あなたは分ける人ですか? まとめる人ですか?
人は、2つのタイプに分けられる。
分類するタイプと、集約するタイプだ。
…と、書き出しだけは偉そうにしてみました。
・分類と集約
〇〇技術、□□法、△△メソッド…、世の中にはいろんなスキルがあって、それぞれに役立ちます。
ただ、どんなスキルでも作った人の個性が反映されますから、人によって合う・合わないが生じてきます。個性の表れ方の一つが、この「分類と集約」です。
簡単に言うと、
・物事を分類して、それぞれの対処法を準備するタイプか?
・大きな原則を中心に、必要に応じて応用するタイプか?
これはどちらが正しいというわけではなく、どちらのほうが性に合うかです。
なにかの方法を学ぶときに、自分がどのタイプか知っておくと便利です。
・たとえば治療の世界で
野口整体を創始し、整体という言葉を広めた野口晴哉氏は、明らかに分類タイプの人です。
野口氏は人の動きを観察して、その特徴から上下、左右、前後、捻れ、伸び縮みという5種類に分類しました。この分類のそれぞれに派生があって全部で12種類、さらにその混合型があるとしています。
それぞれに最適な調整を行うことで、人は健康でいられるとしています。
ほぼ同時代を生きた医師、橋本敬三氏は操体法を創始しました。こちらは完全な集約型。
「人は気持ち良い方、痛くない方に動けば健康になる」
という原則に従い、その場その場で患者さんと会話しながら動きを作ってゆきます。治療法にはいくつかの基本形はあるものの、どのように応用するかは状況次第です。
どちらも優れた治療法です。
しかし、集約型思考の人が野口整体を学ぶのは、かなり難しいでしょう。
たぶん野口氏は観察と分類整理が好きな人で、その体系を学ぶなら、同様な気性を持った人が向いています。
同様に、分類型が操体法を学ぶと「これだけでいいのか?頼りない」と感じてしまうのではないでしょうか。
何かを学ぶとき、自分自身のタイプに合っているかどうかは重要。
これは技術そのものだけでなく、コーチなどとの相性にも言えることです。
・私自身は
私が治療の世界に入るとき、古武術の師匠である甲野先生の影響で、まず野口整体を調べてみました。しかしこの体癖分類を見た瞬間、
「無理」
と思いました。
私自身は集約型で、一つの原則を応用して使うほうが向いています。
自分の方法として関節リリースを作りましたが、やはり「動かない部分の動きを回復する」という目的と、いくつかの原理を応用してゆく集約型の施術です。
あなたは分けるタイプ、まとめるタイプ、どちらですか?
・余談
国民性にもこうした傾向があるかもしれません。
食器で言えば、食べるものごとに違うスプーン、フォークを用意する西洋料理と、箸を中心にする日本式の違いとか。
中国の思想(易、五行説など)は、分類整理が好きでないと出てこない体系で、日本では(一部好きな人はいるものの)広くは浸透しませんでした。
仏教も日本に入ってくると、念仏や禅など、よりシンプルになってから広がりますね。
鍼灸医学も、中国の中医学は扱う要素が多く複雑ですが、日本では脈と気を中心として比較的シンプルにまとめられています。
こうした文化の差はどこからくるのか、興味深いです。