いろいろあるぞ。型紙販売のお話
こんにちは、HAKUです。
おかげさまで昨年末に型紙ショップをオープンしてからもうすぐ1年が経とうとしています。思っていたよりも沢山の方にご利用いただき、本当にありがとうございます。
特に大きなトラブルもなく、無事に1周年を向えられそうです。っといっても商品のラインナップが4点しかないのでトラブルも起きようがないという、ね…(汗)
っと基本的に平和な販売活動。その一方できっと販売活動をしていなければ遭遇しなかったであろう出来事も結構ありました。今日はそのいくつかをご紹介してみたいと思います。
「動画と型紙が違うぞ!」
そのメールは、つい先日アルゼンチンから届きました。
メールには私のYouTube動画の画面を撮影した写真も添付されていました。
なにっ!それは大問題だっ!っと一瞬焦りました。が、待てよ。これまでもずっと販売をしていて購入いただいたお客様からそんな指摘を受けたことは無いゾ…。
そしてメール本文下に転送引用されていた内容を確認してみたところ、私ではなく別の方が運営するサイトで、別の方が設計・販売された型紙を購入されたようでした。
私のチュートリアル動画と違うって…そりゃそうだろ。
「何を言ってるんじゃ?」と思いながらも、一応次のように返信をしておきました。
すると、翌日に早速返信が。
なにおぅっ!?
いやいやいやいや。途中で何が起きたかは一目瞭然やがな!「あなたの友達が間違えて購入した」…1,000%ただ、それだけでしょーがっ!笑かすつもりか!?
友達に「ビール買ってきて」ってお願いをしたら、アサヒのスーパードライを手渡された。でも「ビールっつったらおめぇ、ラガーだろ!」ってキリンに連絡して「キリン・ラガーを寄越せ!」って言ってるようなモンだよね。
この場合、アサヒもキリンも何の落ち度もないでしょう。責められるべきは間違えて購入した友達か、きちんと友達と意思疎通できなかった自分自身なハズ。メチャクチャ過ぎだろ?
いやー、すげぇなぁ、自己中モンスター!販売活動をしていると色々なことがありますが、今回はなかなかレアな「もらい事故」でした。
とりあえず、これ以上の返信は保留することにしました。一連のやりとりは、私だけでなく実際にこの方が購入された型紙の販売元にも送られていますので、そちらの方の対応を待ってみるとします。
デジタルコンテンツなので返金も難しいと思うけどなぁ…。
紛争地域からの便り
私の型紙は、日本国内だけでなく海外の方にもご購入を頂いていますが、時折、日本国内では考えも及ばないような事が起こります。
もうひとつ、私の遭遇した例をご紹介しましょう。型紙を正規でご購入頂いた方にはちょっと申し訳ない内容になってしまいますが、ご理解いただけることを願いつつ。
そのメールは今年の10月、ロシア語で届きました。
ここまではよくあるお話。型紙ショップのURLを案内して「こちらで販売しているのでぜひご利用ください」と返信をしておきました。
すると、後日次のような返信が。
恥ずかしながら国際情勢・地理に疎い私にはピンと来ず、Google先生に尋ねたところ「ドネツク人民共和国」はウクライナからの独立、ロシア連邦への編入を求め独立宣言をしている地域だそうです。
なるほど、ウクライナ情勢のニュースで「親ロシア派」とか「独立派」と呼ばれている方々の拠点地域ということですね。
独立を宣言しており、メールをくださった方も「旧ウクライナ」と表現していますが国際的には承認されていません。それどころかウクライナ政府側からすると「テロ組織」「反政府軍」という認識。
停戦中とはいえ散発的に武力紛争も起きているようです。日本の外務省からはこの地域への渡航中止勧告が出ています。こちらはYouTubeでみつけたものですが、2015年のドネツク国際空港での紛争後の映像です。
現在はロシア軍がウクライナとの国境付近に集結しているようで緊張が高まっていると米露首脳会談と絡めて報道されていましたね。「ドネツク州」として一部様子が紹介されていましたが、軍事演習の様子などを見るとキュッと胸が詰まります。
このメールをくれた方がどのような生活環境にいるのかは定かではありません。趣味を楽しめているくらいなので、最低限の生活はできていると信じたいですが、緊張が高まっている今は大変な状況下にあるのかもしれない。
