書籍レビュー『マイクロソフト伝説マネージャーの世界No.1プレゼン術』
『プレゼンはビジョン作りが最重要』
私は比較的プレゼンをする機会が多い。
相手は社内であったり、パートナー企業であったり、顧客であったり様々である。
自分のプレゼン力をさらに高めたいと考え、世界No.1という触れ込みをみて本書を手にした。
本書では、マイクロソフトで異例のエンジニアとしてアワードを受賞した著者が、そのプレゼンテーションの極意を伝えている。
その中でも特に私が印象に残ったのは、プレゼンのビジョン作りについてである。
プレゼンの準備というと、ほとんどの人がまずはパワーポイントの資料作成を始めることだろう。
過去に使った資料を流用できないか、他の人から資料をもらえないかなど、できる限り手間をかけずにそれなりの資料を準備することに主眼が置かれていることが多い。
一方、本書で著者が主張しているのは、まずプレゼンのビジョンを固めることである。
プレゼンのビジョンとは以下の2つから成る。
1.相手からどんな行動を引き出したいか
2.その行動をすることで、相手にとってどんなハッピーな未来が待ち受けているか
1.については様々なプレゼンに関する書籍でよく言われることである。
プレゼンの目的は「話すこと」ではなく、「聴き手に自分の望む行動をとってもらうこと」であることは明白である。
しかし、この基本の壁を乗り越えられず、話すこと自体に四苦八苦しているケースも多い。
本書ではさらにその上に、相手にとってのハッピーな未来を示唆することの重要性を示している。
これは本書全体を通して著者が主張する、話して目線ではなく聴き手目線でのプレゼントして非常に重要な項目であろう。
相手に行動してもらいたいからと言って、メッセージが話して目線では相手の心を動かさない。
相手にとってどんないいことがあるか、これを「メリット」というビジネス的な表現ではなく、「ハッピー」という感性的な表現で伝えている部分に、著者のプレゼンにおける聴き手への愛情を感じるのだ。