肩関節を上手く使うには腕の向きが大事 ~バレエ、ダンス、空手にも通じるコツ
先日いらしたお客さん。バレエを習っているのですが、腕を上げると肩も上がってしまうと注意されるとおっしゃいます。
肩の関節の不調ではないかと相談されたので、動作しているところを拝見。
結果から言うと、肩関節は正常でした。
一言アドバイスを差し上げたら、すぐに簡単に上がるようになったのです。
・腕、前から上げるか横から上げるか
まずは、腕を上げるテスト。気をつけの姿勢から、腕を上げることにします。
最初は前から。いっぱいまで上げると、腕が耳に付きますね。
次に、横から上げてください。今度は耳につかない人が多いでしょう。
前からと横から、何が違うのでしょうか?
・肩の関節は半球状
上の図は、肩甲骨と上腕骨の関節です。上段中央でわかるとおり、上腕骨の関節は半球状です。そのため、前から上げると関節面が接したまま、くるっと上に向けることができます(左図)。
横から上げると、腕の骨が水平になったくらいのところで関節面がぶつかってしまい、それ以上上げることができません。
ここから先に上げるには、腕の骨を半回転させて、関節の向きを変えてやる必要があります。
先程のお客さんには、腕の回転を指導しました。
横から上げる途中で、肘の内側が上を向くように変えると、簡単に上がるようになりました。
なぜ今まで間違えていたか。バレエの先生は手の甲の向きを変えないまま、腕の骨だけを自然に回していたので、気づきにくかったようです。
肩を残して腕を上げられるようになったので、あとは手のひらを残して回す練習をするだけだとお伝えしました。
・空手でも大事な、肘の向き
余談ですが、空手や拳法では、突くときに肘の内側(肘窩)が上を向くようにと指導されます。これも、肩関節の構造によるもの。
突くとき、拳をねじろうとして肘窩が内側を向くと、関節の限界で、腕が伸びなくなるのです。肘窩が上を向いている場合と比べると、腕の伸びが数センチ違います。徒手格闘での数センチは大きな違いなので、上向きになるように指導されるわけです。
ちょっとしたコツですが、何かのヒントになれば幸いです。