どうやって多関節操作を練習するか① 手の操作
ここまで関節や筋肉を同時に多く使える方がいいという話を書いてきました。では、どうやって練習すればいいのでしょうか。
・私自身が学んだ方法は
私自身は、以前に書いたように柾目返し、正面の斬りといった技を主として学び、あとは一人稽古での素振りなどを中心に練習しました。その過程で「身体を割る」「支点を消す」「正中線を作る」といった技法に四苦八苦している間に、できるようになってきました。
ただ、その方法をそのまま他の人に勧めても、時間がかかりすぎる気がします。(「その方法で練習してみたい!」という方がいらっしゃれば、どうぞお知らせください。一緒に練習しましょう)。
どんな訓練でもそうですが、上達するためには「うまくいったときと、うまくいかないことが、目に見えてわかる」ことが必要です。
・空間を基準として動く
円のうごきにせよ、桑田真澄氏の「ボールをコースにのせる」にせよ、行っているのは、自分の身体外の空間に、適正な図形を描くことです。
自分の身体の扇形を使って、身体外の直線や曲線を再現するには、必然的に多くの関節を使うからです。
その極端な例は、パントマイムですね。空間に、きちんとした形を想定し、その形を再現するように動くのには、相当な身体能力が必要です。
まあ、そこまでやるのは大変なので、簡単な動きでわかりやすいものを。
・練習の注意点
練習の時、意識してほしいのは関節。
動作そのものには意味がないので、うまくできるかどうかはどうでもいいです。それよりも動作しているときに、手首、肘、肩などの関節がどのように動いているか、しっかり意識を向けておくこと。
どの関節が動くと、どの関節が連動するか、しばらく観察しているとわかってきます。
・手の動きを主として訓練する
①立った状態で手のひらを前に出します。向きは縦でも横でも。
手のひらの位置も方向も動かさないよう、まるで空中に固定したように(テーブルや壁の近くに手を置くとわかりやすい)しながら、足を動かして身体を前後左右に移動します。
体幹を曲げたり伸ばしたりして、高さを変えるのもありです。
②手のひらを開きます。親指の先が動かないように空中に固定して、手のひらを回したり、肘を上下左右に動かしたり、肩を動かしたりします。
親指だけでなく、他の指でもやってみます。
これは、合気道などで使う手の操作を鍛えるのに向いています。
③いまパソコンの前に座っている人は、手を空中に浮かせた状態でキーボードを打ってみましょう。次に、身体を前後左右に揺らしながら、同じようにキーボードを打ってみてください。揺れている状態で、腕の位置、手首から先を正確な向きに保つのは、いい訓練になります。
次回は、足の訓練と、剣道や空手、その他のスポーツでの動きを用いて訓練する方法を。