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心の余裕

夫がまた「どうすれば良かったんだ?」と言い出した。
夫が老犬を抱っこしていたら服にぐっしょりお漏らしをされたので、ズボンを脱いで洗濯機に入れに行ったという。その間に老犬がグシャグシャになったトイレシートの上でおしっこをしようとしていた。通常ならば庭に連れ出すのだが、
「ズボンを脱いだばかりで庭に出られない!トイレシートの上にちゃんとおしっこをできそうもない!どうすればいいんだ!!」
となったらしい。
私が老犬を抱っこして庭に連れ出すと、
「俺がズボンを脱ぐ前に庭に連れて行けばよかったんだよ!」
「でもズボンが気持ち悪かったんでしょ。」
「だけど、じゃあどうすれば良かったんだよ。」
「グシャグシャのトイレシートで、成功するか失敗するか、どーっちだ?セーフ!アウト!とかすればいいんだよ。」
「そんなの絶対、思いつかない。」

失敗は悪いことではない。面倒だけど後で片付ければいい。
でも今から目の前で行われる失敗を見過ごすことが、夫にはできない。仕事で培われた「危機回避」と「効率化」の能力がそれを許さない。

老犬の世話や子育ては「危機回避」も「効率化」もままならないものだ。そこで培われるのは「妥協」だ。仕方ないと諦めることだ。命に関わること以外。

どちらが正しいとか反省して直すとかそういうんじゃなくて、成功も失敗もどっちでもよくて、
「アウトー!」
と笑ってトイレを掃除する心の余裕があればいいと思う。

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