ナースのお仕事その3~訪問看護
ここ数年、ご近所界隈でも、訪問看護ステーションが
新設されたり廃業されたり、慌ただしい感じがする。
病院が母体となって開設されるところもあれば、
有資格者(主に看護師が多い)が事業主となって、
始めるところが多いかと。
先に述べた在宅医療を勧める国家の、基盤ともなる一部だ。
ずっと病院にいるより、可能ならば家で過ごしたい。
そんなニーズに合わせて、他職種と調整する中の、
看護(医療的ケア)を担っている。
余命宣告されたターミナルケアを必要とする方から、
重度心身障害を持ち、呼吸器や点滴を必要とする方、
特別医療処置はないけれど、認知症があり、服薬の管理や
指導が必要な方など、なんでもこいの職場である。
運営規模にもよるが、5人以上の看護師が配置され、
24時間対応で機能しているところがほぼほぼ。
主治医やケアマネと連絡をとりあい、必要な看護計画を立てて、
月末には報告書を作成して送る。
(ケアマネは読んでくれるが、大きな病院の医師なんかは、
読んでるかどうか疑問)
計画作成、日々の業務記録、報告、契約から決算まで、
少ない人数で行う事は何かと多い。
そして、訪問というのだから、もちろん運転免許必須、
契約時間までに到着しなければならない時間管理、
訪問先では一人での対応のため、それなりのスキルも必要だろう。
この仕事の醍醐味は、ありのままの患者さんを見れること。
入院中はおとなしくても、家ではわがまま放題の方もいれば、
その逆も然り。
入院中を 点 とするなら、これで 線 となって
つながる感じがする。
ああ、だから入退院を繰り返すのか
そっか、治療を頑張っていたのはこのためか
入院中は同じパジャマを着ていた方達が、
個性豊かに輝く場所が、自分の家だ。
そのための、難しさもでてくる。
なんせ、自分の城だから、訪問看護師といえどお客様に近い。
変な話、入院中は黙って耐えていたことがあったとしても、
家では気に入らなければ、断って違う業者にするのも可能。
色々注意されたって、帰ってしまえばこっちのものだ、
ブレーキがついつい、甘くなってしまう…人間だもの。仕方ない。
なので、こちら側も、少し意識を変える必要がありそうだ。
もちろん、人によるが、命令口調が多かった自覚があるのなら、
言葉を選ばなければいけないし、指導内容も、マニュアル通りではなく、
訪問先の事情に合わせて、提案していかないと、受け入れられない。
そこが、おもしろいんだ。
問題点を見つけたとき、それを環境に適応させた方法で
解決策を提示できたとき、そしてそれが実を結んだときなんて、
もう最高に嬉しくなってしまう。
もちろん、訪問した次の日に亡くなってしまうことや、
病状が悪化して救急搬送してしまうこともあるけれど、
家族とも一緒に、時にはたわいもない笑い話や思い出話を、
プライベートな空間で交わすことができる。
そんな会話を、毎週楽しみに待っていてくれる。。
たった30分~1時間の訪問時間内ではあるが、
けっこう内心切羽詰まるときもあるが、
「また来てね」の笑顔で、こちらも元気をいただける。
なかには、他人が家に入るのを嫌う方もいる。
必要な福祉を導入できない時もある。
24時間365日、家族といえども、自分以外の人を看ることなんて、
不可能なんだけど、頑張ってしまう人達がいる。
いまでこそ、数は減ってきたとは思うが、まだゼロではないので、
これから解決していかなければならない、そのために、
何ができるか、社会として考えていかなきゃだ。
そして、そんな家に訪問できるようになったときは、
なんとか信頼関係を結ばなければと、必死だ。
押していいのか、引いた方がいいのか、
距離感やタイミング、受け入れとアピールのバランス。
「あなたで良かった」
そう言われたときのやりきった感、是非体験して頂きたい。
日中事務所に出勤して、各家庭を担当して訪問し、
事務所に戻ったり直帰したりはケースバイケース。
24時間対応と言ってるんだから、夜間になにかあったら、電話が来る。
順番にやってくる待機電話当番があり、
自宅でそわそわしながら(鳴らないことを祈りながら)一夜を明かす。
お風呂の時もドアを少し開けておいたり、トイレにも持ち込んだり、
熟睡して気がつかなかったらどうしようと、ボリューム最大セットし、
自分は対応したものだ。。(ビビりだから)
どんなに緊張して眠れない夜を過ごしても、翌日は出勤だ。
めったに呼ばれないものの、気持ちは落ち着かない。
これが、定期巡回の待機当番だと、結構な確率で電話が鳴る。
夜勤の介護員さんも、不安だから仕方ない。
電話で要領を得ない時は、出勤となる。 結構、ハードである。
給与的には、医療的分野なので、介護施設よりは高め。
夜勤手当がないので、病院勤務に比べたらかなりおちるが、
そう考えると、看護師は決して給料が高いのではなく、
夜の仕事をしている引き換えに、高いだけの話だ。
待機当番の手当は数百円から数千円まで幅があり、
力加減さじ加減は母体次第。
割と自分に合っていた訪問看護。
ただ一つ、自分的に大きなデメリットとなったのは、
職場の人数が少ないからといって、人間関係がうまくいくとは限らなかったこと。
逆に、辛かったなあ。。
嫌われていた訳じゃない。
たぶん、親しく思ってくれていたからこそ、聞きたくない他の人の話を
聞かされてしまう。
そして、仲間だと言わんばかりに、相手に線引きし振り分けてしまう。
同僚が少ないと、中立が難しくなってしまうことがある。
めんどくさいけど。
そして、弁が立ち、あくの強い同僚がいた場合、さらに、めんどくさい。
自分の正義(看護観)が絶対だと、話し合いにならないんだ。
それは、入ってみないとわからないから、運かもしれない。
そんなあれこれを体験することで又、自分の人生観貯金ができる。
あちこちに広がっている、訪問看護ステーション。
もしかしたら、そんな自分の看護観を形にしたくて、
みんな頑張っているのかもしれないな。
看護師にエールを!
それと、利用している方たちへ。
どうしようもない看護師には一喝して頂き、
ぜひあなたにあった看護ステーションで、幸せな在宅ライフを!!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?