なんかドキドキする

『右手にドキドキがあるだけ』
握手を交わした相手は必ず私に恋をする。
同性でも異性でもだ。

そして理由は決まってこう。

「なんかドキドキする」

けれどそれは私の右手に相手の恋心を擽る何かがあるからという理由に過ぎない。

だから私は「よろしくお願いします」という言葉が大嫌いだ。

この言葉の後にはほとんどの確率で握手する文化が何故かこの国にはある。

それも右手で握手をするのが常識らしい。

今日も私は左利きを探している。

常識のない左利きを探している。

「よろしくお願いします！」
元気がある歳下の異性。顔は少しタイプかも知れない。

私は左手で握手を求めて初めて思った。

「なんかドキドキする」