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”作風”を考えるって、超大事。

こんにちわ、HAKUです。

今日はレザークラフトの「作風」を考えることの重要性書いてみたいと思います。

教則本等ではあまり触れられていませんが、実はレザークラフトで理想の作品をつくりたいと思ったら、「自分の作風を具体的にイメージすること」がキーポイントなんじゃないかな、と個人的には思っています。

初心者の方向けというよりは、「初心者の段階を卒業する」方向けのお話になるかと思います。今回も私の拙い経験を絡めて書いてみたいと思います。

「イマイチ感」の正体

レザークラフトを始めてしばらくした頃、ちょうど自分で型紙を起して何とか形にできるようになった頃でしょうか。私はある悩みを抱えていました。

それは、「出来上がった作品がイマイチ気に入らない」という問題。

ステッチはキレイに揃っているし、コバも丁寧に処理した。技術的にはまぁ及第点だと思うのですが、何かが違う…。そんな「イマイチ感」に苛まれて、せっかく完成させた作品も普段から使いたいと思えず、引き出しの奥へ…。

ある時、「菱目打ちのピッチを変えてみよう」と思い立ち、それまで使っていた4mmピッチから3mmピッチに変更をしました。それでも、まだ何かが違う…。

Amy Rokeのヨーロッパ目打ちを購入した際におまけで貰った糸を試しに使ってみた所、思わず「ああ!コレ、コレ!コレだよ!」と声をあげてしまいました。

その糸は細めのリネン糸。ようやく求めていたモノに巡り会えた!という感覚でした。

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私がずーっと作りたいと思っていたのは、フォーマルやビジネスのシーンにも対応できるようなレザークラフト作品。それこそ一見すると市販の工業製品かと思われるようなもので、その中にも手縫いのステッチで手仕事感・ハンドメイドらしさがチラリと伺えるようなもの。例えばこんな感じ。

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私が目指す作風からすると、4mmピッチの菱目打ちではカジュアルな印象になりすぎていたのだと思います。

そしてハンドメイドらしさ、手縫いらしさを演出するには、それまで使っていたポリエステル糸よりも、光沢感がなく糸の輪郭がくっきりと表現できるリネン糸のほうがマッチしたのでしょう。

そう、それまで感じていた違和感の原因は、技術的な問題というよりはむしろ、目指している作風と、使っていた道具・選んだ素材のアンマッチによって引き起こされていた部分が大きかった訳です。

実は「技術」と同じくらい大事な「作風」

この「作風」についてきちんと具体的に考えるというのは当時の私にとっては全くの盲点でした。

ですが、上述のような経験をしたことで自分の目指す作風・テイストをしっかりと認識すること(具体化すること)はとーっても大事なことだ気づくことができました。

自分が目指す作風によって選ぶ素材や使う道具が微妙に変わってくる訳ですからね。

逆に言えば、自分の目指す作風を具体的にイメージ出来ていなければ、素材選び、道具選びの時点で方向性を間違えてしまう可能性があるということ。

それまで私が素材や道具を選んでいた理由は「何となく」であったり、「コスパ」であったり「他に使っている人が多いから」であったり…。自分が作りたいもののイメージ・作風から逆算をして考えるということを一切していませんでした。

例えば先程もでてきた糸。私はリネン糸を使う前は「ビニモMBT」というポリエステル糸を使っていました。恐らく愛用されている方も多い糸ですよね。

ポリエステル糸なので縫い終わりを焼き留めできて楽ですし、カラーバリエーションもアマチュアにとっては十分。またMBT(たぶんMiddle Bond Threadかな?)は糸の撚りが緩みにくい加工がされたものなので縫い目もキレイに決まりやすいと思って好んで使っていました。

一般的にはリネン糸よりもポリエステル糸の方が強度が高いと言われていますから、そういった耐久性の面でも「ビニモMBT」を使っておけば間違いない!っと思っていた訳です。化繊糸はコスパも高いですしね。

こうやって書いてみると、きちんと特徴を踏まえて素材を選んでいたようにも思えますが、お気づきですか?「最終的に自分がどういうものを作りたいか?」という視点がスコーンと抜けていますよね。それが後の違和感につながってしまった訳です。

