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接着剤をキレイに塗るために一番大事なこと
こんにちわ、HAKUです。先日のエントリーに引き続き、今回も接着剤について。
今回は私の体験、そして例によって主観を絡めつつ、接着剤をキレイに塗るために一番大切なことについて書いてみようと思います。
キレイに塗るための大前提
「ふざけるな!」と怒られてしまうかもしれませんが…。
接着剤をキレイに塗るための大前提、一番大切なことは「キレイに塗れる接着剤を選ぶ」ことだと思います。
もう一歩踏み込んで表現すれば、自分の使いやすい「粘度」の接着剤を選ぶこと。(もしくは塗りやすい粘度に調整すること)これで接着剤の塗り方に関する悩みの大半は解決するんじゃないかな、と個人的には思っています。
接着剤を変えて分かったこと
ここで私の体験をご紹介。
よくレザークラフト初心者の方におすすめされる「G-17ボンド」というものがあります。ホームセンターや100円ショップでも手に入り、接着力が強力な皮革用接着剤。
「初心者はまずコレ使っておけ!」と言わんばかりにいろいろなところでおすすめされているのを目にします。レザークラフトの専門店でも取り扱われていますね。
私もご多分に漏れずこちらを購入してレザークラフトをはじめました。ですが、私は初心者の頃、こちらのボンドを全く使いこなせませんでした。そしてレザークラフトに慣れてきた今でも使いこなす自信がありません。
こちらの商品自体は優秀ですが、ことレザークラフトに関して言えばかなり扱いづらい部類に入ると思います。理由は粘度の高さと、パッケージにもある「速乾」性です。
接着剤を薄く塗り伸ばそうとしても、こちらのボンドはとても乾きが早い。モタモタしているとスグに接着剤が乾いてしまいます。っというか塗布する前から糸を引いているくらい粘度が高い。
スグに乾いてしまうため必要な箇所全てに塗り伸ばせず、仕方なくボンドを足す。それを繰り返しているうちに立派な厚塗りになってしまう。そんなことが度々ありました。
最悪の場合は塗布面に接着剤のダマができてしまいます。ヘラについた余分なボンドも速乾で固まってしまうので、ヘラの面が凸凹になって、さらに塗りにくくなってイライラ…。
私は初心者の頃、こちらのG-17ボンドや姉妹品のGクリヤーを使いながら、「どうもうまく塗れない」「コバにボンド層が出てしまう…」と悩ましい日々を過ごしました。
ある時、何気なくお試しで購入した「ブルドック印のゴムのり」を使ってみて、その塗やすさに感動を覚えました。スイスイ伸びて、少量でも薄く塗り伸ばせる。「あー、接着剤を薄く塗るって、こういうことかー!!」と初めて体感できた気がしました。
もちろん、こちらは縫製することを前提としたあくまでも「仮止め用」のゴムのり。G-17ボンドとは性質の違うものなので比べるのは酷かもしれませんが、扱いやすさは段違いでした。
ゴムのりの使いやすさに感動すると同時に、「オイ!レザークラフト初心者にG-17ボンドをオススメした奴、出てこい!そこに正座しろ!」っという気分になったのを覚えています。
G-17はよい製品だけど
繰り返しになりますが、G-17ボンドという製品自体が悪いわけではありません。問題なのは、レザークラフトで必要とされる薄塗りがしやすいかどうか、という用途との相性の問題。
私がG-17ボンドを使いこなせなかった理由は、テクニックやコツ以前の問題で、自分の作業内容・作業スピードとボンドの相性が決定的に悪かったからではないかと思います。
そもそも粘度が高くて乾燥が早いものを薄く塗り伸ばそうということに無理があります。こればかりはいくら道具を変えても、何度練習をしても攻略するのは至難の技です。
私の勝手な推測ですが、G-17ボンド、特にチューブタイプの基本的な用途は皮革製品の”部分補修用”なのではないかな、と思っています。パッケージにも小物を修復するシーンと思われる写真が掲載されていますね。
ちょっとカバンの持ち手がめくれちゃった、とか、靴の踵が少し剥がれちゃった、とか…。身の回りの皮革製品のちょっとした不具合を直すもの。だからこそホームセンターや100円ショップにも並んでいるんじゃないかな、と。
「部分」補修用なので薄く塗り広げるような使い方はあまり想定されておらず、むしろ乾きが早いことで不具合箇所を素早く補修できることを売りにした商品なのではないか、と。コニシボンドさん、間違えていたらゴメンナサイ。
