制作時間を測定してみた
こんにちは、HAKUです。
前回の記事で「今後販売を考えるならば制作効率を上げなければ」という話題に触れました。
効率化を図るにしても、まずは現状を知らなければということで細かい部分の調整を兼ねて最終試作を作りつつ、その制作時間をスマホのストップウォッチ・アプリで測定してみました。
今までは趣味の制作。チラリと時計を見て、ざっくりとしか制作時間を把握していませんでした。うーん、ざっくりというか、ほとんど時間を気にしていなかったというのが正直なところ。
販売を視野に入れた際、人件費を算出するにあたってリアルな数値を把握してみたくなった訳です。今日はその測定結果をシェアしてみたいと思います。
やっぱり時間がかかるなぁ
いきなり結果発表をしてしまいます。
こちらの二つ折り財布1個の制作時間は…(ドラムロール)…ジャン!
12時間40分でしたぁぁぁ…ぁ。
何だかんだ、結構な時間がかかるのね。ちなみに材料の荒断ちから最後の完成まですべて含めた実働時間です。
パーツ点数は(芯材や裏打ち革も含めて)全部で18点。これにバネホックが1組とファスナーという感じです。
小物のレザークラフト作品としてはパーツ点数はやや多いかもしれませんが、ビックリするほどではありません。私の感覚ではパーツ数が20点を超えると「ちょっと多い」、30点いくと「変態」という印象。
変態という程ではないパーツ点数なのに、なぜにこんなに時間がかかるかというと、”主犯格”はやはり「手縫い」と「コバ処理」です。
こちらはあまり厳密とは言えない、ざっくりとした分類ですが、制作時間の内訳をグラフ化してみました。
総制作時間のうち「手縫い」と「コバ仕上げ」がそれぞれ約30%、時間にすると各4時間ずつくらいを占めています。12時間40分の制作時間のうち、手縫いとコバ仕上げで約8時間。半分以上かぁ…。
「手縫い」と「コバ仕上げ」で相当時間がかかるというのは、ある程度予想はしていましたが、流石に総制作時間の半分以上となるとちょっとビックリだな。
まぁコバ仕上げの時間は塗料の乾燥待ちも含んでしまっているため実働はもっと少ないですが…。ミシン縫製、ヘリ返しが主流になるのも頷ける。
時短できること、できないこと。
時間がかかる「手縫い」と「コバ仕上げ」。スピードアップの必要性を感じる一方で、限界もあるなぁとも感じます。
例えば、手縫いについて言えば、めちゃめちゃ簡単に時短を図れる方法があるにはあります。それは縫製ピッチを広くすること。
現在は3mmピッチで手縫いをしていますが、これが4mmになるだけでかなり違ってくるハズ。
最近はもう慣れましたけど、4mmピッチから3mmピッチに変えたばかりの頃は「なかなか縫い終わらねぇなぁ…」って思ったくらいでしたから。その逆という訳ですね。
でもピッチが大きくなると作品の印象が結構変わってしまいます。個人的にはピッチが大きくなるとカジュアルな印象が強くなるように思うのです。
こちらのエントリーでも過去に触れましたが、手縫いはミシンに比べて糸が太くステッチの主張が強くなりますから、全体の印象・作風に与える影響が大きい。
好みの部分が大きいですが、制作効率という理由だけで作風を大きく変えてしまうのは避けたいところだなぁ。
となると、手縫い自体のスピードを高めなければなりません。が、慌てて縫ってステッチがバッチくなってしまったら本末転倒。失敗や縫い直しでさらに余計な時間がかかってしまうリスクもあります。
やはりここは慌てずじっくりきれいなステッチを心がけたいところです。
できるところで効率化
手縫い作業自体に時間がかかるということであれば、その他で少しでもスピードアップ!っということでこんなことをしてみました。
こちらは外装パーツの型紙ですが、やたらと外周のステッチラインにいくつも印をつける箇所があります。
これは何かというと、使う目打ちの歯数(幅)に合わせてガイドとなるピンをマーキングしたもの。私が今回使ったのは3mmピッチの8本目ですので、縫い穴8個ごと(21mmごと)に印をつけてあります。
これまではステッチラインの始点と終点(長い場合は中心点)にマークをつけて、それを元に縫い穴を開けていました。
その場合ですと、ピッチを確認するために一度目打ちを軽く当てて革に跡をつける(アタリを取る)必要があったのです。それが地味に時間食う。
刃幅(歯数)に合わせて印をつけておくと、いちいちアタリをつける必要がなくなります。印をつける手間は増えますけど、なかなか快適です。もっと歯数の多い目打ちが欲しくなるなぁ。
手縫い自体の劇的スピードアップは難しくても、こういう工夫でなるべくトータルの制作時間を短縮できればな、と思います。
要するに、しっかりと時間をかけるべきところはかける。効率化できるところはトコトン効率化する。といったメリハリが大事な気もします。
それを意識しつつ、もう少し制作効率をあげていきたいなぁ。