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【短歌30首】生きてゆこうね

201910短歌

生きてゆこうね
太陽の顔に似ている拗ねた頬おいで一緒に映画を見よう
自転車を静かに濡らす雨のようでしたあなたの零す米粒
紙ナプキン丸めて突っ込まれているおそらく牛丼を食べた器
ああそうだよ運動会やりたかったし俺が念じて雨を止ませた
秋の雨長くて起承転結の転いつまでも来ない小説
小間切れにされてちらし寿司の具になる程度には役立ちたかった
学校の図書室の本返すのを忘れたまま今日廃校になる
モーキミハドーデモイイ共和国へと亡命したい 泣かずに寝たい
大北海道展で買った食べ物持ち寄って中北海道展みんなでやろう
摘み取ってください連理の木の下の白いオキザリスがわたしです
どんぶらこどんぶらこ大根が来る 人が入るのには無理がある
大丈夫わたしは音声ガイダンスだから全然傷付かないよ
ぴこぴこと耳上がるうさぎの帽子 助け呼ぶ声聞こえてますか
写る人撮る人みんな大勢で視線交錯している写真
もう誰も来ない校舎を日が照らす メタセコイアが紅葉している
綱吉はさびしかったのかもしれない犬の巻毛に埋もれて眠る
太枠を記入いただき終わったら目を閉じ海を思ってください
つくりごとじみた大雨の夜だこどもの息は卵のにおい
道挟み学区の違うともだちと毎朝振る手 生きてゆこうね
何気なくがちゃがちゃやっているだけで解ける知恵の輪ほどのいさかい
ハチ公と主人が会えた世界ならもっときれいな星空だった
呼び方が少し変わっただけのこと跪くなよ狩りに行こうよ
十月のアウトレットはにんげんの生きるにおいで満たされている
ぶら下がり健康器具にぶら下がり山に日が沈むのを見ている
置いてきた仕事が細い針となりビーチボールを貫いている
へんてこな店主だったね延々と秋の星座のことを話して
AT車限定免許証なのできみを月へは乗せてゆけない
「大地讃頌」を歌っているときも方程式が頭を回る
クッキーを星のかたちに抜きおわり焼かれぬ生地を自分と思う
バスボムの泡に二つの手のひらをかざし有給休暇前夜は

うたの日に投稿した短歌です。10月1日から31日まで。
12日の台風の日はなにもかもやる気が起きず一日中寝ていて投稿できなかったのですがそのほかは旅行中もしっかり投稿できたのでえらかったです

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