紛争地域で経済封鎖されているなんて、そこに住む個人には非がないことですしどうしようもないこと。私はたまたま平和な日本に生まれ、レザークラフトも楽しめているけど、実はそれってありがたいことなんだよなぁ…。
住んでいる国(地域)が今後どうなるのか、いつ身近に戦争が起きるかわからないような不安な状況下で、この方にとってレザークラフトをすることが一時の癒やしになっているかもしれないな、なんて思ったら「こちらもビジネスですからなぁ」っと無下にもできず…。
正規に型紙を購入いただいた他のお客様には申し訳ないと思いつつ、無償で型紙データを送ってあげることにしました。「ありがとう!あなたの親切に心から感謝します!」と返信を頂いてから約2ヶ月。その後連絡はないけれど…元気にしているかな。
もしかしたら言っていることが嘘八百で、「へっ、お人好しのジャップめ!チョロいぜ!」って舌を出しているかもしれません(本当にドネツクの方か確かめようがありませんからね)。でも、それならそれで仕方ないかな、と。騙すより騙されろ、だ。
日本国内ではなかなか遭遇できない事ですよね。世界は、広い。
販売活動の損益分岐点
っといった感じで販売活動をしていると、色々なことがあります。私はネットショップ運営が初めての経験なので、色々と起きることが新鮮です。
写真を添付したり、自身のSNSのURLを送ってくれて完成報告をしてくださる方、Google翻訳を駆使して一生懸命日本語でメッセージをくださる海外の方、レビューを投稿してくださる方…基本的には気持ちの良いお取引をさせていただいています。
そういった喜びの声を聞くことができると、「あぁ、頑張って型紙作ってよかったなぁ」と思えますし、次も期待を裏切っちゃいけないと身の引き締まる思いです。
ですが、一方で残念に思うこともあります。
あたかも自分で型紙を引いたようなテイで、思いっきり商用利用しているケースとか。よくもまぁそれをSNSにアップできるなぁと面の皮の厚さにビックリすることもあります。バレないとでも?
以前もちらっと書きましたが、別にそれで騒ぎ立てるようなことはしません。そんなモラル意識の低い人達を相手にする時間が勿体ないですからね。まぁ、モノづくりをする人間としては軽蔑しますけど。
未だに「型紙が無料じゃなくて残念だ」とわざわざコメントしてくる方もいます。私に言わせれば無料で何でも手に入ると思っているこの方の思考回路、想像力の欠如の方が残念です。
一般的なビジネスであれば必ず損益分岐点は意識するでしょう。どれだけ売れれば利益が出るのか、逆に販売数量がいくつまでは実質的に赤字だとか。価格設定にも関わりますから考えないわけにはいきません。
型紙販売も制作に費やしたコスト(設計における試作材料費、労務費、販売にかかる手数料etc)を踏まえて計算をすれば損益分岐点を数量的に割り出すことはカンタンです。
でも、それはあくまでも「きちんとしたビジネス」として捉えた場合。私の場合は一応計算はしますけど、そこまで厳密には考えていません。本業ではないですし、そこまで利潤を追求しているワケでもないですから。
元々「型紙の無料配布をすると、いたずらに創作の価値、作り手の価値を貶めちゃうよね?」というところから決めた有料配布。「いくらで売るか?」「どれだけ儲かるか?」よりも、「タダじゃない」ということの方が大事だったりします。
きっと私にとっての損益分岐点は売上や費用といった数値的なものではなくて、もっとエモーショナルなもの。「喜んでもらえて良かった!」と思えるか、「あーあ⤵⤵⤵」と残念に思うか。そのバランスが私にとっての損益分岐点になっていると感じます。
個別の問い合わせ対応も然り。言いがかりの「もらい事故」を受ければ「絶対こっちは折れんぞ!コンニャロー」って思うし、置かれている状況に同情(っという表現は良くないかも知れませんが)して無償提供してしまうこともあります。
きちんとした経営者の方から見たら「アホか!」って思われてしまうでしょうけれど…ある意味とっても人間臭いでしょ?
そんな感じで型紙ショップをオープンして1年。まだまだ商品点数も少ないですし、やりたくても実行できていない事もたくさん。今後もアレコレ試行錯誤をしながら運営していけたらと思っています。
今後とも、どうぞよろしくおねがいします。