フィブ郎育成日記
続けて何度も申し訳ないが、また筋腫の話である。
日に日に存在感を増し、毎日目が離せない。
せっかくなので、筋腫(フィブロイド)にちなんでフィブ郎と名付けた。コブ太郎でもよかったのだが、フィブ郎の方がfibroidという単語を覚えやすいので便利だ。
ちなみに、我が家の持ち物は「汁男」(シルバーの自転車)、「グリ美」(緑色の亀のぬいぐるみ)「ジャビ男」(オレンジと黒でジャビット君と同じ配色の自転車)と、色にちなんで名付けられることが多い。残念ながら筋腫は何色がわからないので、我が家のネーミングルールから外れてしまった。そういえば、私も夫から「ボリュ美」というあだ名をもらったことがある。由来は「ボリューミーだから」である。ルールといえるほど、色へのこだわりはないようだ。
お腹の下で、フィブ郎が少しずつ育っているのがわかる。
そのせいで、へそから下腹部にかけてパンパンに張ってしまい、毎日地味に痛く苦しい。腸が圧迫されているのか、常にお腹の調子も悪い(これは飲み過ぎのせいでもある)。
子供の頭サイズのものがあるだけでこれだけしんどいのだから、子供の全身を体内に宿す妊婦さんたちはさぞ大変だろう。これからも電車では絶対に席を譲るし、妊婦さんに意地悪するやつは強めにぶつ。
厄介ではあるものの、横になった時にお腹からポッコリと頭を出す様子はちょっと可愛い。したことないけど妊娠ってこんな感じなのかな〜と、フィブ郎を優しく撫でる。
しかし子供の頭サイズなだけであって頭ではないし、相手は胎児ではなくただの筋肉である。
肉塊に対して、かりそめの母性をうっかり注いでしまうところだった。愛着が湧きすぎるのも危険だ。
フィブ郎とのお別れの日は、まだ決まらない。
地元の病院の先生に「でっかい筋腫あるね!」と言われてから、大学病院の先生が「うん、でっかい筋腫あるね!」と言うまで一ヶ月以上かかる。
(今は検査の結果が出てないのでまだ「でっかいサムシングがあるね!」の状態である)
この調子だと、手術も相当待たされるのだろう。
フィブ郎を我が子だと言い張り、手術を嫌がって病院で暴れかねないので、正気を保っているうちに切除したいところである。