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「剣は左手の小指を軸に使う」…なぜ?

居合や剣道では、表題のように指導されます。
では、なぜ左手の小指が軸なのか? 答えは、本当に軸だからです。

・親指は小指の周りをめぐる

手首を返すときの骨格を見てみましょう。
肘から先は二本の骨、橈骨と尺骨が並んでいます。この二本の骨が平行したり、交差したりすることによって手首が回るのです。

上の図は簡略化されているのでわかりにくいのですが、小指側の骨、尺骨は固定されていて、交差するように動いているのはは親指側の骨です。

小指側の尺骨は、上腕骨をくわえている

上の図は、肘関節を拡大したところ。
親指側の骨は上腕骨に触れているだけですが、小指側の骨(尺骨)はカギ型に曲がって上腕骨をくわえていますね。

尺骨はこの構造によって、引っ張りの力に耐えられます。一方、この構造ゆえに、回ることができません。しっかりと固定された尺骨を軸に、橈骨が回る形になります。

・引き切るように剣を使うとき

さて刀の話に戻ります。
「引くように切る」と、腕が先行し、刀が後からついてきますね。風見鶏が回るように、尺骨を軸に手の内が回り、自然に刃筋が立つことになります。

「力を抜くほどよく切れる」と言われるのも、力を入れすぎると前腕が固くなり、尺骨を中心とした回転が起こりにくくなるからでしょう。

昔から言われることを、骨格から考えるのも面白いですね。



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