雨と蝉と霧
雨だ。秋雨らしい。
秋雨はもっと穏やかに降る長雨だと思っていたけれど、なかなかしっかり降っている。
最近実家とのやり取りや、夫がずっと家にいたりすることで頭の中がうるさい。なので夫には「1人になりたい」と伝えて単身赴任先のアパートに戻ってもらった。
3日間のひとりの時間を確保して、神社にお参りしたり入院に必要なものを買いに行ったり、早く寝たりしている。
今日は雨なので家にいることにした。
部屋の中に湿気が入るのが嫌なので家中の窓を閉め、定位置の縁側のサッシを少しだけ開けて外を見ている。風や匂いを感じたいのでガラス越しに見ることはしない。
犬の散歩に行くときも本当はマスクをするべきなんだけど、とにかく思いきり呼吸がしたいのでマスクはいつもポケットの中だ。
雨の音を聞いていると頭の中の言葉や漢字、ひらがながだんだん読めなくなっていく。ザーーーーッ。テレビの砂嵐のようにボーッとしてくる。
雨の音が聞こえなくなるときは何か考えてしまっている。意識して雨の音を聞く。
雨はいろんなものを洗い流してくれると聞いてから雨が好きになった。蝉の鳴き声もそうらしいと聞いてから蝉の声も意識して浴びるようになった。シャワシャワシャワシャワシャワシャワ。
そういえば雨が降っているときは蝉は鳴かない。
また考え事をしていた。雨が弱まってきたからか。
空間に隙間なく雨が降っていても何処からともなく蚊がやってくる。あの雨に頭突きを喰らわず私の元に来れるとは。
仕方なく網戸を閉める。清々しさは半減する。
外を見るのは一旦やめてソファに座ろう。
雨の日はイギリスドラマが似合う。
先日私の大好きなジェレミー・ブレットさんのシャーロック・ホームズの冒険が始まった。第1話「ボヘミアの醜聞」。こんな日には最高だ。
では、霧の深いロンドンへ行ってきます。