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書籍レビュー『新規顧客が勝手にあつまる販促の設計図』

『中小企業でも、個人事業主でもできるマーケティングの入門書』

本書はデザイン会社の経営者である著者が、自身が取り組んだ中小企業のマーケティング手法について、経験則を元にまとめたものである。
実体験に基づいているので具体性が高く、明日から試してみたいと思える方法が多い。
また、実際の効果(商談獲得件数やコンバージョン率)が示されているのもうれしい。

販促の設計図という名前で、本書では6つのキーとなる販促のパーツが語られている。
リスティング広告、コンテンツSEO、ダイレクトメール、コーポレートサイト、ノウハウブック、ニュースレターである。

ダイレクトメールやニュースレターはオンラインの手法(顧客HPからの問い合わせや、メルマガ)ではなくオフラインでの紙媒体の手法を推奨している点も本書の特徴である。著者の実体験から、紙媒体の方が効果が高かったことを根拠にしている点は納得感がある。たしかにデジタルリテラシーの低い企業をターゲットにするのであれば、電子媒体よりも、実物のある紙の方が訴求力が高いであろう。
一方で、これらの手法は自社の商品・サービスに合わせて選択すべきであることも強調されている。著者の場合はデザインが仕事のため、紙媒体でのプロモーションは商品力の訴求という側面もあり、他の業態よりもマッチしたのであろう。一方で、コロナ禍で出社比率の低い現在では、紙媒体を会社に郵送する方法の有効性が下がっているのではないかと思われる。

また、本書でいうダイレクトメールは自社と接点のない顧客に対して一方的に送る手法を指しているが、これを電子メールで行うのは現在ではオプトアウトにあたり、企業の信頼失墜を招く。そう考えると紙媒体での郵送は理にかなっているとは思うが、コストが1回5,000社に送ると200万円以上かかり、自社と接点のない顧客に対するアウトバウンドでの開拓は商談化率も低い。著者自身はLTVを考えると反応率が0.5%あれば投資対効果は十分との主張である。
そう考えると取り組む順番としては、本書の構成通りにリスティング広告やコンテンツSEOで潜在、顕在顧客からプル型の引き合いを見つける方法を優先すべきであろう。

他人の経験の良いところは取り入れ、自分の商品・サービスに合わせて活用したいものである。

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