【短歌30首】生きてゆこうね
生きてゆこうね
太陽の顔に似ている拗ねた頬おいで一緒に映画を見よう
自転車を静かに濡らす雨のようでしたあなたの零す米粒
紙ナプキン丸めて突っ込まれているおそらく牛丼を食べた器
ああそうだよ運動会やりたかったし俺が念じて雨を止ませた
秋の雨長くて起承転結の転いつまでも来ない小説
小間切れにされてちらし寿司の具になる程度には役立ちたかった
学校の図書室の本返すのを忘れたまま今日廃校になる
モーキミハドーデモイイ共和国へと亡命したい 泣かずに寝たい
大北海道展で買った食べ物持ち寄って中北海道展みんなでやろう
摘み取ってください連理の木の下の白いオキザリスがわたしです
どんぶらこどんぶらこ大根が来る 人が入るのには無理がある
大丈夫わたしは音声ガイダンスだから全然傷付かないよ
ぴこぴこと耳上がるうさぎの帽子 助け呼ぶ声聞こえてますか
写る人撮る人みんな大勢で視線交錯している写真
もう誰も来ない校舎を日が照らす メタセコイアが紅葉している
綱吉はさびしかったのかもしれない犬の巻毛に埋もれて眠る
太枠を記入いただき終わったら目を閉じ海を思ってください
つくりごとじみた大雨の夜だこどもの息は卵のにおい
道挟み学区の違うともだちと毎朝振る手 生きてゆこうね
何気なくがちゃがちゃやっているだけで解ける知恵の輪ほどのいさかい
ハチ公と主人が会えた世界ならもっときれいな星空だった
呼び方が少し変わっただけのこと跪くなよ狩りに行こうよ
十月のアウトレットはにんげんの生きるにおいで満たされている
ぶら下がり健康器具にぶら下がり山に日が沈むのを見ている
置いてきた仕事が細い針となりビーチボールを貫いている
へんてこな店主だったね延々と秋の星座のことを話して
AT車限定免許証なのできみを月へは乗せてゆけない
「大地讃頌」を歌っているときも方程式が頭を回る
クッキーを星のかたちに抜きおわり焼かれぬ生地を自分と思う
バスボムの泡に二つの手のひらをかざし有給休暇前夜は
うたの日に投稿した短歌です。10月1日から31日まで。
12日の台風の日はなにもかもやる気が起きず一日中寝ていて投稿できなかったのですがそのほかは旅行中もしっかり投稿できたのでえらかったです
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