ大切な出来事だと感じたのは、この日のあれるさんだった。ガス構成になり室内先入りムーブを原則として教えてきたけれど、坂などの屋外強ポジを確保して広く守るムーブもできることを、3人に教えられていなかったことに気づいたのだった。
(わたしとしては、ようやくそれが択になるほどチームとして成長したのだと感じていたけれど)あれるさんはメッシャーズを勝たせることに本気だった。先に書いたように彼はコーチ最強の一角で、強いチームを優勝に導いていくような人だった。正直言って、今大会にこれだけの強いチームが集まっていながら、それぞれに関係性があるとはいえ、最低ポイントのメッシャーズにあれるさんがコーチとしてついたこと自体が驚くべきことだと思っていたが、メッシャーズの勝ちへの熱い思いを実らせたいという意志を、あれるさんが強く強く抱いていたことを改めて知った。屋外の択を教えられていなかったことをあれるさんは心底悔やみ、「最終日早めに練習できないか。カスタム後に練習しないか」と熱く訴えていた。彼はこの日のこの瞬間、誰よりもメッシャーズの一員であった。プレーヤーより熱いコーチとなっていた。
カスタム6日目、最終日前夜祭。
起承転結を再び持ち出すなら、この日は間違いなく転だった。
前夜祭があるため、公式カスタムには明那が完全に参加できない日だった。前日振るわなかったこともあり、「明那の分も自分たちが強くならなければ」という思いをそれぞれが抱えているように見えたが、それが良くも悪くも黛とふわっちを苦しめていたようにも見えた。この日も明那の代打で入ったあれるさんは、前日以上に熱くなっていた。オーダーを聞きながらも、明那のように絶えずifを提示しながらオーダーを揺さぶっていた。
ところが、このときの黛にはそれを乗り越えることが難しかった。APEXでは可能性50%程度でも即決できる方が有効なオーダーと言える場面が多い。黛が(自分が焦らないためにも)データに基づきロジカルに動きを組み立てるタイプだという上で、オーダーミスで自分が責任を負うことになったとしても決断しなきゃいけない、そんな瞬間への覚悟を“まだ”持ち切れていないと、わたしは見ながら感じていた。
また象徴的だったのは、移動の左右の選択とアークスターが刺さったときの対処についてのやり取りだった。オーダーが上手くいかないことを、いつもの冗談交じりながらも「あれるさんがそう言うならそっちしかない」と逆張りしたり、アークスターも「あれるさんは避けられたはずでは」と自分の意見の正しさを確認せずにはいられない様子だった。黛の心はほとんど折れていた。(※一応断りを入れておくと、それらの発言は黛にとって思考過程の論理にかなっているし、彼自身のメンタルを守るためにも必要な態度であったともわたしは考えている。それ自体を否定しようとして挙げたものではないが、そう見えたならごめんね)
そんな危機的なタイミングで、明那がメッシャーズのリーダーとして帰ってきてくれたのよね。