書籍レビュー『10年後に活きる人脈のつくり方』
『人脈が自分の知見・キャリアを広げていく』
会社に勤めているビジネスマンの方は、「最近、会社の人としか話していないな」とか「社外の人と会っても自分の業界の話しかできないな」と思うことはないだろうか。
特に同じ会社に長く勤めている方や、大企業で社内との調整業務が多い方、マネジメントに近い方ほど上記の状況になりやすいと感じる。
もちろん、これが悪いというわけではない。
定年まで同じ会社で勤め上げていくのであれば、特に問題はないだろう。
しかし、自分の知見を広げたい、転職してキャリアアップしたいと考え、自分のコミュニケーションの範囲に課題を感じているのであれば、その解決策の一つが「人脈」かもしれない。
本書は、コミュニティとSNSによって築いた人脈をもとに7回の転職を行って様々な業界を渡り歩き、独立して顧問業を営む著者の経験談と人脈構築術をまとめたものである。
人脈というととにかくいろんな人に会いに行って無作為に知り合いを増やしていくイメージを持つかもしれないが、著者が薦めているのはそうではない。
著者自身「嫌なやつとは仕事しない」「ありがとうと言われる仕事をする」「社会貢献が高いことをする」を幸せに働くためのルールにしており、自分に合わない人とは距離をとる生き方をしている。
人脈は量だけでなく質も大切なのだ。
本書で私が感銘を受けた部分をいくつか紹介する
「新しいこと、やりたいことを仲間とともに言葉にすることで、お互いに引くに引けない状況を作る」
いつかやりたいな、と思っているような夢は自分の心にとどめておくだけでは一向に実現しない。
そこに向けて行動することが重要である。
その行動を起こすための第一歩が人に話すことだと著者は言っている。
人に話すことで自分としても覚悟が決まり、動き出さざるを得なくなる。
また、人に話すと相手がその目標を達成するために必要な人を紹介してくれたりと、自分だけではできないことを手伝ってくれるのである。
こうした夢を仲間同士で語り合うことで、その効果をお互いに発揮し、相手が頑張っているから自分も途中で降りられないという状態を作るのだ。
「今の仕事に関係する縦の人脈と、自分の業務外の横の人脈の両方を広げる」
人脈には縦の人脈と横の人脈がある。
縦の人脈は社内や自分の業界等、今の仕事に関わる人たちとのつながりである。
これは自分の専門性を高めるのに重要だ。
一方でそれ以外の人たちとのつながりが横の人脈である。
地域コミュニティ、趣味の仲間、副業の同業者など、今の仕事とは異なる人たち。
こうした横のつながりは、自分の人生を豊かに、そして知識・スキル・キャリアを横に広げていくのに有用である。
この2つをバランスよく、若いころは縦の人脈を40代以降は横の人脈を意識するとよい。
「初対面の人との会話では傾聴の姿勢が重要」
人に対する興味関心の気持ちがあると、相手のことをよく知ろうと思える。
そして、自分が相手に興味関心をもって臨めば、相手も自分に対して良い印象を持ちやすくなる。
そのため、初対面の方と会う時は、事前にその方のことをSNS等で調べ、会話のネタを持っておく。
そのうえで、相手2:自分1程度の割合で傾聴に努める。