当然ですが、これは練習して改善・習得できるような技術的な問題ではありません。それ以前の道具選び、素材選びの問題ですから気づかずにいたら永遠に迷宮から抜け出せなくなっていたところです。あぶね、あぶね。

特にレザークラフトを始めたばかりの頃は技術習得にばかり目が向いてしまいがちですよね。私自身もそうでした。

でもそれと同時に、自分が最終的に作りたいもののイメージを固めることもまた同じくらい大事なことだと思います。そして理想イメージに合うように道具や素材を選んであげる。

でないと、私のように「出来上がったけれど…なんだかイマイチだな…」と思い悩むことになってしまいますからね。

「作風」が盲点となってしまったワケ

こんなに大事な「作風」がなぜ「盲点」となってしまったのか。その理由については私自身ちょっと心当たりがあります。

それは、情報収集の仕方です。

先に述べたように、当時の私は技術習得にばかり目を奪われていて「レザークラフト」と冠する情報には片っ端から飛びついていました。今思うと、それがマズかったのかな、という気がします。

御存知の通り、一口に「レザークラフト」と言っても作品が持つ雰囲気や方向性は作り手ごとに違いますよね。厚みのある革を使ってハードな印象に仕上げる作品もあれば、シュリンクレザーで柔らかさを演出する作品もあります。

染色やカービングなど独自の加工を施す作品、コンチョやシルバーなど革以外の素材と組み合わせた作品、クロム革を使ったヴィヴィッドな発色が魅力の作品…etc.エトセトラ。

作風が異なれば、素材や道具に対する考え方も微妙に変わってくるはず。ですが、当時の私はそんな事を意識せずアレもコレもと欲張って情報をかき集めていたため、自分の目指す作風にマッチする情報を取捨選択するということができていませんでした。

いや、そもそもの所で情報を集めることに夢中で、本来最も大事であるはずの「結局自分はどういうモノが作りたいんだ?」という、言わばゴールの設定が疎かになってしまっていたのだと思います。

自分の理想の作品を作りたいと思いながらも、その理想が何なのか分かっていなかった。ゴールが分からないままに走り出し、数多くの情報の波に溺れていた、というのが当時の私。

自分の理想なんて、自分がイチバンよく分かっていると高を括っていましたけれど、自分のことって、分かっているようで意外と分かっていないモンなんだな。(名言だぞ)

答えは己の中に

振り返ってみると、こうやって自分の理想や目指す作風に気づく経験というのは上達するための登竜門でもあったような気がします。

最初は誰でも素人。なので初心者の頃というのは、自分の外に「正解」を求める傾向が強いと思います。「道具は何を使えばいいの?」「素材はどれがいいの?」…教則本やネット情報というのは、そういった時にひとつの「正解」を教えてくれる便利なツールですね。

でも、レザークラフトをやっている方の目標は、誰かのコピーを作ることではないハズ。最初は勉強のために教則本通りにやってみたり、誰かのマネをすることもあるでしょうが、ゆくゆくは自分が「カッコイイ!」と思える自分だけのオンリーワンの作品を作りたいと思っている方が大半なのではないでしょうか。

ただ、あなたのオンリーワンは他の誰かが教えてくれるモノではありません。ある程度、基本的な作業工程等をマスターしたら、次のステップ。自分の理想を追求すべく、自分の外ではなく自分の中に「正解」を求める必要が出てきます。

私が登竜門だと感じるのは、ココ。こうやって自分の中に正解を探すようになることが、誰かに正解を教わる段階=初心者の段階から脱するステップだったんじゃないかな、と思うわけです。

以前、私はあまり使っている道具などを人に「オススメ」しないようにしていると書きましたが、同じように、素材等についても私はあまり他の人に「オススメ」することはありません。本当の答えは作り手自身の中にあるものだと思います。

もし今、自分が作った作品に対して「どうもイマイチなんだよなぁ」と感じていらっしゃる方がいれば、もしかしたら今は上達のための登竜門の真っ只中にいるのかもしれません。

アンテナを張っていろいろな情報を参考にすることは大切ですが、改めて自分の作りたいものがどういうモノなのか、自分の作風・自分なりの正解をじっくりと考えてみる段階なのかも。

外に答えを求めるよりも、”自らに問う”ことで突破口が見いだせるかもしれませんヨ。

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