書籍レビュー『売上を、減らそう』
『私は好きです、この考え方』
本書は京都で1日100食限定のステーキ丼専門店を経営する著者が、その経営における考え方をまとめたものである。
・働き方を極限まで絞る
・働き方の形を自分の人生に照らして選ぶ
という2点が、著者が運営する佰食屋のビジネスモデルである。
佰食屋では、このモデルのもとで、
・1日100食限定でそれ以上売らない
・ランチ限定で夜は営業しない
・営業は3時間半のみ
・社員は残業ゼロ
を実現している。
そこには、日本経済で当たり前の前提とされている、売上は前年より伸ばすべき、とか店舗はできるだけ拡大すべき、という考え方に対する著者の強い反発が表れている。
そんなに頑張らなくても、その人が大切にするものが手に入ればいいじゃない、と。
もちろん仕事を頑張りたい人を否定はしていない。
ただ、その人それぞれの幸せをつかむために、こうした選択肢が世の中にあるということを示したかったのだろう。
こうした考えには反発も多くある。
実際に、起業前のビジネスコンテストでは評論家から酷評されたとも記載されているし、このアマゾンのレビューでも賛否両論である。
でも、それでよいのだと思う。
おそらく著者も自分の選んだ働き方が正しい、とかこうあるべき、とは思っていないのだろう。
あくまで個人が選択する人生の選択肢の一つなのだ。
そういう意味で、私は「頑張らなくても幸せになれる仕組みを作りたい」という著者の主張には大いに共感する。