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腐女子が「鉄男(1989年)」を見たら大興奮だった(ネタバレ注意)


 先日たまたまOSOREZONEを見ていてふと引っ掛かったものがあった。『野火』や『沈黙-サイレンス-』で有名な塚本晋也監督の初期の作品、『鉄男』であった。
 67分と再生時間がちょうどいいからという理由で再生したら度肝を抜かれた。具体的には真昼間から一人で雄たけびを上げていた。脳汁がどばどばでてこまった。

本編より

「あ~とってもいい気分だ~」
「よし、こうなったら世界中を鋼鉄の塊にしちまおうか
あ~」
「そして、世界中を錆び腐らせて宇宙のもくずにかえしてやろうか!」
「おもしろいなあ」

あらすじ(OSOREZONEより)
鉄男
ある日目覚めると、平凡なサラリーマンの頬に金属のトゲのようなニキビが・・・。その日から男の体の中で肉体と金属の壮絶な戦いが始まった・・・。ペニスまで金属ドリルと化した男は、恋人をえぐり殺し、“やつ”と合体した鉄のかたまりとなって、都市の荒野に叫ぶ。「世界中を錆くさらせて、宇宙のもくずに帰してやろう」「俺たちの愛情で、世界を燃え上がらせてやる」。世界へ向けて、巨大なメタルサイキックウォーズが始まる・・・。

鉄男のここがすごい

1.白黒ノンストップモーションの息をもつかせぬ画面構成
2.石川忠のメタルパーカッション
3.全編を通して描かれる狂気

勝手な考察
1.あの浮浪者何??
2.「男」と「やつ」の関係と感情

1.圧倒的ビジュアル!白黒ノンストップモーションの息をもつかせぬ画面構成
 始まっていきなり驚くのが白黒で描かれていること。1989年の映画といえばバットマン、リトルマーメイド、ドラえもんのび太の日本誕生、魔女の宅急便などがあげられる。その時代に白黒!いきなり驚く。
 また、移動の時や躰が変化するシーンなどはノンストップモーションで描かれている。めちゃくちゃコマ送りされてる感じがすごい。逆に粗が見えるかと思われるが、白黒の画面と相まって迫力が増してるんだなこれが。いわゆる一つの相乗効果ってやつですね。

そして美術面!!
 冒頭でごちゃごちゃした工場で工場フェチにビンビン刺さる。薄汚い工場って楽しい。
そして鉄!男の足!傷口!ウジ虫!!!は~!!フェチに刺さる~!!
それからどんどんと鉄の塊となっていく「男」とそれを追いかけるようなパンクロックが好きそうな「やつ」そのビジュアルの圧倒的サイバーパンク感。たーのしー!
あと大体の人間が汗まみれ血まみれなのでなんか画面に滴りまくっている。これで暑苦しさが良く伝わる。
 話が進み女性とセックスした後に更に体に変化が表れる『男』なんと男性器がドリルになるのだった!!!もうこれで名作確定。ドリルちんちんが面白くないはずがない。
「多少のことでは驚かないから、見せて」という『男』の凶悪そうなドリルちんぽをみて驚愕する女!それに腹を立てて殺害する『男』!!白黒で血の色はわからないもののひたすらに汁が飛び散る!!たーのしー!!
 最終的に二人は合体して高さ4mぐらいのでかいちんぽにバイクがついた感じのオブジェになって街を爆走する。マッドマックスも驚きの改造車!たーのしー!!

2.石川忠のメタルパーカッション
 鉄男のセリフといえばほぼ叫び声ぐらいしかなく、響くのは石川忠のメタルパーカッションのみ。鉄男の題名や画面を音に表したらこんな音になるだろうという金属を打ち鳴らしたような迫力のある音がやばい。テンション上がる。
 石川忠さんは日本におけるインダストリアルミュージックの草分け的存在であり、そりゃあかっこいい罠という気持ち。また、塚本晋也監督作品には彼の音楽は欠かせないものとなっているのエモ……(ここにBLみを感じるくそ腐女子)
 マジで音にも圧倒される。これ爆音とかで聞いたらぜったい気持ちいい。そんな音が60分ずっと続く。気持ちいい

