はじめに 以前pixivへ載せていたものに加筆修正をした作品をこちらへ再掲します。 文字数は約6,700字です。 元の文から5,000字ほど書き足して、ほぼ別物になりました。以前は『失恋をした』という一言で済ませていたところを『好きだった芸能人(歌手)が結婚をしてしまって失恋をする』という方向へともっていきました。 最後まで読んでくださると嬉しいです。 あらすじ 長年ファンをやっていた歌手の結婚報告を受けて失恋のショックから抜け出せずにいた晴留実(はるみ)は、仕
漫画ゴールデンカムイの登場人物にヴァシリというキャラクターがおりまして、早い話しが、このキャラクターがわたしの推しなのです。そこから、推しの母国であるロシアの食べ物が気になり、日本にあるロシアの輸入食品店『赤の広場』さんで色々と買わせていただきました。 ロシア食品を食べながら、あれこれと考えたことを書いていきます。 個人の備忘録のようなもので、諸々の知識はネットで軽く調べた程度ですので、そのあたりはご了承ください。 まずは今回買った食品の写真から〜 食事部門🍽【ペ
以前こちらへ投稿した『コーヒー好きの海賊』という小説に出てくる飲み物を、実際に作ってみました。 ありがたいことに、創作でお世話になっているフォロワー様が再現して作ってくださり、私自身も書いた本人として作ってみたくなったのです。 まず小説の内容について少し触れますと、元気でまっすぐな女の子が、隣のクラスに転校してきた異国の男の子と仲良くなっていくストーリーです。宣伝にはなりますが、本文の前にあらすじもありますので、ご興味があれば読んでみてください! さて、この小説
はじめに 以前pixivへ載せていたものに加筆修正をし、こちらへ再載することにしました。 7,040文字という、それなりの文字数となっており、一抹の不安がありますが、最後まで読んでくださると嬉しいです。 あらすじ 海賊船の船長になることを夢見る女の子、七海(ななみ)は母親が飲むコーヒーの香りが大好きだった。ある日、いつも登っている木の上に、人の姿を見つける。それは異国からの転校生だった。ミルクココアのような優しい出会いが、時を経てコーヒーの苦さを楽しめるような大人へ
X(旧Twitter)に載せていた140文字の小説を6作、こちらにも投稿します。 ジャンルはごちゃまぜです。●が現代で、◯はファンタジーが舞台となっています。 ✳︎ ✳︎ ✳︎ ●子供のころに打ち切りになった未完結の漫画を今でも大事に持っている。歳月を染み込ませた表紙は薄れて頁は黄ばんでいた。数年越しに続編が発売された。読んだその夜、街路灯照らす電柱の下、ゴミ置き場に置いてきた。これが漫画の最終コマだ。作者自らがゴミにした物語の結末を代わりに決めてやった。 ● あな
「走らないで歩きなさい!」 記憶の中で、教師の声が後ろから聞こえてくる。小学生だった僕はより一層、腕を大きく振って、弾むように上履きの底で床を蹴った。 「走ってませぇん。これはスキップです!」 当時そんなふうに減らず口を叩いた。 思い返せば、子供の頃はよく走っていたような気がする。体育の授業や冬の行事のマラソン大会やらで走る機会も多かったし、大人の目から見ても子供は常日頃からよく走っている。先生に注意をされたあのときの僕は、なんであんなに急いでいたんだっけ? 今
先日、BUMP OF CHICKENのアリーナツアーbe thereの長野公演に行ってきました。新幹線に乗って、ビジネスホテルで一泊して、いわゆるライブ遠征というものです。住んでいる地域にバンドが来てくれるのも嬉しいけれど、それとはまた違った良さが、遠征にはあると私は思っています。 この記事では、日記形式で、BUMP OF CHICKENの良さについても多少触れつつ、遠征の楽しさについて書いていきます。バンドのライブや遠征に行ったことがない方がお読みになっていましたら、少
僕は悩むとガムを噛む癖がある。 吐き出したガムを包んだ紙屑が、鞄の使わないポケットに入っていた。いつからあったのか、もう、わからない。 何味のガムだったのか。何に悩んでいたのか。もはや、わからない。 僕はまた、別のことで悩んで、ガムを噛む。 答えのない問いが、頭の中を巡っている。あるいは、まるで、一本道を歩いているのに迷子になっているようでもあり、とてつもなく煩わしい気分だ。 ふつふつと湧き上がって来る腹立たしさに、ガムを道端に吐き捨てたくなるが、そんなことをすれ
園内マップを開いたら「展望の砂丘」という場所が目に止まった。今いる所からだとだいぶ歩く。 いつでも来られる場所なら、絶対に行かない。せっかく足を伸ばしてここまで来たのだからと思い、行ってみることにした。 周りを見ると家族連れや、カップル、老夫婦、友達同士で来ている人たちばかりである。それぞれが、これまで歩んできた人生の到達点を表している。僕は独りだ。 方向音痴を自覚しているので、なんども立ち止まっては現在位置を確認し、それでもたまに道を外れたりもしながら、広い園内を歩
空から 夜の砂がふってきて 音もなく 積もってゆく 砂底に沈んだ木立のあいだ 沈黙の森を カンテラを揺らして誰かが歩いている 口から紡ぐ言の葉を 灯りにくべて 時は音もなくふり積もる 照らす明かりに 灯りにくべる歌に 生ける者たちが導かれ 孤独な夜を共に歌う やがて登る太陽が 夜を吸い込むまで 朝とをつなぐ歌を どこまでも歌い続ける
孵ることのできなかった すべての物語たちへ あるいは 生きることのできなかった 物語の住人たちへ 耳をすませると 墓標の下で 沈黙の語りべたちが 安らかな寝息を立てている 何をもって沈んでいる おまえたちに耳はあるか この声にならぬ 目覚めの福音を聞け
依然として僕は、蕎麦をすすり続けていた。この店の蕎麦は美味い。箸が止まらぬ。向かいに座る友人の話しも止まらぬ。 「そんでさぁ、少しLINEの返事が遅れたくらいで不機嫌になるんだ。今誰といるんだとか、証拠に写真を送れだとか。あー、信用ないんだなぁ俺……」 くだらぬ。先ほどまでは、応援している地元のプロサッカーチームの試合について熱く語っていた。その後もいくつかのたわいもない出来事を一方的に話し続け、いつの間にか、初めてできた彼女の事になっていた。 ずぞぞ……。 蕎麦を