接着力が強くて、安くて、入手性が良いG17ボンドそれ自体はとても優秀な製品ですが、「レザークラフトにおいて、薄くムラなく塗りやすい接着剤か?」と問われたら、私は「Yes!」とは言えません。
「塗りやすさ」を判断基準に
この経験から、私は接着剤を選ぶ際には、接着力やコスパも大事な要素ではありますが、「塗りやすさ」という基準を持つことが大事だな、と痛感しました。
そして接着剤の塗りやすさというのは、「粘度」との関連が強い要素。
だからこそプロの方たちは接着剤を小分けにしたり、溶剤を使ってきちんと粘度管理をしているのでしょう。そう考えると全てのことが線としてつながってスッキリと頭の中が整理できました。
接着剤をキレイに塗れないという場合、その要因が自分のやり方や道具の問題であることは実は稀なんじゃないかと個人的には思っています。たいていの場合は接着剤のチョイスや粘度管理の問題のように思います。
ちなみに「サイビノール」もまたレザークラフト用に粘度の違う2種類が発売されています。
600番の方が粘度が高く、接着力もより強いとされていますが、塗りやすさ重視の私は粘度の低い100番を使っています。
接着剤がきれいに塗れないとお悩みであれば、まずは今お使いの接着剤を「塗りやすさ」の面から再評価してみてはいかがでしょう?
接着剤の種類について
接着剤のチョイスが大事と書きましたが、そもそもの問題として「レザークラフトの接着剤は種類が色々あってわかりにくい問題」というのがあるかと思います。
最適な接着剤を選ぶためにも、大まかに接着剤の種類を整理しておきましょう。以下、私の理解の範囲ですが各接着剤の区分けをご紹介してみます。
●水溶性か溶剤系か
前者は「サイビノール」や「白ボンド」と言われる木工ボンドに近いもの。厳密にはトルエンなど有機溶剤が使用されていたりしますが便宜的に水溶性ボンドとして理解しています。
後者はいわゆる「ゴム系ボンド」と言われるもので、ネバネバしていてツンと刺激臭のするやつ。先に登場したG-17、ブルドック印のゴムのり、私が現在使用しているダイアボンドやノーテープもこちらに含まれます。
●仮止め用か完全接着用か
溶剤系はさらに仮止めタイプと、完全接着タイプのものに分けられれます。ブルドック印のゴムのり、クラフト社のゴムのりは仮止めタイプで剥がそうと思えば簡単に剥がれます。接着強度の強いものもありますが、あくまでも縫製するまでの仮止めが目的。
一方、G-17やノーテープは完全接着。剥がれないことはないですが接着力が強いので無理に剥がそうとすると革が伸びてしまったり破れてしまうことも。
簡単にマッピングするとこんな感じでしょうか。
色々と種類があってわかりにくいレザークラフトの接着剤ですが、この図のように考えてみるとスッキリと整理できるんじゃないかな、と思います。
昨今は図の左下のような水性のゴム系接着剤が広がっていますね。既にヨーロッパでは主流であるそうです。実は私もいくつか取り寄せて試しています。
図では「完全接着」のカテゴリーに入っていますが、私個人的には溶剤系よりも接着力は弱めで縫製が必要な印象。ちょっと強めの仮止めタイプといった使用感でした。
私は最近は「ノーテープ9820」という接着剤を使っています。こちらはLeather works ittenさんがオススメされていたもの。レビュー動画を拝見した際に伸びが良くて「ブルドック印のゴムのりのようで塗りやすそう」と思って使い始めました。
接着剤をムラなく薄塗りすることの大切さを解説されているittenさんが紹介するだけあって、とても塗りやすいものでした。こういった一貫した解説をしてくださると、ありがたいですしとても信頼できますね。
私自身はもう少し粘度が高い方が使いやすいので、少し溶剤が揮発した状態で使っています。(その方がちょっとニオイが抑えられる気もします)
最後に
いかがでしたか?考えてみるとG17から始まって私も接着剤については色々と悩んできたなぁと、記事を書きながら過去を思い出してしまいました。
接着剤は種類も多いので選ぶのも大変ですが、前回の記事に書いたようにコバをはじめ作品のクオリティに直結する部分なので、ぜひ「キレイに塗れるかどうか」という使いやすさの観点からお気に入りを見つけてくださいね。
うーん、前回から記事にしてみたけど接着剤もなかなか奥が深いなぁ。