書籍レビュー『ユーザーインタビューのやさしい教科書』
『自分の考えに誘導せず、相手の意見を引き出すことに徹する』
プロダクトやサービスの改善のために、ユーザーインタビューを行うことは一般化している。
しかしインタビューの技術は奥が深い。
単にユーザーを招待して話を聞くだけでは、有益なインタビューにはならない。
本書はこうしたユーザーインタビューの実施方法について、会場/オンライン両方の具体的な手順やノウハウをまとめたものである。
これからユーザーインタビューを行いたい人にはとても役に立つ内容だと思う。
私自身もユーザーインタビューを実施する前に、学習のために本書を手に取った。
昨今はオンラインでのミーティングが一般化されたため、インタビューも対面ではなくオンラインでの実施が現実的となり、移動がなくなる分日程調整や時間配分が楽になった。
一方で、特にグループインタビューでは対面の場合に、他の参加者の意見からインスピレーションを受けて意見が深堀されていくプロセスがあったのだが、これがオンラインでは発揮しにくくなっている。
オンラインインタビューでは1対1のデプスインタビューが有効なのではないかと感じる。
本書を通して、インタビュアーに求められるのは以下の3点だと感じた。
・初対面の相手にも信頼され、気軽に話せる雰囲気つくり
・自分の考えに誘導せず、素直に相手の意見を傾聴し、その背後にある心理を探る意識
・事前に予定した流れに固執せず、時にシナリオを変えても聞き出すべき情報を獲得する柔軟性
インタビュアーは簡単そうに見えて、高いコミュニケーション能力が必要とされる。
最初からうまくはできなくても、実施→振り返りを繰り返して徐々に上達できるというのも本書からの学びである。