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社会派ロック・シンガーだった白竜は、アニソンは歌うけど、俳優としてはヤクザ役しかやらないのか?


ヤクザ映画というと、ヤクザ役専門みたいな俳優に白竜がいる。1952年生まれだから、今年、72歳だ。

もともとは、在日朝鮮人であることを全面に押し出した社会派ロック・シンガーだった。

今時、「社会派」とか「骨太」とか書くと、間が抜けた印象が拭えないが、当時の白竜は、ストレートで真面目なロックをやっていて、とってもかっこよかった。

歌詞が社会派だと、大抵、理屈っぽくなって、反射神経のない音楽になりがちだが、白竜の曲には疾走感のあるものが多く、ライブを見ると体の動かし方も、歌詞に引っ張られることもなくスピーディーで、キマッていた。

私はロック・シンガー白竜のファンで、音楽活動がメインでなくなった白竜のことを、ずうっと諦めきれないでいる。

デビュー・シングルの「アリランの唄 / シンパラム(新しい風)」をラジオで聞いたとき、フォークみたいだったし、あまり話題にもならなかったが、私は強烈な印象を受けた。

その少し後に、「光州City」という曲が入ったファースト・アルバムが発売禁止になって、白竜は、一気に話題になった。

この曲は、1980年に韓国の光州市で起きた民衆蜂起を、軍事政権が鎮圧した大量虐殺事件を歌った曲だ。事件が起きたのが5月で、アルバムのリリース予定が11月だから、すぐに反応して作った曲だ。

歌詞が問題視されたようだが、当時も今も、何が問題なのか、私にはわからない。どう聴いても発禁になる要素がない気がする。多分、私が考え足らずで、鈍感なのだろう。

「白竜 光州City」


ファースト・アルバムは発禁になったけど、セカンド・アルバム発売後に、自主製作盤として発売された。自主製作だと入手しにくいようなイメージがあるが、普通にレコード屋さんで売っていた。

白竜は、その後も、サードアルバムで、ヒロシマとナガサキをテーマにした曲「グランド・ゼロ」を歌ったりと、日本には珍しい社会派ロックを展開した。


「白竜  グランド・ゼロ」


白竜はアルバムを数枚出した後に、なぜかライブハウスを運営するとかで、筑波に行ってしまって、表舞台から姿を消してしまった。

ところが、数年後の1980年代末になって、突如、ヤクザ役で映画に出演するようになる。

北野武の第一作監督作品『その男、凶暴につき』1989年公開を映画館に観に行ったら、白竜が出ていたのだ!

ゲイのヤクザ役を演じていたのだが、『ディア・ハンター』に出てきたベトナム兵みたいな目つきで、ものすごくかっこよかった。って、たとえが古いし、わかりづらいな……。

ロック・シンガー時代の白竜に関して私が得ていた情報は、性格が極端にシャイで、お酒も飲めない下戸、というものだったから、ヤクザ役には面食らった。

しかし、はまり役だったようで、今日までヤクザ役一直線のような俳優活動を続けている。と、書きながら、白竜が出ているVシネマは、私は一つも見ていない。ヤクザ役俳優の白竜は、実はほとんど見たことがないにだ。

私にとって白竜は、1980年代の「ロックをする人」だ。年に一回、内田裕也のNYRFで見ることができたが、それ以外で見かけることはなかった。

白竜本人にとっては、俳優業もロックも同じなのだろうか? 例えば内田裕也なんかはロックを身体で表現していた。内田裕也にとっては、音楽も俳優もロックで、二つは一致していた。

しかし、ヤクザ役ばかりやっている白竜は、音楽と俳優が一致しているのだろうか? 私は、前々回の文章で、ヤクザ映画はロックじゃないと書いてしまったので、白竜にロックだと言われると、困るのだ。



白竜の歌が好きな私は、時々、YouTubeで、白竜の音楽動画を探している。少し前に見つけたのが、なんとアニメソングだ。


「ゾンビランドサガ リベンジ - 風の強い日は嫌いか? (ホワイト竜ver)」


白竜久しぶりの新曲だ。私の年代には、とても聞きやすい歌だ。白竜は、佐賀県の出身なので、佐賀を舞台にした?このアニメに一役買ったのだろう。白竜も声優として参加しているのだろか? 調べ方が下手でよくわからない。

そういえば、白竜は、アニメの『カイジ』のエンディング・テーマも歌っていた。アニメとは相性がいいのだろうか?

サガゾンビランドの関連動画にこんなのも二つ見つけた。一つはアニメPVで、もう一つは、バンドのライブだ。女性ボーカルのヤンキー色がやけに強くて驚かされる……。


「風の強い日は嫌いか? ゾンビランドサガリベンジ ZombielandSagaRevenge」



「[ซับไทย] Franchouchou cover Kaze no Tsuyoi Hi wa Kirai ka?」



それにしても、白竜は、ヤクザ以外の役はやらないのだろうか? 先日ネットフリックスで見た『任侠学園』という2019年公開の映画にも、白竜がヤクザ役で出演していた。

ワンシーンしか登場しないが、悪い組の若頭みたいな役柄だった。主演は西島秀俊で、善い組の親分役を先日亡くなった西田敏行が演じていた。

主題歌というかエンディングテーマの『また逢う日まで』を西田敏行が歌っていた。力強い歌声だ。


「映画『任俠学園』挿入歌「また逢う日まで」PV(フルver.)/東京スカパラダイスオーケストラ×西田敏行」


また寄り道にそれてしまった。

白竜は、なんでヤクザ以外の役をやらないのだろうか? ヤクザ以外と言うと、大河ドラマにチラッと出ていた記憶しかない。色んな役が出来そうな気がするので、もったいないと思う。

白竜が今年の9月にやったディナー・ショーの動画があった。こんな感じでいいから、音楽活動をどんどんやって欲しいなと思う。でも、ディナー・ショーかあ…。ディナー・ショーには行かないな、私は……。白竜の年齢も72歳だし、もういいのかなあ……。


「2024/9/9 白竜 / 逆流 Live @ Blue Note Tokyo」







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