書籍レビュー『非クリエイターのためのクリエイティブ課題解決術』
『ビジネスのクリエイティブ解決力は誰にとっても重要』
「クリエイター」という言葉を聞くとどんな人を思い浮かべるだろうか。
デザインや映像を作ることを生業とした、センスにあふれる人物を想像するかもしれない。
本書ではクリエイティブを「表現のクリエイティブ」と「ビジネスのクリエイティブ」に分けて整理している。
一般的に言われるクリエイターは前者の「表現のクリエイティブ」を扱う職種の人であり、質の高いデザインを作成することができる。
一方、本書で著者が非クリエイターの人にも必要だと言っているのが、後者の「ビジネスのクリエイティブ」能力である。
ビジネスのクリエイティブとは、ビジネスや企業の課題をクリエイティブを使って解決することだ。
企業には様々な課題がある。
売上や収益の増加、商品の認知獲得、従業員の満足度向上、生産性の向上など。
こうした課題を解決するための手段の一つにクリエイティブを用いるのがクリエイティブディレクターの仕事である。
そのステップは
1.課題の本質を見つける
2.解決策の仮説を立てる
3.解決策につなげる
と一般のビジネスマンが行っていることと全く同じである。
異なるのは、一般のビジネスマンがドキュメントやコミュニケーションで課題を解決していくのに対して、クリエイティブディレクターはクリエイティブで課題を解決していく点である。
更に、このビジネスのクリエイティブによる課題解決のプロセスの中でも、最後の「解決策」の部分は「表現のクリエイティブ」に優れたデザイナーに頼ることになるが、それ以外の部分は必ずしもデザイン能力が必要なわけではない。
課題の本質を見つけ、解決策の仮説を立てる、というのは誰もが日々やっていることであろう。
本書では主に、広告代理店や企業のマーケティングに携わっている方が対象になると思う。
こうした職種の人にとっては自分自身がクリエイティブを生み出せなくても、「表現のクリエイティブ」に優れたデザイナーとタッグを組むことでクリエイティブに課題を解決していく手法はとても有益である。
著者自身が、最高のクリエイティブディレクターと出会い、自分自身は「ビジネスのクリエイティブ」の領域で様々な成果を残しているのだから。