3.全編を通して描かれる狂気
 この作品にまともな人間はいない。「男」はなんとなく真面目そうで「やつ」に理由もなくねらわれる不条理スリラー系なのかと思ったが全然そんなことなかった。
この「男」、アナルを彼女に侵されたいと夢想しているシーンがある。また冒頭で自分の身体に鉄を埋め込むのに失敗した「やつ」を車で轢いているのだ。しかも、それを山奥に捨て、死体を見ながら彼女と青姦をするのだった。
なんかみんな話が通じそうで通じないやつばっかり。こわ。
あと、医者も頭に鉄が刺さってるのにそれと共存するしかないね。みたいなことを言う。やぶかよ。
そんな登場人物が全員狂っている。
そもそも躰から鉄の塊がでてきて怪物になって合体するってのが狂気なのではっていう。

↓↓ここから下は考察(腐っている)です

勝手な考察
1.あの浮浪者って何?
個人的には「やつ」のトラウマだと思います。「男」を追いかけているときにフラッシュバックしちゃったんだと思います。「やつ」は幼いころにあの浮浪者から性的なことを含む暴行を受け、深い心の傷を負った。(声が幼くなっているのはそのため)そのために「やつ」は自己改造願望を募らせて冒頭のようになっていったんだと思われる。
冒頭で陸上選手(走っている姿)があったり、足に鉄棒入れた入りするのは浮浪者から逃げられるようにしたいという願望の表れだとおもう。
そして、さまざまな「やつ」の能力もすべて自分の身を守るための能力に通じる。確実にメタリカにハーミットパープルとかいろんなスタンド能力のごった煮。
たぶん「やつ」は「男」に出会わなかったら浮浪者を殺していたと思う。


2.「男」と「やつ」の感情と関係
「男」=昭和の木造の家とか古いものの象徴
「やつ」=平成の鉄筋の建物の新しいものの象徴
これは時代の変化を表していて、古いものはやがて新しいものに取り込まれて新旧一体となるみたいなことが暗示されていると思う。昭和は鉄(新しいもの)に浸食され一体化する。そして新しいものが主導権を握って新しい時代を気付いていく。それがあのエンディングの暗示しているものなのかと思います。

腐って考えると
あれはもう殺し愛です。愛ですよ……憎さ余って可愛さ百倍になったのが終わりなんだと思います。
車で轢かれた時に、「やつ」は「男」に一目ぼれしています。それからかれをストーキングしてひたすら追いかけて自分と同じような存在にしようとしてきます。
殺そうと「男」と「やつ」が対峙した瞬間「来い!」とか言っちゃうのは自分と同じ世界に来てほしいから。愛じゃん。錆化を進ませて死のうとしてる「男」に焦っちゃうのも殺したいというより同化願望が強いからだと思う。
最後「男」がガッチガチの鉄の塊になった瞬間、「すばらしい」っていうのも自分と同じ存在になって嬉しいんだと思います。
最終的に「やつ」は同化を試みる。一度は拒絶されたものの二人は同化してしまう。あ~!!セックス!!!!そして、精神世界の中で二人は色っぽく交わります。なんか百合アニメのOPっぽい。ここでかれらの腕が鉄で繋がっているのも精神的にふたりが繋がったんだと思う。「男」は「やつ」の愛を受け入れたんです。
これで見てて思ったのはAKIRAのこれだなっていう。最後金田が鉄男に取り込まれた後ナンバーズの救助ができなかった落ちがこれなのではって。
断末魔のような叫びをあげて大きな一つの塊となる。ちんちんの先っちょは「やつ」、根元に「男」これは「やつ」×「男」ということだと思います。
「ああ、いい気分だ(自分の逆アナル願望が満たされて」
「よし、こうなったら世界中を鋼鉄の塊にしちまおうか!そして、世界中を錆び腐らせて宇宙のもくずにかえしてやろうか!(愛の力を得て無敵感につつまれてる)ってかんじなのでは。

結論
全人類『鉄男 (1989年)』を見てくれ!!!!!!!感覚で見ろ!!!!!!!


参考にしたサイト
【日本映画】「謎の浮浪者問題」を解決!伝説のノンストップエログロメタルホラー「鉄男」をちゃんと見よう!【祝!30周年】


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