Return of the Obra Dinnをクリアしました(ネタバレなし)

発売当初、Steamで見かけて興味はあってウィッシュリストに入れておきながらずっと購入していなかったこのゲーム、最近またふと私の周りで話題に挙がり、そのタイミングでPS4版がセールになったので「今だ!」とばかりに購入し、クリアしました。プレイ時間は12~13時間くらいでした。
ゲームの雰囲気は各プラットフォーム(Steam、PS4、Switch)で紹介されているスクリーンショットやムービーを見ると分かりやすいと思います。独特な雰囲気の3Dグラフィックスの1人称視点で、BGMも印象的です。
ゲーム的な演出はあるものの、推理そのものには奇をてらうようなことは何もない、ガチの推理ゲームです。

以下、ネタバレなしの紹介や感想です。
ネタバレなしではありますが、各ストアページよりは少し踏み込んでいるかもしれません。

舞台は1800年代初頭のイギリスで、主人公(プレイヤー)は東インド会社ロンドン本社所属の保険調査官です。数年前に消息不明となった商船オブラ・ディン号が突然港に帰港し、そこに生存者はいませんでした。主人公は保険の査定のためにオブラ・ディン号に乗り込み、オブラ・ディン号とその乗員達に何が起こったのかを解き明かすこととなります。

オブラ・ディン号に乗り込むに際して、主人公は懐中時計と1冊の未完成の手記を持ち込んでいます。この懐中時計には不思議な力が備わっており、遺体などから残留思念を読み取り、過去に起きた事象をまるでその場に居たかのように確認することができます。そうして得られた情報を手記に書き込んでゆくことで、オブラ・ディン号の乗員、乗客全員の安否を明らかにしてゆくことが目標です。

冒頭にも書いたようにガチの推理ゲームなので、主人公が調査を行って得られる情報を元にプレイヤー自身が考え、正解を導き出す必要があります
推理の難易度はさまざまで、分かりやすいものは残留思念から殺人事件の被害者あるいは加害者の名前が直接分かったりしますが、難しいものは複数の残留思念から得られる断片的な情報をつなぎ合わせたり、注意深く周辺を観察する必要があります。

この推理が本当に面白く、序盤は見たままの情報を手記に書き込んでゆくとスルスルと解けてゆくのですが、途中から「死因は分かるけれど名前は分からない」とか「本人の名前も死因も分かるけれど犯人の名前が分からない」とか「2人にまで絞り込めたけれど、どちらなのか分からない」など、あと一歩の所で確証が得られないといったことがたくさん出てきます。
しかし、オブラ・ディン号の乗客、乗員の安否は全て明確な根拠を元に明らかになるようになっています。関連する残留思念をたどり、よく観察すると決め手となる情報を見つけることができます。
ミスリーディングのような要素はなく見たままが真実であるので、例えば消防車に乗っている人は消防士ですし、校長室に居るのは校長先生です。
手記の中にある乗員、乗客の名簿や、船上の様子を描いたスケッチはもちろんのこと、手記の最後の方に載っている用語説明もよく読んでおくと調査の助けになります。おかげで船乗りの役職についての知識が少し身につきました。

船内で調査をしていると、途中でオブラ・ディン号まで小舟で運んできてくれた人から声をかけられるのですが、小舟に乗るとその時点で調査完了となります。でたらめな調査をしていたり全員の安否が明らかになっていない状態でも、本社に調査結果を報告しておしまいになってしまいます。
特に時間制限などはないので小舟の人には悪いですが気の済むまでじっくり調査できます。
調査が順調に進んでゆけば、「もう調べることはない」旨を示すメッセージが出てくるので、そうしたら小舟で帰りましょう。

調査のポイントは、先程も書いた通り「見たままが真実」なので、とにかく隅々までくまなく観察することです。懐中時計の力で見ることができる残留思念の光景は、誰かの死の瞬間を切り取った、時の止まった光景です。そして、主人公はその時の止まった光景の中を自由に歩き回れます。殺人の被害者や犯人の目線での追体験などではなく、あたかもその場に居合わせたかのように周囲を確認できるため、死の瞬間を迎えている本人以外の情報もたくさん隠されています。
また、手記の内容は時系列に沿って整理されており、特定の人物をブックマークして手記の中で追跡しやすくする機能も備わっています。これらを活用して特定の人物がある時点でどこにいたのか確認したり、あるいは時系列に沿って周囲の様子を観察することで、このタイミングではこの人物はまだ生存しているはず…といった推理に役立てることができます。

そして救済措置というかゲームシステムとして、人物の安否状況(顔と名前の一致、生存または死亡の状況や原因、殺害された場合は犯人の名前)を正しく3人特定できたタイミングで確定情報として手記に記録されます。これが答え合わせに該当するため、明確な根拠が得られず迷っている人物についても、ある程度当てずっぽうで情報を埋めて正解かどうかチェックすることもできます。
とはいえ、実際は名簿に載っている全ての人物の安否状況は必ず明確な根拠をもって特定できるようになっているため、このゲームシステムを利用した総当り作戦はプレイヤーのさじ加減となります。私は終盤どうしても根拠が見つけられない人物が数人居たため、総当たりで特定しました。

「この人物の名前が分かれば他の何人もの安否状況が確定するのになぁ」といったことが起こり、それを解決できた時の達成感はとても良いものです。あるいは当てずっぽうで答え合わせをした後で、逆算的に根拠に気付いて悔しい思いをすることもあるでしょう。人物特定の根拠は本当に些細な所にあったりします。

推理小説が好きな方や、謎解きゲームが好きな方、物事を理詰めで説明するのが好きな方などにとてもおすすめできるゲームです。主人公は保険調査官ですが、探偵になった気分でどうぞ。

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