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「美しい春画」を見てきました

今年は浮世絵づいていて、あべのハルカスの歌川広重、大和文華館のレスコヴィッチ(浮世絵が好きなポーランド人)コレクションと、続けて展覧会を見ています。

江戸時代、浮世絵は旅行ガイドの代わりだったり、ブロマイドの代わりだったりしました。
もちろん、エロ本の代わりでもあったわけです。

ということで、京都の細見美術館で開催中の「美しい春画」を見てきました。トップ画像にあるように、18禁の展覧会(笑)


・春画は豪華

感想は、「豪華」。
今まで見てきた浮世絵よりも彩色がキレイで、摺りも手が込んでいる。雲母や金箔も散らしてあったりして。
それもそのはず、当時の春画は2つの理由で豪華でした。

一つは、地位のある人が子供の結婚支度(参考書?)として作ったり、趣味として作ったりするケース。
今回の展示では、葛飾北斎の版画に手で彩色した贅沢セットがでてました。最初は桐箱入りだったらしいです。

もう一つは、風紀を乱すという理由で時々禁制が出るから。
逆だと思いますよね?

禁制が出ても作るのはやめないので、隠れて作ってヤミで流通することになります。もともと贅沢品は禁止されているのですが、
「どうせ隠れて作るんだ、贅沢にしちゃえ!」
と、絵の具にも摺りにも工夫をこらす。
禁止することによって、かえって贅沢な春画が出回ったわけです。

展示されている多くの絵が、表情も色使いも一級品でした。

・パズル…

絵としては最高。では、どのくらいエロだったのか?

そちら方面は現代人の目から見ると… (^_^;)

春画を描くときの約束事なのか、必ずと言っていいほど、局部・結合部を大きくあからさまに描くんですよね。
場所が場所なので、見えるポーズは限られてしまいます。でも、画家はいろいろなポーズを描きたい。
すると、とんでもないポースが頻出するのです。

上半身は下向きなのに、下半身は上向き、とか。
足がありえない方向に曲がっている、とか。
不思議な絡み方をしているので、
「この足は男性の足で、この手は女性の…」
とパズルのように解読しなければならない絵も多数。

絵に人生をかけていた北斎でさえ、明らかにバランスのおかしい絵を描かざるを得ませんでした。

なまじ豪華でキレイだから、よけいにポーズが気になるという悲しさ。
何事も、あからさますぎるのは良くないようです。

・気に入った絵

今回、一番気に入ったのは手のひらに乗るほどの小品。
四季折々の春画だというのですが、

3月は、夫婦雛を斜めに重ねただけの絵が描かれている。
4月は、禊用の紙の人形が重なっているだけ。
5月は、五月人形にも使われる鍾馗様が悪鬼といたしている。

分かる人だけ笑ってください、みたいな絵です。
こういう面白さは、時代を超えますね。


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