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三原(広島県)の海がバリアフリーになった日
8月10日、三原の海がバリアフリーになった。
この日、中国地方では初めてとなるバリアフリービーチは広島県は三原市で開催された。バリアフリービーチは、障害を持った方々にも海を楽しんでもらおうと鎌倉から始まり今では全国各地で開催されている。
西日本で行われているのは、須磨と沖縄。中国地方ががっぽり抜けていた。
僕は広島でもできないかな?と思い、鎌倉の団体にも全面的に協力をしていただき、昨年の10月あたりから取り組みを進めることにしました。
当初、7月21日に開催を予定していたのですが、悪天候により中止を余儀無くされてしまいました。
その時の心境はこちらの記事に書いています。
中止になって、また一からボランティアスタッフの方々に協力いただかないと開催できないため、本当に開催できるかな?
とかなり不安でした。
色々な人から声をかけていただき、奇跡的に27名の方々が参加してくださいました。
なんと!前日になり都合がつき、大阪から参戦してくれた強者も・・・
本当にありがたい限りです。
バリアフリービーチを開催してみて
まず、本当にやってよかった。心からそう思います。
僕はこのイベントに向けて大事にしていたテーマがあります。
“共に楽しむ”
ということでした。
バリアフリービーチを開催する前に、
「大阪キャンプ エグモント夏の講習会2019」に参加していました。
エグモント(デンマーク)という障害を持った方々とそうでない方々と共に学ぶ学校から先生や生徒が日本に来ました。
日本の障害を持った方々やそうでない方々と一緒に2泊3日のキャンプを行いました。実際にエグモントで行われるような、授業(アクティビティ)を体験して来ました。
過ごす中で感じたことは、
“楽しむ”という感覚がいろんなバリアを超えさせるということでした。
楽しむということに関しては障害も性別も年齢も全く関係ありません。
その楽しみの中にこそ、肌で感じる学びがあります。
この経験を絶対にバリアフリービーチに還元したい!
そう思いました。
どうしても、福祉のイベントは「支援する・支援される」という立場になりがちです。
そこを、“共に楽しむ”ということで取っ払いたいと思っていました。
どこまで運営側が障害を持った方々へ支援をするのか。
とても考えました。
水分の用意は?
熱中症対策は?
着替えは?
海用車椅子の支援方法は?
送迎は?
医療的ケアは?
緊急時対応は?
医師や看護師のメンバーを中心に議論をしました。
安全管理は本当に大事です。
しかし、行きすぎる管理は、「支援する・支援される」の構図を産みます。
今回は最低限の支援に留めました。
実は、イベントの会場となった須波海浜公園のバリアフリー設備はかなり整っています。イベントを開催しなくとも海へ入れる環境自体は整っていました。僕には、イベントがなかったとしても、この場所を利用してもらいたいという思うがありました。
支援をしすぎてしまうと手厚い支援がなければ行くことができない。とご家族さんが感じてしまうかもしれません。
実際、イベントが開催されると・・・
笑顔!笑顔!笑顔!笑顔!笑顔!
笑顔しかないくらい、笑顔が広がっていました。
不安に思っていたことは全て吹き飛んでしまいました!
“共に楽しむ”ことは、達成できたと実感しました!
そして、イベント終了後のSNSでのシェアも凄まじく、通知が鳴り止みませんでした!!
やってみて気づく、たくさんの課題
・イベントTシャツの作成は適切だったのか?
クラファンのリターンに使ったり、イベント感が出たり、みんなのまとまり感が出たりと良い部分も沢山ありました。
しかし、イベント感が強すぎて、一般遊泳客との乖離を生みやすくしてしまったかもしれない。
チームのまとまりを作るためであるなら、もっと違う選択肢もあったかもしれません。
・須波海浜公園での場内アナウンスについて
「本日は特別なイベントをしています。一般の方は空いている浜も使ってください(ニュアンスはこんな感じ)」とのアナウンスが海の管理側から一斉放送でありました。
管理人からすると、「怪我なく安全にみんなにゆっくりと楽しんでもらいたい」という思いからの発言だったのではないかと思います。何も否定することはありません。
しかし、イベントとは言えど、障害を持った方々も海で遊んでいる、遊泳客の1人です。障害を持った方々を優先に遊ばせて欲しいとは思っておらず、海用車椅子を使っているため、邪魔になってしまうことだってあります。その時は、お互いに譲り合い公平に海を楽しんでもらいたかった。
誰も悪くないです。
“障害”というキーワードで安易に優先順位を決めるのではなく、その時の状況によって優先順位を決めることができるように、もっともっとやることはあるんだなと思いました。
・環境は整っていても、やはり大変なのは大変
須波海浜公園のバリアフリー環境は他の海浜公園と比較してもかなり整っています。海用車椅子が6台、駐車場から浜辺までの段差が全くない、着替える時は140㎝程度であれば寝て着替えることができる場所がある、海用車椅子に乗ったままでシャワーを浴びることができる。
これだけ整っていても、やはり最後は人の力は必要になります。ご両親だけや大人になり1人で来たとしたら、難しい場面はかなりあります。
どのようにすれば、このハードルを低くできるのか、今の自分には思いつきませんが、少しでもみんなの負担が減ることを考えたいです。
・ボランティアスタッフという呼び方を変えたい
ボランティアというと、「人のためにやっている」といったイメージが出てきてしまいます。それでも悪くはないとは思います。
今回のボランティアスタッフをみて感じたのは、
もちろん人のためという側面はありますが、
「自分自身が楽しそう」
「場の空気を作っていて空間デザイナーそのもの」
といった印象を持ちました。
今までの“ボランティア”とは何か少し違う感覚を感じました。
来年はボランティアもそうですが、言葉にも拘りたいと思いました。
このように、色々な課題が自分の中で見つかりました。
少しずつ、少しずつ、地道に、地道に一歩ずつ取り組んでいきたい。
最後に・・・
“福祉”とはなんなのか?
少しは示せたのではないんじゃないかな。
少しだけでいいから、“街の景色を変えてみる”そんなことができた一日だったようにも思える。
ここからが始まりです!!!
さあ!!
一緒に楽しもう!!!!